(1) 担子菌の酵母溶菌活性をみると,凍結乾燥菌体に対して高い活性を示したものはない.加熱処理菌体に対しても,特に高い活性を示したのは
Coprinaceaeのみであった.
(2) マツタケ目の菌株は,凍結乾燥菌体,加熱処理菌体いずれに対してもpH4では作用せず, pH7ではじめて作用する.これに対しヒダナシタケ目のものは, pH4の場合いずれの菌体にも作用するが, pH7では凍結乾燥菌体に作用できない.
(3)
Coprinaceaeの溶菌酵素は,加熱処理した酵母や細菌ばかりでなく,アセトン処理した細菌をも可溶化するが,その程度は菌種によって大きく違う.
(4) β-1, 3-グルカナーゼは,担子菌によってかなり普遍的に生成される酵素であり,特に
Polyporaceaeの活性が高い.
(5) ヒダナシタケ目の中には,キチナーゼ活性のかなり高い菌株があるが,一般的にいえば,担子菌に強いキチナーゼ活性を持つものはない.
(6) 酵母溶菌活性の分布とβ-1, 3-グルカナーゼ活性,キチナーゼ活性の分布とは大きく異なっている.しかも,
Coprinaceaeのβ-1, 3-グルカナーゼ活性,キチナーゼ活性はあまり高くないので,
Coprinaceaeの強い溶菌活性には塩基性プロテアーゼの関与が大きいと考えられる.
Table IV. Distribution of Chitinolytic Activity among the
Basidiomycete Strains Tested
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