日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
47 巻, 8 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 川合 正允
    1973 年 47 巻 8 号 p. 467-472
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 担子菌82株について,プロテアーゼ活性の分布を調べた.ヒダナシタケ目は主として酸性プロテアーゼを生成するに反し,マツタケ目にはCoprinaceaeのごとく塩基性プロテアーゼを生成するものがあり,一般にヒダナシタケ目のものより至適pHの高いプロテアーゼを生成していると思われる.
    (2) L. japonicusはマツタケ目の, F. cytisinaおよびLentaria mucidaはヒダナシタケ目の例外と思われ,前者は酸性プロテアーゼを,後者は中性あるいは塩基性プロテアーゼを生成しているものと考えられる.
    (3) 担子菌の酸性プロテアーゼは至適pH,安定性等の酵素学的性質が類似している.
    (4) I. lacteusC. macrorhizus f. microsporusの酵素は, casein, gluten等の蛋白質を良く分解できるが,アミノ酸への分解率は高くない.
    (5) レンネット代替酵素生成菌株は酸性プロテアーゼ生成菌株中にみられるが,その数はきわめて少ない.
  • 川合 正允
    1973 年 47 巻 8 号 p. 473-477
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 担子菌の酵母溶菌活性をみると,凍結乾燥菌体に対して高い活性を示したものはない.加熱処理菌体に対しても,特に高い活性を示したのはCoprinaceaeのみであった.
    (2) マツタケ目の菌株は,凍結乾燥菌体,加熱処理菌体いずれに対してもpH4では作用せず, pH7ではじめて作用する.これに対しヒダナシタケ目のものは, pH4の場合いずれの菌体にも作用するが, pH7では凍結乾燥菌体に作用できない.
    (3) Coprinaceaeの溶菌酵素は,加熱処理した酵母や細菌ばかりでなく,アセトン処理した細菌をも可溶化するが,その程度は菌種によって大きく違う.
    (4) β-1, 3-グルカナーゼは,担子菌によってかなり普遍的に生成される酵素であり,特にPolyporaceaeの活性が高い.
    (5) ヒダナシタケ目の中には,キチナーゼ活性のかなり高い菌株があるが,一般的にいえば,担子菌に強いキチナーゼ活性を持つものはない.
    (6) 酵母溶菌活性の分布とβ-1, 3-グルカナーゼ活性,キチナーゼ活性の分布とは大きく異なっている.しかも, Coprinaceaeのβ-1, 3-グルカナーゼ活性,キチナーゼ活性はあまり高くないので, Coprinaceaeの強い溶菌活性には塩基性プロテアーゼの関与が大きいと考えられる.
    Table IV. Distribution of Chitinolytic Activity among the Basidiomycete Strains Tested
  • 田淵 武士
    1973 年 47 巻 8 号 p. 479-484
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    C. lipolyticaの場合,クエン酸を多量に生産するためには培地のpHを微酸性に保つことが重要であって,中和をはぶくとクエン酸の生産量が減少する反面,菌体の生成量が増加したが,この場合,細胞数はそれほど変わらず酵母細胞が大形となっていた.
    酸素供給量が不充分な場合には,クエン酸発酵の速度が低下するかたわら,酵母状の細胞に代わって真菌糸が主として増殖してきた.すなわちC. lipolyticaは,酸素供給量の多少によって二形性の現象を示すことが知られた.
    基質がブドウ糖とn-パラフィンとでは,培養温度に対する挙動に差異が認められた.またクエン酸類生成量比に対する鉄イオンの影響は,基質がn-パラフィンの場合には顕著であったが,ブドウ糖の場合にはほとんど認められなかった.
  • 田淵 武士, 原 誠五
    1973 年 47 巻 8 号 p. 485-490
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Candida lipolyticaを中和剤を含ませない培地で培養すると,クエン酸類の生産が減って,代りに基質がブドウ糖の場合には,マンニトールと少量のアラビトールが,またn-パラフィンの場合にはマンニトールと少量のエリスリトールが生成蓄積された.なお,使用菌株によっては仕込みn-パラフィン量に対して,約30%の割合で多価アルコールを生産しうることが認められた.
    (2) ブドウ糖あるいはn-パラフィンを基質とする中和剤存在下のCandida lipolytica株によるクエン酸発酵過程でも,培養の初期に,マンニトールを主とする多価アルコールがわずかに生成蓄積するが,これらは発酵の進行とともに減少ないし消失する事実も認められた.
    (3) なお,各種の酵母株がn-パラフィン・エタノールおよび酢酸などからも,糖質原料の場合にべるとはるかに微弱ではあるが,多価アルコールを生産しうることが知られた.
  • 竹市 守, 中村 秀子, 西村 弘行, 水谷 純也
    1973 年 47 巻 8 号 p. 491-495
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    単糖類,二糖類および三糖類のTFA誘導体のGLCにおいて, QF-1, 0V-17およびSE-52のシリコン系低液相充填剤を用いることによって,従来主に使用されているTMS誘導体よりも低温度での分離が可能になった.各カラム間の分離能についての差異は認められたが, OV-17およびSE-52のカラムを用いることによって,分離が困難とされていた三糖類以上の分離が可能である.このような糖類のGLCの応用として,ギョウジャニンニクの遊離糖の検索を行ない,新たにneokestoseおよび1-kestoseの存在を確認した. 5種のAllium属植物を用いて遊離糖類の比較を行なったが,茎葉および鱗茎の間には,ほとんど差異は認められなかった.各植物間においては,二糖類および三糖類の量的比較において,興味ある差異が認められた.
    この研究を行なうにあたり,ギョウジャニンニクの採取にご協力をいただきました北海道大学農学部八戸芳夫教授,ならびに標品のneokestoseおよび1-kestoseをいただきました北海道大学農学部塩見徳夫助手に感謝いたします.
    本報告の概要は,昭和47年12月,日本農芸化学会北海道支部例会で発表した.
  • 松浦 康, 畑中 千歳, 小沢 潤二郎
    1973 年 47 巻 8 号 p. 497-501
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Pectic polysaccharides were extracted from cotyledons of kidney beans under conditions designed to prevent the degradation of pectic substances and separated into a fraction of neutral polysaccharides and those of weakly acidic pectinic acids containing 12.5 to 35.3% of galacturonic acid. Some of the latter fractions were hardly degraded by polygalacturonases, while the rest of the latter were susceptible to the same enzyme though the values of degradation limit were considerably low as compared with those of commercial pectic acids. It was found that polygalacturonase-resistant galacturonosyl residues in the molecules of the weakly acidic pectinic acids are partly esterified by methyl groups. Strongly acidic pectinic acid, the main component of cambium and callus tissue pectins, is probably absent erom the pectin of kidney bean cotyledons. In contrast, the neutral polysaccharide component is present in extraordinary large amount.
  • 梁 逸, 米沢 大造
    1973 年 47 巻 8 号 p. 503-510
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 脱脂乳を緩衝液または乳清で100倍に希釈して, pH6.8からpH5.5付近までの各種のpHを与えてその濁度を測定すると, pHの低下とともに濁度が減少し, pH5.7付近で濁度は最低となった.さらにpHを低下させると,ミセルの集合が起こりはじめ,濁度は上昇する.
    (2) 同様の現象は,脱脂乳そのものでも観察された.ただし脱脂乳の場合は, pH6.3付近まではpHの低下による濁度の上昇が見られ, pH6.3に濁度の極大があらわれた.
    (3) pHの低下による濁度の減少は,溶媒のイオン強度を高めると促進せられ,カルシウム濃度を高めると抑止された.
    (4) pH5.8へのpHの低下によって,ミセルの容積が3/4前後に収縮することがペレット容積,粘度,沈降の測定を通じて明らかにされた.なお,このときミセルタンパク質の乳清への溶け出しは認められなかった.
    (5) 乳清のカルシウム濃度を測定して, pHの低下とともに,ミセルから乳清にカルシウムが移行する状況を観察した.
    (6) 以上の実験結果に基づき, pHの低下による濁度の低下は,カゼインミセルからのカルシウムの離脱によるものであることを結論した.
    (7) ミセルの集合により濁度の上昇がおこるpHは,カルシウム濃度に依存し,カルシウム濃度が高くなるほど低下する事実を認めた,このことから,ミセルの集合が起こるためには,これに先立ってカルシウムの離脱によるミセルの構造の破壊が,まず起こらなければならないと考えた.
  • 戸田 準, 和田 武夫, 藤沢 邦子
    1973 年 47 巻 8 号 p. 511-512
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Textural qualities of sponge foods were evaluated organoleptically and 5 fundamental textural characteristics and the sensory parameters corresponding to each characteristic were established as follows; characteristic I hardness and/or chewiness (primary parameter “hard-soft, ” secondary parameter “crumbly-not crumbly”), II viscosity (primary “viscous-not viscous”), III wetness (primary “dry-wet”), IV oiliness (primary “oily/greasy-not oily/not greasy”) and V fineness (primary “coarse-fine”).
  • 戸田 準, 和田 武夫, 藤沢 邦子
    1973 年 47 巻 8 号 p. 513-514
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Textural qualities of porous rigid foods, such as biscuit, cookie, cracker, rice cracker etc., were evaluated organoleptically. Five fundamental textural characteristics of porous rigid foods and the sensory parameters corresponding to each characteristic were established as follows; characteristic I hardness and/or chewiness (primary parameter “hardsoft, ” secondary “crumbly-not crumbly”), II adhesiveness (primary “sticky-not sticky”), III wetness/moistness (primary “dry-wet”). IV oiliness (primary “oily/greasy-not oily/not greasy”) and V fineness (primary “coarse-fine”). In addition to these descriptive scales, the onomatopoeic words “kari-kari” (crisp) and “boro-boro” (crumbly) were also effective in describing the texture of porous rigid foods.
feedback
Top