日本農芸化学会誌
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35 巻, 12 号
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  • Penicillium属L 9菌の分類学的性状
    那須野 精一, 朝井 勇宣
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1117-1121
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    鮭罐詰レーベルに発生したカビから分離されたカビのうち,相互作用によって赤色色素を生成するものを2種分離した.その中の1種, Penicillium属菌について分類学的性状を明らかにし, P. verruculosum L 9と命名した.またこの菌がグルコースからグルコン酸をかなり多量に(対糖12.5%以上)作ることを明らかにした.
    この菌を含めてP. verruculosumに属する各種の菌株がTrichoderma属のカビとの相互作用により,またP. verruculosum IAM 7073は他のPenicillium属との相互作用により,顕著に赤色色素を生成する事実を明らかにした.
  • Trichoderma属L 6菌の分類学的性状
    那須野 精一, 朝井 勇宣
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1121-1126
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    相互作用によって赤色色素を発現する2種のカビが,鮭罐詰のレーベルから分離され,その中の一方は既に, Penicillium verruculosum L 9と命名された.残りの1種がTrichoderma virideに属することを明らかにし,これをT. viride L 6と命名した.
    この菌が他のPenicillium属菌,他のTrichoderma属菌, P. verruculosumの各菌株との相互作用によって赤色色素を発現する状況ならびに第1報で得た結果から,この赤色色素の前駆物質がP. verruculosumの側で作られ,T. virideの作用をうけて発色するのであろうと推定した.
  • P. verruculosumと各種のカビとの相互作用による色素の発現
    那須野 精一, 朝井 勇宣
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1126-1131
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    P. verruculosumの各菌株とAspergillus属, Rhizopus属, Deuteromycetes目, Basidiomycetes目のカビ類との相互作用による色素の生成について検討した結果,P. verruculosum IAM 7073は試験した10株のAspergillus属のカビと赤色色素を作り, Asp. tamariiは黄色色素を作りやすいことが分った.またRhizopus属, Mucor属菌は色素を作りにくく,色素を生成する菌株も少なかった. P. verruculosum IAM 7073は試験に供したDeuteromycetesの多数の菌株と作用して赤色色素を作ったが,他のP. verruculosumの菌株では極く僅かないしはほとんど色素を生成しなかった.
    P. verruculosum IAM 7073をまBasidiomycetes属菌との相互作用によっても,かなりよく赤色色素を生成した. Gloeophyllum sepiarium, Daedalea quercinaでは黄色ないし褐色の色素が生成された.
    これらの結果からP. verruculosumと他のカビとの相互作用による赤色色素の生成はかなり普遍的なものであることが分った.
  • 色素生成に及ぼす培養条件
    那須野 精一, 朝井 勇宣
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1131-1135
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    P. verruculosum L 9とT. viride L 6 との相互作用による赤色色素の生成におよぼす培養条件について検討し次の結果をえた.
    (1) 寒天平板培養では初発pHの影響はpH 4.0からpH 8.0の間において殆んど認められないが,液体培地では赤色色素生成の最適pHは6.0~7.0であった.
    (2) P. verruculosum L 9をあらかじめ培養したものに., T. viride L 6の胞子を接種した場合には,一次培養の影響が大きく, 2時間以上の一次培養で色素の生成は著しく減少し, 6時間以上ではほとんど色素を作らなかった.
    (3) T. viride L 6をあらかじめ培養したものに, P. verruculosum L 9の胞子を接種した場合には,一次培養の影響はそれほど大きくなく,一次培養1~6, 16, 24, 48時間では対照と同程度に色素を生成した.一次培養7, 8時間では色素の生成量が大分減少した.
    (4) P. verruculosum L 9とT. viride L 6の胞子接種量が色素め生成に大きな影響を与えることが認められた.前者が後者の5~15倍では色素はほとんど生成されないが,逆に後者が前者の1~15倍では赤色色素の著しい生成がみられた.
    以上のことから,赤色色素の生成にはP. verruculosum L 9が主動的な役割を果しているものと考えられる.
    (5) 色素生成に及ぼす酸素の影響を明らかにし,胞子形成と色素生成との間に相関性があることを示唆した.
    (6) 色素は両菌が生育できる20~30°の温度範囲で生成し,生育の至適温度が色素生成にも最適であった.
  • 色素生成に及ぼす培地組成
    那須野 精一, 朝井 勇宣
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1136-1141
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    P. verruculosum L 9とT. viride L 6の相互作用による赤色色素生成に及ぼす培地組成の影響について検討し,次の結果をえた.
    (1) 天然培地ではグルコース1.0%,ペプトン(Difco)1.0%の培地が色素生成に最適であった.同じペプトンでも銘柄によって色素生成量が異なり,ある銘柄のペプトンでは全く色素が生成されなかった.
    (2) ペプトンの濃度は色素生成に大きな影響を与え, 1.0%以上の濃度では顕著に色素の生成がみられたが, 0.1%以下のペプトンでは色素の生成がみられなかった.
    (3) 0.4%以上のグルコースではかなりの赤色色素の生成がみられたが, 0.1%以下のグルコースでは色素は全く生成されなかった.
    (4) 糖類の中ではマンノースのみがグルコースと同程度に色素を生成したが,その他のヘキソース,.ペントース,二糖類,多糖類ではほとんど色素を作らなかった.
    (5) リンゴ酸からは顕著な色素生成がみられたが,その他の供試有機酸,ポリアルコール,アルコール類からは色素の生成はみられなかった.
    (6) 半合成培地ではグルコース4.0, MgSO4・7H2O 0.1, MnSO4・4H2O 0.1, KH2PO4 0.5, ZnSO4 0.01%にカザミノ酸または尿素1.0%を添加したpH 6.0の培地が良好な色素生産を示した.
    (7) この培地の窒素源をNH4OH, NH4Cl, NH4NO3,(NH4)2SO4, (NH4)2CO3とした培地では(pH 6.0),全く色素が生成されなかった.
    (8) アミノ酸の中ではL-アルギエンHClとDL-プロリンのみが,単独でペプトンと同じ効果を示した.
    (9) L-アルギニンHClはグルコース1.0%に対し, 1.0%の濃度でDL-プロリンは2.0%の濃度で最高の色素生成を示した.
    (10) サイアミン,パラアミノ安息香酸,ビオチン,葉酸,パントテン酸,ピリドキサル,ニコチン酸などのビタミンは色素生成に影響を与えなかった.
  • Thiramの熱分解(その2)
    村田 道雄
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1141-1144
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Bis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfideをその融解温度で30分間乾熱分解し,生成物としてtetramethylthioureaと二硫化炭素を単離確認し,これ以外のものは得られなかった.
    (2) Thiramをその融解温度で60分間乾熱分解し,生成物としてtetramethyithiourea,二硫化炭素およびイオウを単離確認し,これ以外のものは得られなかった.
    (3) Thiramをその融解温度で乾燥空気を吹き込みながら60分間乾熱分解をおこなった結果,生成物は(2)と同様であった.
    (4) 以上のことよりthiramは乾熱により鎖状に結合するイオウの1つが遊離してbis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfideとなり,この中間物を経てtetramethylthioureaと二硫化炭素に分解するものと推察される.
  • Thiramの熱分解(その3)
    村田 道雄
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1145-1148
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Thiramに水蒸気を吹き込みつつその融解温度で加熱分解をおこないbis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfide, tetramethylthiourea,イオウ,二硫化炭素および少量のdimethylammonium dimethyldithiocarbamateを単離確認した.
    (2) 発生ガスにつき精査して,硫化カルボニル,ジメチルアミンおよび硫化水素の存在を確認した.
    (3) 単離した分解生成物の量から類雄し, thiramはまず鎖状に結合するイオウの1つを離してbis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfideとなり,これに水が反応してdimethylammonium dimethyldithiocarbamateと硫化カルボニルに分解する.このいずれもが分解中間物であって,硫化カルボニルは硫化水素と炭酸ガスに分解し, dimethylammonium dimethyldithiocarbamateは,さらにtetramethylthioureaおよび硫化水素に分解するとともに,また二硫化炭素およびジメチルアミンにも分解するものと推定される.
    (4) したがって, thiramは水の存在において最終的にはイオウ, tetramethylthiourea,二硫化炭素,硫化水素,炭酸ガスおよびジメチルアミンに分解するものと考えられる.
  • Thiramの熱分解(その4)
    村田 道雄
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1149-1153
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Bis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfideを水の存在において熱分解をした.その生成物として二硫化炭素, tetramethylthioureaおよびdimethylammonium dimethyldithiocarbamateを単離し,硫化カルボニル,硫化水素およびジメチルアミンの生成を確認した.このことよりthiramは水の存在においても乾熱分解の場合と同様,まず鎖状に結合するイオウの1原子が分離してbis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfideとなることが判明した.
    (2) 乾熱分解では生成されなかったdimethylammonium dimethyldithiocarbamateの立場を精査するため,これを乾燥および水の存在において加熱したが,分解はほとんどおこらず,熱安定性が高いことが判明するとともに,昇華性の大きいことがわかった.わずかに硫化水素およびジメチルアミンを生成することより,この一部分はtetramethylthioureaと硫化水素に,あるいは二硫化炭素とジメチルアミンに分解するものと思われる.このことより推定して水の介在においてthiramが分解する場合も,その大部分はまず1原子のイオウを分離し, bis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfideを経てtetramethylthioureaと二硫化炭素に分解する.水と反応してdimethylammonium dimethyldithiocarbamateになるものはその一部分にすぎない.したがって,前報(1)におけるdimethylammonium dimethyldithiocarbamateが,水の存在する場合のthiramの分解中間物という推論よりも,新らしい分解経路を考えるのが合理的である.
    (3) Dimethylammonium dimethyldithiocarbamateの溶解性を試験した結果,水,メチルアルコール,エチルアルコール,アセトンおよびクロロホルムに易溶性,二硫化炭素,ベンゼンおよびエーテルに難溶性,ノルマルヘキサンおよび石油エーテルに不溶性であった.
    (4) Tetramethylthioureaに0°, 40°および100°で硫化水素を吹き込み, dimethylammonium dimethyldithiocarbamateが生成されるか否かを試みたが,両者は反応しなかった.
    (5) Thiramおよびbis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfideに硫化水素を吹き込みながら分解をおこなった.その結果,thiramはまず鎖状に結合するイオウの1原子を遊離してbis (dimethylthiocarbamoyl) monosuifideとなり,これに硫化水素が反応してdimethylammonium dimethyldithiocarbamateとなるが,この量はわずかである.大部分のbis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfideは,乾熱分解の場合と同様にtetramethylthioureaと二硫化炭素に分解する.
  • Thiramの熱分解(その5)
    村田 道雄
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1154-1158
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Thiramにジメチルアミンガスを吹き込みながらその融解温度において加熱分解をおこない,分解物としてtetramethylthiourea,二硫化炭素,イオウおよびdimethylammonium dimethyldithiocarbamateを単離し,発生するガスより硫化水素の生成を認めた.なお,単離した生成物の量は,硫化水素の吹き込みあるいは水の介在における熱分解の生成物とくらべ二硫化炭素の量が少ない反面, dimethylammonium dimethyldithiocarbamateの量が多かった.
    (2) Bis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfideにジメチルアミンガスを吹き込みながら分解をおこなった結果, thiramの場合にくらベイオウの生成をみなかった他はほぼ同様の成績を得た.
    (3) Tetramethylthioureaとジメチルアミンを,室温放置および煮沸をおこなったが両者は反応しないことがわかった.
    (4) ジメチルアミン水溶液に硫化水素を飽和させて反応を試みたが,両者から別個の物質は生成されなかった.
    (5) 以上の実験結果を考察し, thiramは第一段階でイオウの1原子を遊離してbis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfideとなり,ついで二硫化炭素とtetramethylthioureaに分解し,ここに生じた二硫化炭素の一部分は添加されたジメチルアミンと反応してdimethylammonium dimethyldithiocarbamateを生成する.また, bis (dimethylthiocarhamoyl)monosulfideの一部分は, tetramethylthioureaと硫化水素に,あるいはdimethylammonium dimethyldithiocarbamateとtetramethylthioureaに分解するものと推論される.
  • Thiramとその分解物の抗菌力およびそれらの組み合わせによる抗菌作用
    村田 道雄, 坂部 フミ
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1158-1163
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Thiramの分解物(17~21)個々の抗菌力を分生胞子発芽抑制試験法(B. cinerea)および阻止円法(B. subtilisならびにB. nigricans)により試験した.分生胞子発芽50%抑制濃度はThiram O.48ppm, bis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfide 1.13ppm, dimethylammonium dimethyldithiocarbamate O.93ppm,イオウ70~80ppm,硫化水素100~300ppm,ジメチルアミン約500ppmであり, tetramethylthioureaおよび二硫化炭素は,それぞれ2500ppmおよび975ppmでも分生胞子の発芽を抑制しなかった.
    また,明りょうな阻止円をつくるものは, thiram, bis (dimethylthiocarbamoyl)monosulfideおよびdimethylammonium dimethyldithiocarbamateのみであり,後2者はthiramの2倍薬量においてほぼ同等の阻止円であった.
    (2) Thiram, bis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfideおよびdimethylammonium dimethyldithiacarbamateの薬量-発芽抑制曲線はほぼ同等の傾斜を示した.したがって,これらの抗菌作用は同一機構によると考察される.
    (3) Thiramの分解物を,分解過程にしたがって理論値にもとづく薬量割合で組み合わせ,抗菌力を比較し.た結果,これらの総合抗菌力は低下するのみで,分解物相互の協力作用は認められなかった. thiramにイオウまたはジメチルアミンを添加したものもthiramの抗菌力を助長することは認められない.
    (4) これらのことより, thiramの殺菌作用をその分解物に求める既往の説(3~8)は肯定し難い.
  • スルフォンアミド剤の塩基性アミノ酸塩の理化学的性状並びに抗菌作用について
    佐渡 卓朗
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1164-1169
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Sulfisoxazole, sulfisomezoleのL-アルギニン, L-リシン, L-オルニチン塩はいずれも水,メタノールに可溶,エタノール,イソプロパノール, n-ブタノール,エチルエーテル,ベンゼン,リグロイン等に難溶である.これらの塩の分解点,元素分析値を示した.
    (2) これらの塩の水溶液は微量の還元剤の存在下で極めて安定で加熱滅菌,長期保存に耐える.
    (3) Sulfisoxazole及びsuifisomezoleのL-アルギニン塩, L-リシン塩の紫外線吸収,赤外線吸収スペクトルを測定した.
    (4) Sulfisoxazole, sulfisomezoleの塩基性アミノ酸塩のin vitroでの抗菌力はジエタノールアミン塩またはナトリウム塩と等しく, N4-methanesulfonateの抗菌力より高い.
    (5) Sulfisoxazoleの塩基性アミノ酸塩のマウス溶連菌感染症に対する感染防禦力はジエタノールアミン塩の場合と等しく, N4-methanesulfonateよりも強い.
    (6) 家兎に皮下注射した場合の血中濃度をジアゾ発色法により測定したところ,塩基性アミノ酸塩とdiethanolamine塩とは等しく, N4-methanesulfonateはこれより低い値を示す.
  • 種々の溶解法によって調製したスルフォンアミド剤水溶液の組織障害作用について
    佐渡 卓朗
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1169-1174
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) スルフォンアミド剤水溶液を注射した場合に生ずる硬結,壊死等の副作用を検討する方法として,マウスまたは家兎の筋肉内注射法及び家兎の皮内注射が適していることを明らかにした.
    (2) 各種のアミン及びその塩類について家兎の皮内注射法を行うと,薬剤濃度の対数と出血性病変像の直径の間に直線関係が見られ,この方法によって薬剤の障害作用の強さを定量的に比較することができる.
    (3) Sulfisoxazoleのジエタノールアミン塩はマウスの筋肉及び家兎の皮膚の末梢血管に損傷を与え,出血性の壊死等を作らせる. L-アルギニン, L-リシン等の塩基性アミノ酸塩ではその作用が弱い.
    (4) 各種のスルフォンアミド剤の水溶液について組織障害作用を比較すると,アルカリ塩,塩基性アミノ酸塩N4_置換体は作用弱く,アミノアルコール塩は作用が強い.
    (5) 実験に供した溶液のうち, sulfisoxazoleのdiethylenetriamine塩,3, 3'-diaminopropylamine塩, N4-glucoside, N4-glucoside bisulfiteは不安定で容易に着色し,製品化することが困難であるように思われた.
  • 種々の溶解法によって調製したスルフォンアミド剤水溶液の薬理作用
    佐渡 卓朗
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1174-1177
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 種々の溶解法によって調製したスルフォンアミド剤の水溶液の家兎赤血球に対する溶血作用を比較したところ,アミノアルコール塩が最も溶血作用強く,塩基性アミノ酸塩,アルカリ塩, N4-methanesulfonateは弱かった.
    (2) マウスに対する急性毒性では, N4-methanesulfonate, N4-glucosideが弱く,アミノアルコール塩,塩基性アミノ酸塩,アルカリ塩ではほぼ等しかった.
    (3) Sulfisoxazoleのジエタノールアミン塩, L-アルギニン塩, L-リシン塩は家兎の体温,呼吸には影響を与えない.
    (4) Sulfisoxazolのジエタノールアミン塩は家兎の血圧を低下させる. L-アルギニン, L-りシン塩では血圧降下作用は殆ど認められない.
  • 高級脂肪酸セッケンの物理化学的研究第5報
    野口 駿, 仁科 哲夫
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1177-1180
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 高級脂肪酸セッケンの物理化学的研究第6報
    野口 駿, 仁科 哲夫
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1180-1183
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 脱脂大豆塩酸分解液の醗酵阻害性
    上野 喬宏
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1184-1189
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 脱脂大豆塩酸分解液のZygosacch, majorに対する増殖醗酵阻害性につき試験した.
    (2) 酸分解液の増殖醗酵最適pHは5.0~5.5でZygosacch. majorの最適pHである4.5を外れた所にあり,これは分解液中の蟻酸,酢酸,レブリン酸に原因する.これを強酸性でエーテル抽出すると阻害性がなくなり,最適pHは4.5となり, pH 3.5~5.5の広い範囲でよく醗酵する.活性炭はpHによる影響少く,よく阻害物質を吸着除去する.
    (3) 前報までにおいて分解液より分離確認した諸物質中, pH 5.0における増殖阻害の強いものを順にあげると次の如くである.
    フルフラール,バニリン>バニリン酸>酪酸>プロピオン酸>ハイドロキノン>酢酸>レブリン酸,シリンガ酸,プロトカテキュ酸>蟻酸
    (4) フルフール及びレブリン酸添加培地に酵母を接種すると誘導期の長短は接種量に比例し,フルフラールは菌体還元により減少し培地中5mg/100ml程度になると増殖が開始しフルフラールは消失するが,レプリン酸は殆ど消費されない.
    (5) 酸分解液の難醗酵性は成分的に見ると多量に含まれる蟻酸,酢酸,レブリン酸等の有機酸及び高濃度食塩にょって特徴づけられ,さらに量的には少いがその他の強力な阻害物質であるアルデヒド,フェノール,有機酸等によって阻害が強化されることにより説明される.
  • 酵母による低級脂肪酸の分解
    上野 喬宏
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1189-1192
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 脂肪大豆塩酸分解液に酵母を接種し醗酵させると培地のpHが上昇する.
    (2) 蟻酸添加培地に酵母を接種すると菌体増殖に伴い蟻酸は分解され消失する.同時に培地pHは上昇し,その程度は培地の緩衝力,蟻酸濃度,酵母量等に影響され蟻酸含量が少なければ無添加の場合のpH曲線に接近してくる.
    (3) 酵母生菌懸濁液で低級肪脂酸の消費を見ると酢酸が最もよく,次で蟻酸がよく消費され,プロピオン酸,酪酸は殆ど消費されない.酸素吸収量の測定によっても同様の現象が認められ,低濃度では蟻酸,酢酸はよく酸化分解されプロピオン酸,酪酸は少く,いずれもpHの低下により酸素吸収が捉進されるが,高濃度ではpH 4より5においてよく吸収が行われる.
    (4) 以上の如く塩酸分解液のpHが醗酵により低下しない現象は酸分解により生成する低級脂肪酸,殊に蟻酸が酵母により酸化分解されるためであることを明かにした.
  • 分解原料より炭水化物の除去並びに分解液の活性炭処理と醗酵性
    上野 喬宏
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1193-1198
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 脱脂大豆を3%塩酸侵漬, 0.05~0.10N-塩酸70~75%酒精加熱等の処理により炭水化物を可及的に抽出除去した後塩酸分解すると,原料中炭水化物含量の少いものほどTN利用率, FN,グルタミン酸の生成が大で,酸度,フルフラール,全カルボニル,蟻酸,レブリン酸その他の有機酸等が著しく減少する.
    (2) 以上の如く醗酵阻害物質の生成が少いのでこれに麹や酵母を添加すると旺盛な醗酵を示す.
    (3) 塩酸分解液に活性炭を添加するとメラニン色素,アルデヒド,α-ケト酸等はよく吸着されるが,一般有機酸の吸着は少く,活性炭処理のみでは有機酸に原因する醗酵阻害性は殆ど除かれない.
    (4) 活性炭に吸着除去される物質として,アルデヒド類としてフルフラール,バニリン,シリンガアルデヒド,イソバレルアルデヒド,アセトアルデヒド,アクロレイン,酸性物質としてレブリン酸,シリンガ酸,バニリン酸,α-ケト酪酸,プロトカテキュ酸,ピルビン酸,コハク酸,酢酸,蟻酸,酪酸その他の有機酸を確認した.
  • 生成機構について
    高橋 健, 光本 守孝
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1198-1203
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 堀江 雄
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1204-1207
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 清酒上槽後のrHの変化について
    宮地 昇, 栢原 健二
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1207-1211
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 速醸〓,山廃〓より製造された清酒の上槽後の電位の変化を観察した.即ち,両者とも上槽後に著しい電位の低下が起きるが,後者の方が前者より概して低下の度合が大きい.滓引き直後は少し電位の上昇することもあるが,その後は再び低下し,それ以後は極めて僅かずつ電位は上昇してゆき,濾過火入前(4月中~下旬)にはほぼrH 13前後を示す.
    (2) 上槽後に起る電位の低下はI. T. T. valueの小さいものほど低下の度合は大きい.またほぼ同一製造法のものであれば低下の度合の大きかったものほど香味は改良されている.
    (3) 火入後の電位の変化は清酒と合成清酒とではかなりの差がみられ,清酒は火入直後は電位が急上昇するが,その後低下し,冷却以後は極めてゆるやかな電位の上昇によって熟成するものであり,合成清酒は火入により少しく急上昇し,それ以後は余り電位に変化はないが,強いていえば反対に僅少の電位の低下によって熟成に至ると考えられる.
    (4) 3倍増醸酒の混和以後の電位の変化を測定した.混和,上槽,割水,滓引,火入等の操作で電位は上昇するが,その後電位は低下する.とくに混和後の電位の低下は著しい.
  • α-ジケトン化合物(その2)
    浅尾 保夫, 横塚 保
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1211-1218
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 天然物における揮発牲α-ジケトン系列化合物のジオキシム誘導体としての系統的検索法を確立した.
    (2) 醸造醤油中の揮発性α-ジケトン系列化合物を検索し醸造物に一般的であるジアセチル,及び前報にて証明せるアセチルブチリールの他に,新しくアセチルブチリールより多量にあり,香気的にも非常に重要と思われるアセチルプロピオニールの存在を証明した.
    (3) 醸造醤油粕の水蒸気蒸溜液からも,ジアセチル,アセチルプロオニールの存在を証明し,なおフルフラールをオキシム誘導体として分離して証明した.
    (4) 半化学醤油,二次アミノ酸液中の揮発性α-ジケトン系列化合物を検索し,半化学醤油からはジアセチル及びアセチルプロピオニールを,二次アミノ酸液からは,ジアセチルのみを検出し,醸造醤油中のアセチルプロピオニール及びアセチルブチリールがそれに特徴的なものであることを推定した.
    (5) 古く小玉(9)により推定されたC5H6O2なるケトンアルデヒドは本報にて証明したアセチルプロピオニールではなかったかと考察した.
  • 60Coのγ線照射による変異
    飯塚 廣, 新井 英夫
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1218-1223
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 大山 次郎
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1224-1227
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 土壌より分離したDPA生産菌No. 2383およびNo. 4174は,それぞれPenicillium citreo-virideおよびPenicillium decumbensであることを認めた.
    (2) 糸状菌の保存菌株, 24属, 124種, 164株(内Penicillium属は96種, 136株)についてDPA生成能を検索し, Penicillium funiculosum IAM 7013,同IAM 7017およびPenicillium digitatum IAM 7234がDPAを生成しうることを認めた.
    (3) 10%グルコースを含む培地で7~11日間静置培養すると, P. citreo-viride 2383, P. decumbens 4174, P. funicutosum IAM 7013,同IAM 7017およびP. digitatum IAM 7234はそれぞれ添加グルコースに対して約10~14, 5~6, 4~6および1%のDPAを生産した.
  • デキストランの加酢分解による1, 3-α結合の分離証明
    松田 和雄, 渡辺 寛, 麻生 清
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1228-1231
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • Leuconostoc mesenteroides NRRL B-1299株の生産するデキストランの加酢分解によるコージビオースの調製
    松田 和雄, 藤本 健太郎, 麻生 清
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1232-1233
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 4-置換キノリン-N-オキサイドとトリオースレダクトンとの反応
    野村 男次
    1961 年 35 巻 12 号 p. 1234-1235
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 金子 太吉
    1961 年 35 巻 12 号 p. A53-A62
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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