Ca型イオン交換樹脂による牛乳中の放射性Srの除去法について検討しさらにイオン交換処理乳の性質変化とその回復法について検討した.この実験に用いられた強酸型および弱酸型の樹脂の種類は放射性物質の除去率にあまり影響しないが, Dowex 50W-X 12, 20~50メッシュの除去率がすぐれていた.樹脂と牛乳の接触時間が長くなるほど除去率は高くなる.またカラム法による流速の除去率に及ぼす影響は, SV 3~60の間ではほとんど認められなかった.
M/R比の増加につれて除去率は低下する.実用的M/R比は10~20が適当であると認められた. M/R比が10の場合の除去率は65~70%, M/R比が20の場合の除去率は50~60%であった.
イオン交換処理前に牛乳のpHを5.3~5.4にすると除去率が高くなることが認められた.
イオン交換処理によって,牛乳のpH,酸度,灰分, Ca含量,加熱試験,レッネット凝固時間,アルコール試験およびカード張力に大きな変化が認められた.この変化は,主としてCaの増加とCa含量の増加に伴なうH
+の増加に原因があると考らえれる.
増加したCaをK型樹脂を用いて除去することによって,変化した性質をほとんどもとにもどすことができた. Ca型イオン交換処理によって牛乳中の
134Csの25%を除去することができ,さらにK型樹脂を通すことによって65%の
134Csを除去することができた.またこのK型樹脂処理によって, Ca型イオン交換処理後除去されずに残っていた
89Srの32%を除去することができた.すなわちCa-K型樹脂連続処理によって
89Srの80%以上と,
134Csの65%を除去しうることが明らかにされた.
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