Nocardia sp. KUC-7N菌株を用いて,シクロヘプタノンの推定代謝中間物の酸化能を調べるとともに,その無細胞抽出液を用いて,シクロヘプタノンの代謝経路について検討した結果,次の点が明らかにされた.
1) シクロヘプタノンおよびその代謝中間物と考えられる1-オキサ-2-オキソーシクロオクタン, 7-ヒドロキシヘプタン酸あるいはピメリン酸のいずれの基質に対しても,ワールプルグ実験より良好な酸素吸収が認められた.
2) 無細胞抽出液を用いてシクロヘブタノンの代謝経路に.ついて検討した結果,シクPヘプタノンは,NAD-PH,02共存下,1一オキサー島オキソーシクロオクタンを経て7-ヒドロキシヘプタン酸を生じた. 7-ヒドロキシヘプタン酸は, NADまたはNADP存在下酸化され,ピメリン酸を生じた.
3) シクロヘプタノンの酸化に関与するNADPH依存性酵素は,化学量論的に基質量と消費酸素およびNA-DPHの酸化がほぼ等モルであり,本菌のcycloheptanone oxygenaseは, external electron donor typeのmonooxygenaseに属するものと思われる.
4) 以上の結果より,本菌は,シクロヘプタノンの代謝経路としてシクロヘプタノン→1-オキサ-2-オキソシクロオクタン→7-ヒドロキシヘプタン酸→ピメリン酸の経路を有するものと思われる.
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