日本農芸化学会誌
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54 巻, 7 号
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  • 小林 光, 白井 和雄
    1980 年 54 巻 7 号 p. 517-525
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    それぞれ4種の, DNA塩基,デオキシヌクレオシド,デオキシヌクレオチドおよびDNA塩基とデオキシリボースの混合物(いずれも5×10-4M)に空気存在下ならびに窒素置換のもとで, 0.05Mradより2.0Mradの間で6段階の線量のレベルのγ線照射を行った.
    照射検体のUVスペクトルの低下と,ペーパークロマトグラフィーによる残存成分の分離定量値の比較検討の結果, Ade系列およびCyt系列においては,窒素雰囲気中での照射の場合,塩基は遊離型のほうがデオキシヌクレオシドならびにデオキシヌクレオチドの型で存在するよりも安定であった.これは,従来の報告とは逆の知見である.そして, UVスペクトルの低下の傾向と残存量減少の傾向は,必ずしも一致しないことがわかった.
    Thy系列において,いずれの型の場合でも, Thyの放射線分解はかなり急速であるにもかかわらず,アンモニアの生成が僅少であったことより,環の中の窒素はアンモニアにはきわめてなりにくいことがわかった.
    無機リン酸の生成からみたデオキシヌクレオチドの安定性は,プリン塩基を有するもののほうが大であった.
    CDスペクトルの測定結果に基づく, dCydとdCMPのコンフォーメーションの変化の比較では, dCydのほうが大であった.しかしながら,両者ともanti型からsyn型への転移は起らない.
  • 伊藤 嘉典, 森下 芳行, 粟飯原 景昭
    1980 年 54 巻 7 号 p. 527-534
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    腸内細菌によるAFB1の分解機構を明らかにするための基礎的実験として, AFB1が生体内に経口摂取された場合,消化管内の部位により異なるpH条件下にさらされることを配慮し,水素イオン濃度がAFB1に与える影響について, 3段階に分け,薄層クロマトグラフィーを用い検討した.
    Sample I:クロロホルム抽出を行う前の段階
    Sample II:クロロホルム抽出を行った段階
    Sample III:クロロホルム処理残液
    (1) AFB1とpH3.0との接触において, Sample IとSample IIで経時的なAFB1の減少を認めるとともに, AFB2a様物質の増加を認めた.
    (2) AFB1とpH5.0およびpH7.0の接触では, pH5.0のSample IとSample IIでAFB2a様物質が, pH7.0のSample IIIでAFB1類似物質がおのおの痕跡程度認められたが,両pHでAFB1はほぼ安定であることが確認された.
    (3) AFB1とアルカリ条件下(pH 9.0とpH 11.0)での接触において, pH 9.0とpH 11.0のSample Iでそれぞれ48~72時間接触後, AFB1の減少を認めた.また, 24時間以上接触のSample IIで回収されたAFB1量は, pH 9.0で約20%, pH 11.0ではまったく回収されなかった. Sample IIIで, AFB1と同じRf値と螢光を有する物質(AFB1類似物質)を認めた.その量は, Sample IIにおける螢光物質の量の値ときわめて明確な逆相関関係であった.
    (4) AFB1とpH 11.0との短時間接触から, AFB1は約1時間でAFB1類似物質に変ることが明らかになった.
    (5) AFB1類似物質は,クロロホルムでは抽出されず,クロロホルム処理残液中ではUV照射を行っても螢光を発しないが, UV照射下の薄層プレート上では青色の螢光を呈し, 8種類の展開熔媒で, AFB1類似物質はAFB1と同一のRf値を示したが, p-アニスアルデヒド,硫酸および0.5% Fast Blue Salt Bに対する反応では,硫酸でのみ標準AFB1と同じ反応を示し,他の試薬には反応しなかった.
  • 亀岡 弘, 橋本 清二
    1980 年 54 巻 7 号 p. 535-539
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Brassica属植物の成分研究の一環として,世界各地に産するBrassica属の種子の水蒸気揮発性成分について検索を行った.それぞれの化合物はカラムクロマトグラフィー, GLC分取を行い, IR, NMR, GC-MSおよびGLC(tR)を用いて確認した.
    その結果, Brassica junceaではallyl isothiocyanate, dimethyl trisulfide, n-butyl isothiocyanate, 3-butenyl isthiocyanate, 2-phenylethyl isothiocyanate, Brassica nirtaではphenylacetonitrile, 3-phenylpropiononitrile,飽和炭化水素,Brassica campestrisでは3-butenyl isothiocyanate, phenylacetonitrile, 2-phenylethyl isothiocyanate,飽和炭化水素が特徴成分として認められた.
  • 小幡 斉, 水口 博正, 徳山 泰
    1980 年 54 巻 7 号 p. 541-544
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    グルコースの分解生成物であるTRを用いて5種のトリオースレダクトン・モノアニルを合成し,ラードに対する抗酸化性と化学構造との関係を検討するとともに,レダクトン添加によるラードの酸化速度を調べ,次のような結果が得られた.
    (1)エンジオール型レダクトンであるAH2およびTRは,ラードに対してほとんど抗酸化性を示さないが,その誘導体であるトリオースレダクトン・モノアニルは抗酸化性を示した.
    (2)レダクトン類の抗酸化性の序列は, PNA⟩PAP⟩PAA⟩PAM⟩PCA⟩TR⟩AH2となり,トリオースレダクトン・モノアニルのパラ位の置換基定数(σp)とAOM値との間に相関関係があることもわかった.
    (3)トリオースレダクトン・モノアニルとAH2のBHAに対する相乗効果を調べた結果, AH2には相乗効果があり,トリオースレダクトン・モノアニル添加時のラードの安定性を調べた結果,後期の反応段階で, 2分子反応の酸化速度式を用いて直線関係が得られ,酸化速度定数が求められた.
  • 中原 東郎, 佐々木 英次, 神田 幸雄, 栂野 秀夫
    1980 年 54 巻 7 号 p. 545-550
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    汚染底質における細菌叢のペプトン-人工海水中における窒素通気攪拌培養実験,および底質-人工海水(1対1)の振盪培養実験の結果,底質や伝熱管などのスライムにおける硫化水素生成に関して,以下のことが明らかとなった.
    (1)温度の影響として, 25°Cと35°Cとを比較すると,高温のほうが最大発生速度は大きいが,硫酸塩還元細菌の水素供与体が共存する嫌気性細菌から供給される関係から,長期間にわたる生成量では25°Cのほうが多くなった. 5および45°Cでは,硫化水素生成はみられなかった.
    (2)水素供与体の添加の硫化水素生成への影響は,培養初期には大きくない.これは,共存する嫌気性細菌の生成する水素供与体が,それを利用する硫酸塩還元細菌にとって十分であるためであろう.
    (3)全嫌気性細菌の活性は,海水と同じ塩分濃度において最大値を示したが,硫化水素生成速度は,海水塩分濃度の0.5~2倍の範囲においては塩分濃度の減少とともに増加し,淡水性硫酸塩還元細菌の寄与の大きいことを示した.
    (4)硫化物で黒化した汚染底質では,有機物および硫化物の量はその消費,生成などの変化速度に比べ十分な蓄積をなしており,その時間的変動は小さい.しかし,そこに蓄積された有機物の全体量が硫化水素生成量を規定し,有機物量と硫化物量とは一種の安定な平衡状態を形成する.
  • 滝沢 孝一, 鈴木 隆元, 福田 憲六
    1980 年 54 巻 7 号 p. 551-553
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The special starch paste termed “Furunori” was traditionally used in Japan for “Kakejiku, ” because the paste possesses an anti-fungal activity and an adequate adhesive power for the mounting.
    In this report, the anti-fungal activity was demonstrated by the experimentally produced Furunori under the laboratory condition. It has been shown that the mold mite, Tyrophagus putrescentine growing on the surface pad of fungus in the maturation process of Furunori, participates in the development of the anti-fungal activity.
  • 池田 庸之助
    1980 年 54 巻 7 号 p. 555-559
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 梶 明
    1980 年 54 巻 7 号 p. 561-567
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 第3回検索上の問題点
    山中 啓
    1980 年 54 巻 7 号 p. 589-595
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 人工乳び球
    N. Y.
    1980 年 54 巻 7 号 p. 597-598
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 米国油化学会の合同世界大会に出席して
    畑中 顕和
    1980 年 54 巻 7 号 p. 598-601
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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