日本農芸化学会誌
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47 巻, 4 号
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  • 小原 哲二郎, 木原 浩
    1973 年47 巻4 号 p. 231-236
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) アワ(粳)からモノグルコシルジグリセリド(MG)とジグルコシルジグリセリド(DG)の2成分を単離し,それぞれの構成成分を検索した.
    (2) 構成糖としては, MGにグルコース1分子, DGにグルコース2分子が含まれていた.
    (3) アセトン不溶部から得たMGとDGの構成脂肪酸は類似しており,ともにC18:2,C16:0が主成分であった.また,アセトン可溶部から得たMGとDGの構成脂肪酸は, C18:2, C18:3が主であった.
  • 橋爪 昭人
    1973 年47 巻4 号 p. 237-240
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 茶葉サポニンの加水分解物から, A1-barrigenolを単離した.また,茶種子サポニンには-CHOを持ったサポゲニンが多く含まれているのに対し,茶葉サポニンには,ほとんど含まれていないことを明らかにした.
    (2) 茶葉サポニンを構成する糖は茶種子サポニンと同様,アラビノース,キシロース,ガラクトース,グルクロン酸であり,茶葉サポニンの平均分子量から考えて,これらの糖各1モルずつが結合しているものと推定された.
    (3) 茶種子ならびに茶葉から得られるサポニンは,いずれもサポニン結晶混合物であるが,両者の性状,構成の異なることが明らかとなったので,茶葉のサポニンをtheafolisaponinと命名した.
  • 新村 正純
    1973 年47 巻4 号 p. 241-249
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    実用的なカイコの人工飼料を開発する目的で,組成改良研究を行なった.
    (1) 従来の人工飼料の化学成分は,桑葉の成分とかなりちがっており,蛋白含量が少なく,繊維分が過剰である.桑葉成分に近づけた組成の稚蚕用,および壮蚕用飼料による飼育成績は良好であった.さらに脱脂大豆を用いて,飼料中の蛋白含量を30~38%まで高めた稚蚕用および壮蚕用飼料で飼育した場合,稚蚕ではカイコの成長が,壮蚕では繭収量が優れていた.
    (2) (1)で示した新たな高蛋白飼料での飼育試験の結果,稚蚕飼料,壮蚕飼料ともに,セルロース粉末,大豆油,モリン,無機塩混合物を添加する必要のないことがわかった.
    (3) 飼料の造型を,脱脂大豆とトウモロコシデンプンによって行なうことによって,高価な造型剤である寒天を含まない安価な壮蚕飼料を開発することができた.
    (4) 飼料の主原料である脱脂大豆の飼料効果について考察した.栄養面では主として,そのアミノ酸組成がカイコにとって好適であり,また物性面では脱脂大豆の各成分が,飼料の造型に寄与していると考えられる.
  • 新村 正純
    1973 年47 巻4 号 p. 251-257
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    カイコの人工飼料の飼料価格を低減することを目的として,畜産飼料原料および家畜飼料を壮蚕飼料に適用した.
    (1) 畜産飼料原料のトウモロコシ,マイロ,トウモロコシ種皮,大豆種皮をカイコの人工飼料に導入することにより,従来の人工飼料で主原料として使用されていた脱脂大豆の一部,およびトウモロコシデンプンが代替できるばかりでなく,飼育成績もむしろ向上する場合のあることがわかった.
    (2) 脱脂大豆,トウモロコシおよびマイロの配合割合について検討した結果,脱脂大豆含量30~50%でトウモロコシまたはマイロが64~44%のときに,繭層収量が高かった.また,トウモロコシとマイロの配合比率のいかんにより,繭層収量に影響は認められなかった.
    (3) トウモロコシ種皮または大豆種皮は, 25%までの添加量ならば,副原料として充分使えることがわかった.
    (4) 市販の鶏,豚,牛用の12種の家畜飼料で5令蚕を飼育したところ,カイコはかなりの程度に成長し, 11種の飼料で営繭まで到達することができた.
    これらの結果から,カイコの人工飼料の組成は,今後もっと家畜飼料学の知見を吸収しつつ,家畜飼料の組成に近似したものになっていくであろう.
  • 柳谷 孝幸, 三上 正幸, 三浦 弘之
    1973 年47 巻4 号 p. 259-266
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    FlavobacteriumおよびPseudomonasの2種の低温性細菌を用い,カゼインおよびホエータンパク質に対する影響を検討した.
    培養は5°Cで3日, 7日および14日間行なった.
    (1) 接種した2菌株は,カゼインに対して強いタンパク分解作用を示し,接種後7日目以降でクロマトグラムにおいては, β-カゼインおよびαs-カゼインピークが減少し,非吸着性および溶出の早いピークが増大した.
    (2) PAE図において,接種後7日目のものでS-カゼインに位置する物質のバンドおよびαs-カゼインがわずかに見られ,それよりも移動度の大きい物質のバンドも見られた.接種後14日目では, αs-, β-カゼインも消失し,移動度の大きいバンドがわずかに見られた.
    (3) ホエータンパク質については,その変化は顕著でなく,接種後14日目のものでもクロマトグラムおよびPAE図パターンともに,ほとんど変化は見られなかった.
  • 村田 晃, 池田 光宏, 光武 隆久, 添田 栄一, 猿野 琳次郎
    1973 年47 巻4 号 p. 267-274
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    保存料および殺菌料として指定されている7種の食品防腐剤(既報のパラオキシ安息香酸エステルを除く)について,下記要目に対する影響を検討した.
    (1) L. casei S-1菌の生育:どの物質も,菌の生育を阻害した.抗菌作用力は大きい順に, AF2,過酸化水素,デヒドロ酢酸,サリチル酸,安息香酸,ソルピン酸,プロピオン酸であった.前5者は殺菌的に,後2者は静菌的に作用した.
    (2) 遊離のJ1ファージ: AF2は,ファージ不活性化作用を示さなかった.それ以外の6種の物質は,プァージ不活性化作用を示した.
    (3) J1ファージの吸着: AF2,過酸化水素は,吸着に影響を与えなかった.それ以外の5種の物質は,ファージの吸着に阻害的に作用し,吸着速度の低下をもたらした.
    (4) J1ファージの増殖:どの物質も,ファージの増殖を完全に阻害した.デヒドロ酢酸は,菌の生育を許す濃度で,ファージ増殖を選択的に阻害した(菌の最小生育阻止濃度/ファージ増殖完全阻害最小濃度=約5).その他の6種の物質については,菌の生育阻止濃度とファージの増殖阻害濃度とは,だいたい等しく選択性は認められなかった.
  • 磯貝 彰, 村越 重雄, 鈴木 昭憲, 田村 三郎
    1973 年47 巻4 号 p. 275-279
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    カイコを被検昆虫として,経口投与により薬用植物中の昆虫生理活性物質を検索する過程で,次のことが明らかになった.
    (1) 漢方薬ニクズク末がカイコ幼虫の成育を阻害し,ある場合には三眠蚕を出現させた.
    (2) このような成育阻害活性をもたらすものとして,ニクズク末より単離されたghenylpropanoidsならびに,それらの関連物質のカイコの成育に対する影響をしらべたところ,メチレンジオキシ基や,多数のメトキシル基を持つ化合物が,顕著な阻害活性を示した.
    (3) これらのphenylpropanoidsのうち,化合物IIIは50ppmで4令カイコ幼虫に対して摂食阻害的作用を示し,化合物Vは100ppmで4令カイコ幼虫に対して毒物的作用をあらわし, 90%致死させた.
  • 古沢 良雄, 柴田 健雄, 黒沢 雄一郎, 森 弘
    1973 年47 巻4 号 p. 281-284
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    In the course of study on the microbial transformation of p-aminosalicylic acid derivatives, Black Aspergilli (Asp. awamori 5002 and Asp. aureus 5494) was found to produce metabolic products. These metabolites have been isolated, purified and identified as N-acetylated compounds by comparison with the synthetic compounds by thin-layer chromatography, infrared spectrophotometry and nuclear magnetic resonance spectroscopy.
  • 川村 杉生, 松田 和雄
    1973 年47 巻4 号 p. 285-288
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Preparation of 2-O-α-D-glucosyl-D-mannose was attempted by epimerization of kojibiose (2-O-α-D-glucosyl-D-glucose). The epimerization product was obtained in the best yield by heating one part of the starting material with ten parts of 0.1 N potassium hydroxide in a biling water bath for ten minutes. The product had [α]20D=+72° (water), and was characterized as 2-O-α-D-glucosyl-D-mannose by paper chromatographic examination of the acid hydrolyzate of the original and the reduction products as well as its non-reactivity with triphenyltetrazolium chloride. The above structure was further confirmed by methylation analysis.
  • 橋場 弘長
    1973 年47 巻4 号 p. 289-291
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    In order to obtain light-colored soy sauce less susceptible to non-enzymic browning during storage, soy sauce was treated by ultrafiltration. The experimental results were as follows;
    (1) When raw soy sauce was treated by ultrafiltration, its color was decolorized to 1/10_??_2/5 of initial color and the color increase of treated soy sauce on heating is 1/3_??_1/2 of that of untreated soy sauce. No sediment was formed in the course of heating the treated raw soy sauce.
    (2) When pasteurized soy sauce was treated by ultra filtration, its color was decolorized to 1/7_??_1/3 of initial color and the color increase of treated pasteurized soy sauce during storage was repressed to about 1/2 of that of untreated soy sauce.
    (3) Substances related to the browning of soy sauce (i.e. Fe2+, 3-DG, HMF, reductone, carbonyl compounds, ferricyanide-reducing substance) were considerably removed by ultrafiltration.
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