HUのDNAに対する反応性を粘度,濾紙電気泳動およびショ糖密度勾配遠心分離により検討し, HUは作用条件に応じてDNAの1本鎖切断, 2本鎖切断さらには完全な低分子化をひき起こし,とくに反応にはCu
2+の共存が有効であることを確かめた.
すなわちCu
2+の共存下にHUをDNAに作用させると,その粘度を低下した.その作用はHUの濃度に応じて増大し,またCu
2+1×10
-3Mないし1×10
-4M, pH8において顕著であったが, HAの場合のような過酸化水素による強い促進効果は認められなかった.
他方, DNAを95°C, 30分間加熱しても濾紙電気泳動により移動する低分子成分は生成せず原点に留るが, 1×10
-2M HUを反応させると陽極に移動する成分を生じた.さらにHUとともに1×10
-4M Cu
2+を同時に作用させると,反応を著しく促進し,ほとんど低分子化した.
またDNAに1×10
-2M HUおよび1×10
-4M Cu
2+を37°C, 3~4時間作用させると, DNA分子の切断が起こることをショ糖密度勾配遠心分離により確かめた.しかし, HU濃農の低下やCu
2+の除去など,反応条件を緩和するとその効果は減少するが,その場合にも1本鎖切断を起こすことが,アルカリ性ショ糖密度勾配遠心分離により認められた.なお,これらの作用はHUによるものであって,反応中に生成するHAの作用ではないことが, HA生成量の検討から示された.
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