カイコの人工飼料の飼料価格を低減することを目的として,畜産飼料原料および家畜飼料を壮蚕飼料に適用した.
(1) 畜産飼料原料のトウモロコシ,マイロ,トウモロコシ種皮,大豆種皮をカイコの人工飼料に導入することにより,従来の人工飼料で主原料として使用されていた脱脂大豆の一部,およびトウモロコシデンプンが代替できるばかりでなく,飼育成績もむしろ向上する場合のあることがわかった.
(2) 脱脂大豆,トウモロコシおよびマイロの配合割合について検討した結果,脱脂大豆含量30~50%でトウモロコシまたはマイロが64~44%のときに,繭層収量が高かった.また,トウモロコシとマイロの配合比率のいかんにより,繭層収量に影響は認められなかった.
(3) トウモロコシ種皮または大豆種皮は, 25%までの添加量ならば,副原料として充分使えることがわかった.
(4) 市販の鶏,豚,牛用の12種の家畜飼料で5令蚕を飼育したところ,カイコはかなりの程度に成長し, 11種の飼料で営繭まで到達することができた.
これらの結果から,カイコの人工飼料の組成は,今後もっと家畜飼料学の知見を吸収しつつ,家畜飼料の組成に近似したものになっていくであろう.
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