日本農芸化学会誌
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49 巻, 8 号
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  • 矢ケ崎 一三, 田中 秀幸, 山口 迪夫, 亀高 正夫
    1975 年 49 巻 8 号 p. 387-394
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    飼料中臆質および糖質源の組み合わせが,幼若シロネズミの肝臓脂質および脂質代謝におよぼす影響について,精製全卵蛋白質を5PC%(蛋白質・熱量百分率)含む低蛋白飼料を用いて検討した, 5PC%飼料で,糖質源としてトウモロコシ澱粉を用いた場合,大豆油10%(w/w)を含む飼料は,ラード10%を含む飼料に比べて肝臓総脂質含量を増加させる傾向を示し,同じく大豆油5%を含む飼料に比べて有意に増加させた.脂質源として10%大豆油を用いた5PC%飼料で,糖質源としてショ糖を含む場合は,トウモロコシ澱粉を含む場合に比べて,肝臓蛋白質含量を低下させる傾向を示し,体重増加量を有意に減少させ,肝臓総脂質およびトリグリセリド含量をやや増加させた.また,対照区として用いた20PC%飼料に比べて,トウモロコシ澱粉,ショ糖のいずれの場合も,肝臓トリグリセリド含量を約2倍に増加させた.ショ糖を含む5PC%飼料において,大豆油を10%から20%に増加させると,肝臓総脂質含量は有意に増加した,大豆油10%およびショ糖を含む場合, 5PC%飼料は20PC%飼料に比べて,肝臓総脂質およびトリグリセリドへの酢酸-2-14Cの取り込みを増加させ,血清超低密度リポ蛋白質中のトリグリセリドおよび蛋白質量を低下させた.
  • 阿部 昭吉
    1975 年 49 巻 8 号 p. 395-400
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    1. Blepharisma japonicum Suzukiの培養液にアンモニアを加えると, blepharismaは繊毛などを失って,球状の細胞に変化する.
    2. 形成された球状の細胞を球状細胞(Spherocell)と呼び,種々の窒素化合物を試験しで,球状細胞を形成する活性があるかどうかを調べた.
    3. 球状細胞形成には,多くの窒素化合物が活性を持っていることから,活姓発現に,窒素化合物の構造特異性が要求されないことが分った.
    4. 非共有電子対を持たない第4級アンモニウムは,活性を持たないことが分った.
    5. 球状細胞形成活性の強い窒素化合物は,大きなpKaを持ち, pKaの小さな化合物は活性を示さなかった.以上の結果から, blepharismaの球状細胞形成の活性強さには,窒素原子上の非共有電子対密度が関与しているといえることが分った.
  • 村上 浩紀, 白畑 実隆, 山田 耕路, 大村 浩久
    1975 年 49 巻 8 号 p. 401-407
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    アドレナリン,ノルアドナリン,ドーパミン,ドーパおよびピロカテコールといった芳香族レダクトンのCu2+による酸化におよぼす核酸成分の調節作用を調べ,次の結果を得た.
    1. Cu2+共存下でのノルアドレナリンの酸化は,核酸成分のうちアデニンおよびグアニンによって最も著しく促進され,ついでシトシン,グフノシン,シチジン, CMPおよびcyclic AMPが強い酸化促進作用を示した.チミン,アデノシン,チミジン, GMPおよびAMPの促進効果は比較的弱かった.
    2. 塩基のうち,アデニンはすべての芳香族レダクトンの酸化を著しく促進した.シトシンでは,アドレナリンおよびノルアドレナリンの酸化促進が著しかった.チミンはノルアドレナリンに弱い促進効果が認められたが,他のレダクトンの酸化はまったく促進しなかった.
    3. Cyclic AMPはアドレナリン,ノルアドレナリンおよびドーパミンのCu2+による酸化を促進したが, ATPはこれらのレダクトンのCu2+による酸化を抑制した.この両者の相反した性質から,カテコールアミン刺激によって活性化されたアデニルシクラーゼによるATPからのcyclic AMPの生成において, cyclic AMPがCu2+共存下での負のフィードバックのもとに生産されている可能性が推定された.
  • 志田 俊郎, 本間 保男, 見里 朝正
    1975 年 49 巻 8 号 p. 409-415
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    N-ラウロイル-L-バリン(No. 5)の植物体への付着性,侵入移行性および分解性について検討した.
    (l) No. 5のイネ葉および葉鞘またはキュウリ果実への付着性はきわめて弱く,簡単な洗浄だけで散布したNo. 5の大部分は洗い流されてしまう.
    (2) No. 5はイネ,キュウリの葉の健全部位からは侵入移行しにくく,損傷部位からは上下両方向に移行する.
    (3) 根部からも,ごくわずかではあるが侵入すると思われる.
    (4) キュウリの果実の損傷部位からも侵入する.
    (5) イネ体およびキュウリ果実の組織細胞磨砕物とNo. 5-14Cとを反応させると,わずかながら14CO2の生成が認められた.
    (6) これらの結果と前報までの報告から, No. 5が自然界に散布された場合の挙動について推論した.
  • 小野 伴忠, 早川 美次, 小田切 敏
    1975 年 49 巻 8 号 p. 417-424
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    分画遠心分離法を用いて,カゼインミセルをサイズにより分画し,脱カルシウム剤添加によるミセルの組成変化を調べた.
    (1) 脱カルシウム剤添加によりカゼインミセルは不定形となり,小粒子が増加した.
    (2) 脱カルシウム剤添加・未添加にかかわらず,ミセルサイズが大きいほどカルシウム含量は高く,径が60mμ以下になると,一定の値20~23 mg/g caseinとなった.
    (3) 無機りんの含量は,脱カルシウム剤添加・未添加にかかわらずサイズが大きいほどわずかに多く,有機りんはサイズにかかわらず一定であった.
    (4) 脱カルシウム剤添加によって生じた小粒子は,大粒子とほとんど同じカゼイン組成をもっているにもかかわらず,安定に分散していた.
    (5) 脱カルシウム剤の添加により,β-カゼインの脱離が起った.
    (6) ミセルの大きさを保持する因子として,カゼイン組成よりも無機塩含量が主要なかかわりあいをもつと考えられる.
  • 田中 米実, 林田 晋策, 本江 元吉
    1975 年 49 巻 8 号 p. 425-429
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    米粉から調製されたRPB, RPBP, RPSTおよびRPBPSと,米食日本人の屎から分離されたFPPについて,ペプシン,トリプシンおよびトリプシンとステアプシンの併用,さらに細菌プロテアーゼおよび放線菌プロテアーゼなどの酵素による人工消化試験を行ない,次の結果を得た.
    1) ヒト消化管では,米タンパク質の16~18%が難消化性を示し, FPPに移行するものと推定された.
    2) 白米には易消化性RPBと難消化性RPBが存在し,その数比は7:3であった.
    3) 加圧加熱処理(120°C, 20分間)FPPのペプシンによる消化率は,無処理に比して7%増加した.
    4) FPPのアルカリ処理中和物のペプシンによる消化率は,無処理に比して56%増加した.
    5) FPPの細菌プロテアーゼおよび放線菌プロテアーゼによる消化率は,ペプシンの消化率に比して13%および15%いずれも増加した.
  • 舩引 龍平, 樋口 紀美子
    1975 年 49 巻 8 号 p. 431-433
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    On determinating whether the protein undergoes random manner turnover or chronological degradation, it is discussed by the mathematical models of the two compartmental systems that the excretion patterns of the radioactivity of the specific substances derived exclusively from the specific proteins, if which is available, is helpful to exclude the possible hazard of misinterpretation.
    Potential usefulness of the excretion pattern of radioactivity of 3-methylhistidine in urine after the administration of 14CH3-methionine on determinating the type of turnover of myosin and actin in skeletal muscle is proposed.
  • 高 栄泰, 柳田 晃良, 菅野 道廣
    1975 年 49 巻 8 号 p. 435-437
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The effect of lipid oxidation on the nutritive value_??_ proteins was investigated using a model system _??_mposed of protein-ethyl linoleate-sugar. The mix_??_re was kept at 50°C, RH 80.4% for 1_??_2 weeks _??_der fluorescent light. Available lysine and di_??_estibility in vitro by pepsin and trypsin were_??_ easured with defatted proteins.
    1. The effect of sugars on casein: The decreases _??_the quantity of available lysine and the digesti_??_lity by trypsin were remarkable with glucose or _??_alactose in comparison with sucrose, lactose, cellu_??_se or corn starch. No differences were observed on _??_e digestibility by pepsin though it was decreased.
    2. The effect of the amounts of lipid on casein: he extents of the decreases in the three paraeters measured were remarkable with the increasg amounts of lipid. Even without lipid but glu_??_se was presented, there was a considerable _??_terioration of casein.
    3. The effect on different proteins: The extent deterioration of casein was remarkable in com_??_rison with that of gluten or soy-bean protein.
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