カーボンクリアランス法により,白ネズミの貪食作用に刺激的な活性をもつ多糖体分画が,クロレラの水抽出物に見い出された.市販クロレラ菌体製品からのアセトン脱脂粉末を80°C, 6hr水で抽出し,その抽出物より塩基性酢酸鉛による除蛋白を3回繰り返して凍結乾燥し,得られた粗抽出物は水に易溶で,まだ多量の蛋白質(Nとして8.0%)を含んでいるが,単なる温水抽出物の不安定な活性に反して,安定した活性を示した.この粗抽出物を, Sephadex G-75でゲル濾過すると2種の多糖体分画が得られ,最初の分画の多糖体は,主としてラムノースとガラクトースからなり, N含量は少ないが(2.2%), C. C.活性は微弱であった.第2の分画は,なお豊富にNを含有し(3.8~9.1%)蛋白質に富むが,著しい活性を示した.その多糖体は,主としてグルコースからなり,プロナーゼ処理後透析して除蛋白すると, N含量は0.6~0.8%まで減少し,しかも活性はほとんど変わりなく,糖含量は著しい上昇(14%から85%)をみた.これらの成績から,この分画に含まれる活性物質が,ポリグルコシドに基づくことは確実である.なおSephadex G-75によるゲル濾過法で,その活性物質のポリグルコシドの推定分子量は,対照としての既知分子量3500のglucagonとほぼ一致するところから,約3500とみられた.
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