P. verruculosum L 9と
T. viride L 6の相互作用による赤色色素生成に及ぼす培地組成の影響について検討し,次の結果をえた.
(1) 天然培地ではグルコース1.0%,ペプトン(Difco)1.0%の培地が色素生成に最適であった.同じペプトンでも銘柄によって色素生成量が異なり,ある銘柄のペプトンでは全く色素が生成されなかった.
(2) ペプトンの濃度は色素生成に大きな影響を与え, 1.0%以上の濃度では顕著に色素の生成がみられたが, 0.1%以下のペプトンでは色素の生成がみられなかった.
(3) 0.4%以上のグルコースではかなりの赤色色素の生成がみられたが, 0.1%以下のグルコースでは色素は全く生成されなかった.
(4) 糖類の中ではマンノースのみがグルコースと同程度に色素を生成したが,その他のヘキソース,.ペントース,二糖類,多糖類ではほとんど色素を作らなかった.
(5) リンゴ酸からは顕著な色素生成がみられたが,その他の供試有機酸,ポリアルコール,アルコール類からは色素の生成はみられなかった.
(6) 半合成培地ではグルコース4.0, MgSO
4・7H
2O 0.1, MnSO
4・4H
2O 0.1, KH
2PO
4 0.5, ZnSO
4 0.01%にカザミノ酸または尿素1.0%を添加したpH 6.0の培地が良好な色素生産を示した.
(7) この培地の窒素源をNH
4OH, NH
4Cl, NH
4NO
3,(NH
4)
2SO
4, (NH
4)
2CO
3とした培地では(pH 6.0),全く色素が生成されなかった.
(8) アミノ酸の中ではL-アルギエンHClとDL-プロリンのみが,単独でペプトンと同じ効果を示した.
(9) L-アルギニンHClはグルコース1.0%に対し, 1.0%の濃度でDL-プロリンは2.0%の濃度で最高の色素生成を示した.
(10) サイアミン,パラアミノ安息香酸,ビオチン,葉酸,パントテン酸,ピリドキサル,ニコチン酸などのビタミンは色素生成に影響を与えなかった.
抄録全体を表示