日本農芸化学会誌
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46 巻, 8 号
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  • 小島 瑞, 猪野 茂, 高瀬 信夫, 宍戸 教治, 小林 精三郎, 土橋 陸夫, 渡辺 兼男
    1972 年 46 巻 8 号 p. 373-380
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    カーボンクリアランス法により,白ネズミの貪食作用に刺激的な活性をもつ多糖体分画が,クロレラの水抽出物に見い出された.市販クロレラ菌体製品からのアセトン脱脂粉末を80°C, 6hr水で抽出し,その抽出物より塩基性酢酸鉛による除蛋白を3回繰り返して凍結乾燥し,得られた粗抽出物は水に易溶で,まだ多量の蛋白質(Nとして8.0%)を含んでいるが,単なる温水抽出物の不安定な活性に反して,安定した活性を示した.この粗抽出物を, Sephadex G-75でゲル濾過すると2種の多糖体分画が得られ,最初の分画の多糖体は,主としてラムノースとガラクトースからなり, N含量は少ないが(2.2%), C. C.活性は微弱であった.第2の分画は,なお豊富にNを含有し(3.8~9.1%)蛋白質に富むが,著しい活性を示した.その多糖体は,主としてグルコースからなり,プロナーゼ処理後透析して除蛋白すると, N含量は0.6~0.8%まで減少し,しかも活性はほとんど変わりなく,糖含量は著しい上昇(14%から85%)をみた.これらの成績から,この分画に含まれる活性物質が,ポリグルコシドに基づくことは確実である.なおSephadex G-75によるゲル濾過法で,その活性物質のポリグルコシドの推定分子量は,対照としての既知分子量3500のglucagonとほぼ一致するところから,約3500とみられた.
  • 川瀬 勝凡, 林敬 次郎
    1972 年 46 巻 8 号 p. 381-383
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Allomaltol (5-hydroxy-2-methyl-ϒ-pyrone, VI) which is an isomeric-ϒ-pyrone carrying the methyl group at the 6-position different from that of maltol, has been known to be of little significance as flavor-improver.
    The present authors have discovered for the first place that homologous allomaltols which carry various alkyl or alkenyl groups at the 6-position have acquired much-improved aroma-qualities comparable with maltol itself and are practically applicable for improving and/or enhancing flavors wide variety of foods.
    6-Alkyl-allomaltols (5-hydroxy-2-methyl-6-substituted-ϒ-pyrone, Va_??_d) were obtained easily by reduction of the hydroxylic intermediates which were drived from the reaction of kojic acid and aldehydes in the presence of sodium hydroxide.
    6-Vinyl allomaltol (5-hydroxy-2-methyl-6-vinyl-ϒ-pyrone, VIII) was obtained by dehydration of the intermediate (VII).
  • 梅津 良逸, 志村 憲助
    1972 年 46 巻 8 号 p. 385-391
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    家蚕(Bombyx mori L.)体液中には,トリプシンインヒビターが存在することを発見し,体液より硫安分別沈殿, Dowex-1クロマトグラフィーおよびDEAE-セルロースのクロマトグラフィーにより,トリプシンインヒビターを部分精製した.
    部分精製したトリプシンインヒビターは,超遠心沈降図形では,ほぼ均一で, S20, wは4.5Sであった.本インヒビターは,酸性溶液中で失活しやすく,また55°C, 10分間の加熱でほとんど失活した.
    分離した家蚕トリプシンインヒビターlμgは,トリプシン2.4μgと結合し,その酵素活性を完全に失活させた.
    家蚕トリプシンインヒビターは,天然に存在するトリプシンインヒビター中では,耐熱性と耐酸性においては,回虫のインヒビターにその性質が類似していた.
  • 藤田 真一, 中野 敏子, 藤田 安二
    1972 年 46 巻 8 号 p. 393-397
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Mentha Gattefossei Maireの生化学的研究を行なった.
    生育に伴う収油率および成分組成の変化から,次の結論を引き出した.
    (1)精油生産期においては, piperitenoneの生産に伴い,まず律速的に1(2)位の二重結合が選択的に還元されて, pulegoneが生じる.
    (2)開花期においてはpulegone, piperitenoneの4 (8)位の二重結合の還元がはじまり, pulegoneからはmenthoneへ,少量残っているpiperitenoneからはpiperitoneへと還元が進行する.
  • 内藤 博, 神立 誠
    1972 年 46 巻 8 号 p. 399-403
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    成熟シロネズミに,酸化カゼイン20%水準でトリプトファン欠乏またはメチオニン欠乏食を2週間与え, 35Sメチオニン注射後の肝臓,血清アルブミンおよびグロブリン中の35Sの減衰をpaired-feedingした20%カゼイン群,無蛋白食群のものと比較し,以下の結果をえた.
    (1)比放射能値は,つねに無蛋白群とメチオニン欠乏群で高く,メチオニンの生体内における希釈度が低いことと,再利用性の増大などに起因するものと考えられる.
    (2)トリプトファン欠乏で,肺臓の半減期は増加しなかった.
    (3)血清アルブミンの半減期は,トリプトファン欠乏で増加する傾向を示した.
    (4)血清グロブリンの半減期は,トリプトファン欠乏で増加し,血清中のグロブリン濃度の減少に関連するように思われる.
  • 菊地 忠昭
    1972 年 46 巻 8 号 p. 405-409
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)大豆の蒸煮液中の多糖類を分画し,中性のアラビノガラクタンと分子量,ガラクチュロン酸含有量の異なる2種の酸性多糖類(AP-1および2)を得た.それぞれは,およそ10%, 63%, 27%の割合で含まれていた.
    (2) AP-1はアルカリ処理の結果から考えて,ガラクチュロナン-アラビノガラクタン複合体であり, AP-2はペクチニン酸であることを認め,前者は細胞壁matrixの,後者はmiddle lamellaの主成分であると推定した.
    (3) AP-1の2種の酵素に対する挙動から,大豆細胞壁の可溶化におけるペクチナーゼの重要性を示唆した.
  • 入來 義彦, 増尾 恵美子, 内山 久美子, 古田 秀一, 奥山 邦子, 佐藤 康博
    1972 年 46 巻 8 号 p. 411-415
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    キツネノボタンの花・茎・葉に含まれる熱アルコール可溶性糖類について調べ,つぎのような結果を得た.
    (1)アルカリ性硝酸銀試薬陽性物質は,花と茎では9種,葉では8種であるが,花・茎・葉とも, D-グルコース, D-7ルクトース,スクロース,アシル化糖類が比較的多い.
    (2)アシル化糖類はギ酸,未同定の酸, D-グルコースよりなるものと推定された.
  • 畑中 千歳, 小沢 潤二郎
    1972 年 46 巻 8 号 p. 417-420
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    展開液として重炭酸アンモニウムを用い, DEAE-Sephadex A-25によるカラムクロマトグラフィーを行なうと, dimer~nonamerのオリゴウロニドが互いによく分離された.また,ジガラクチュロン酸と4, 5-不飽和ジガラクチュロン酸間の分離も容易であった.
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