1. 1000W電球を光源(8寸の距離にあつて直徑1尺5寸の廣さを照す)とし28°~30°に於て籾を發芽せしむる時は重量,水分, Chlorophyll等は次第に増加し發芽の10日目には重量約3倍となり水分は約40%となりChlorophyllは太陽光線下にて發芽せしめた時と殆ど同様に生成せられた,一方乾物量特に澱粉量は漸次減少した.
2. 以上の變化と同時にVitamin Cの生成を見た.
3. Vitamin Cは發芽の3日目に著るしく生成せられ其れ以後漸次増加して發芽の10日目にはモルモツトの體重100g.に對し1日當量0.8~1.0g.(元の籾に換算して)にてその壊血病を完全に豫防し得る程度となる.
Bezssonoff氏試藥の示す結果は動物試驗と正反對な結果は見られなかつたが而も加熱せさりし以前の試料へBezssonoff氏試藥を投じて示す色及び其の濃度はVitamin Cの含量とは必ずしも一致しない,又加熱後試みたものも彼が述べた結果を得られない場合もあつた.
本研究を遂行するに當り御懇篤なる御指導を賜りし恩師近藤金助博士に對し謹みて感謝の意を表す.
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