(1)
Aspergillus aureusの麩麹水抽出物より耐酸性の高いα-アミラーゼの単離を行ない,ディスク電気泳動的に均一な標品を得た.
(2)本酵素の等電点はpH 3.55 (焦点電気泳動法)であり,分子量は約60,000 (ゲル濾過法)と推定された.
(3)本酵素はpH 2.5, 37α°C, 30分の酸性処理に耐える耐酸性の酵素であった.
(4) Ca
2+イオンの共存は,本酵素の安定化に若干寄与するばかりでなく, pH-活性曲線および活性の温度依存性に対して顕著な影響を与えた.
(5)作用最適pHはCa
2+イオン共存下でpH 4.5付近, Ca
2+イオン非共存下でpH 5.5付近であった.
(6)本酵素の活性は金属キレート産薬, SH試薬, S-S結合の酸化還元試薬などにより影響を受けず, Al
3+, Fe
3+およびPb
2+イオンによって強く阻害された.
(7)本酵素の可溶性澱粉に対する分解限度は約43%であり,分解率16%に差するとコード反応の呈色は消失した.主たる分解生成物はグルコース,マルトース,マルトトリオースであった,
(8)本酵素は,マルトースおよびフェニルα-グルコシドに対しては作用しなかった.
(9)本酵素は,フェニルα-マルトシドに対してマルトースとフェニル基の間を切断するばかりでなく,マルトースを構成するグルコース間も切断した.また,高基質濃度(50mM)においては,糖転移反応に由来すると思われる著量のオリゴ糖(TLCの
Rf値よりマルトトリオースと推定される)の生成が認められた.
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