日本農芸化学会誌
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32 巻, 3 号
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  • (第2報)熟期を異にする小麦の性質に就て(その2) 硬質小麦の場合
    渡辺 篤二, 渡辺 修, 安永 隆, 上村 光男, 堀口 知子
    1958 年 32 巻 3 号 p. 163-167
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • (第3報) 糖蜜-尿素入り飼料の影響 (1)
    松本 達郎, 高橋 正行, 小宮山 鉄郎, 山本 正幸
    1958 年 32 巻 3 号 p. 167-171
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 市販の糖蜜-尿素入り配合飼料と乾草とを給与した場合の第一胃ガスの発生状況,第一胃内液性状の変化等を山羊を用いて検討した.
    (2) 1日1回,午後1時に試験飼料を与えた実験IVの場合は,同じ条件で麩+乾草を与えた実験I,或は麩+乾草+青草を与えた実験IIIの場合に比べて,第一胃ガスの発生が極めて盛であって,第一胃は著しく膨満した.飼料給与後2時間のガス組成中CO2は73%に達し,CO2/CH4は4.4という極めて高い値を示した.即ち糖蜜-尿素入り飼料の給与によって,第一胃ガスの生成,特にCO2の生成が盛になったことが分った.
    (3) 実験IVの場合と同一量の試験飼料を1日1回,午前8時30分に給与した実験Vの場合は,実験IVに比較するとガスの発生が幾分劣り,飼料給与後2時間のCO2含量は57.2%, CO2/CH4は2.3にすぎず,実験IVの場含のガス組成とは著しく異っていることが注目された.尚,午前9時から青草を自由に摂取させた実験IIの場合と比較しても,そのガス組成は著しく異っていた.
    (4) 実験Vについては飼料給与直前から8時間後まで,2時間間隔で第一胃ガスを採取し,その組成の変化を検討した.飼料給与直前,即ち前日の飼料給与後24時間ではCH4が41.1%を占めて最も多く, CO2は僅か7.2%にすぎなかった.飼料給与後2時間より8時間までは, CO2が52~57%で主要部分を占め,CH4は25~30%, H2は1~3%であって,飼料給与後のガス組成の経時的変化は,今回の測定範囲内では比較的小さかった.
    (5) 飼料給与後2時間, 4時間半及び7時間に第一胃内液を採取して,そのpH, V. F. A.,糖濃度及びアンモニア態窒素濃度の変化の模様を検討した. pHは7.3~7.4で普通飼養の場合に比べて甚しくアルカリ側に傾いていた. V. F. A.の生成は比較的少く, 3.9~4.6mM/dl程度にとどまった.第一胃内液の糖濃度は102mg/dl前後でほぼ一定していたが,この値は普通飼養の場合よりもかえって低い.従って飼料の糖含量の増加が,第一胃内液の糖濃度の増加をもたらすとは限らないことが明らかにされた.尚直接還元糖は時間の経過と共に減少を示し,非還元糖は逆に増加する傾向を示し,然も全糖としては常に一定という興味ある知見を得た.アンモニア態窒素は飼料給与後2時間で49mg/dlとなったが, 7時間後には23mg/dlに迄減少し,24時間後の測定値もほぼ同じであった.
  • (第4報) 糖蜜-尿素入り飼料の影響 (2)
    松本 達郎, 高橋 正行, 小宮山 鉄郎, 山本 正幸
    1958 年 32 巻 3 号 p. 171-174
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 糖蜜-尿素入り飼料を給与後30分, 60分及び90分の3回に亘って,山羊の第一胃内液の性状の変化を検討した.摂取した尿素は多くの場合,直ちに全部消失した.第一胃内液のpH, V. F. A.濃度は,飼料摂取後30分よりほぼ一定の値を示し,経過時間による有意の変化は認められなかった.
    (2) 糖蜜-尿素入り飼料(A)と(B)とは,粗蛋白質含量が夫々12%と21%で,著しく異っていたが,これを給与した場合の第一胃内液のpH, V. F. A.濃度等は殆ど同一であった.然し全糖濃度及びアンモニア態窒素濃度は飼料(B)を給与した場合の方が高かった.
    (3) 飼料(B)を給与した場合について,飼料給与後90分間の第一胃内における糖の消失量,アンモニア態窒素の増加量を計算した.摂取した糖の93%がこの間に消失していた.又アンモニア態窒素は,尿素以外からもかなり多量に生成していることを明らかにした.
    (4) 葡萄塘30g+尿素6gを第一胃内に直接注入し,第一胃内液の性状にどのような変化を生ずるかを検討した.又注入量を2倍に増加した場合の影響を比較した.いずれの場合も葡萄糖+尿素の注入によって第一胃内液のpHは変化しなかった.然しV. F. A.濃度及びアンモニア態窒素濃度が急激に増加した.増加の程度はいずれも注入量の多い場合の方が大きかった.糖濃度の増加は比較的少く,然も増加の程度は注入量の多い場合の方が却って小さかった.
    (5) 第一胃内に注入した葡萄糖も尿素も,ともに90分後には殆ど全部消失していた.消失糖量が2倍に増加しても, V. F. A.の増加量は2倍にはならなかった.注入尿素量が6gの場合は,アンモニア態窒素が尿素以外からもかなり多量に生成することを示したが,尿素の注入量が12gの場合は,アンモニア態窒素は尿素以外からは殆ど生成していなかった.
    (6) 第一胃ガスの組成は葡萄糖30g+尿素6gの注入の場合には,著しい変化を認めなかったが,2倍量を注入した場合には,第一胃ガスの発生が一段と活発となり注入前と注入後とではガス組成は著しく変化した.
  • (第4報) 毛髮に対する高濃度過酸化水素の作用機構について
    船津 勝, 船津 軍喜, 今丸 康博, 長岡 驍
    1958 年 32 巻 3 号 p. 175-177
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    毛髪を30%の酸性過酸化水素にて34°で処理した場合のpHの変化及び窒素の溶出状態を調べた.可溶性窒素の大部分はペプチドに由来するものであるが,酸加水分解の初期にみられるアミノ酸が離脱して来る事がわかった.これは酸化以外に含硫アミノ酸の過酸化水素酸化によって生じた-SO3H基が二次的にケラチン分子に作用したものであろう事を推定した.
  • 渡辺 保人
    1958 年 32 巻 3 号 p. 178-181
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) シイタケの炭水化物は大部分がいわゆるヘミセルローズであるが,炭水化物のシロネズミにおける消化率は約80%で,比較的大きいことを認めた.
    (2) 3種のシイタケヘミセルローズ,すなわちA(冷アルカリ可溶性), B(温アルカリ可溶性), C(温アルカリ不溶性)を,それぞれシイタケ無水物に対して13.6%, 3.3%, 26.9%の収率で得た.
    (3) これらの3つのヘミセルローズは,酸あるいは酵素によって加水分解を受ける程度がそれぞれ相違していたが,特にカタツムリの消化管に存在するヘミセルラーゼの作用によって加水分解される程度がA>B>Cの順であった.また稀鉱酸で加熱加水分解した場合の加水分解率はAおよびBはほぼ等しかったが, Cはこれらと比較して幾分小さかった.
    (4) 各ヘミセルローズを構成する糖類の種類にも相違があり,硫酸加水分解液中に検出された糖類は,Aではグルコーズ,マンノーズ,キシローズ,ウロン酸, Bではグルコーズ,キシローズ,ウロン酸, Cではグルコーズ,キシローズであった.またいずれのヘミセルローズも,グルコーズを主構成分としていることが認められた.
    (5) これらの3種のヘミセルローズを絶食させたシロネズミに給与して,それらの同化利用性を澱粉の場合と比較検討した結果, Aが最も同化利用性が大きかったが,澱粉には及ばなかった. Bも利用されたが, Cは利用性が非常に小さかった.
  • (第2報) アミノ酸の泳動距離の解析(その1)
    坂本 清, 斎藤 絹子
    1958 年 32 巻 3 号 p. 181-186
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) アミノ酸について濾紙電気泳動法による泳動距離を詳細に検討した.
    (2) 電気浸透補正を行った結果,グリシンはpH 7.38で陽極側に泳動していることを知った.
    (3) 各アミノ酸についてジュール熱による蒸発を抑え,電気浸透補正を行った結果,泳動距離と時間との間に直線関係が得られた.
    (4) アミノ酸のMG値は緩衝液の種類を一定すればイオン強度の影響を受けない.
    (5) ジュール熱による濾紙面よりの蒸発を許す水平型装置,波状ガラス板型装置で,アミノ酸の泳動距離を種々検討した結果,泳動距離,静止点の位置,瞬間泳動初速を近似的に算出出来る実験式を得ることが出来た.
  • (第3報)アミノ酸の泳動距離の解析(その2)
    坂本 清, 斎藤 絹子
    1958 年 32 巻 3 号 p. 186-188
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • (第5報)ビタミン及びアミノ酸の迅速定量について
    小嶋 尚夫, 松谷 豊
    1958 年 32 巻 3 号 p. 189-192
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • (第3報)浸染菌に関する検討
    根元 茂
    1958 年 32 巻 3 号 p. 193-197
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • (第4報)異常醗酵の対策に関する検討
    根元 茂
    1958 年 32 巻 3 号 p. 197-201
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 昌英
    1958 年 32 巻 3 号 p. 201-206
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 別府 輝彦, 坂口 謹一郎, 阿部 重雄
    1958 年 32 巻 3 号 p. 207-211
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Pen. purpurogenumの一変種によってグルコースより大量に培地中に蓄積される有機酸が従来天然には認められて居なかったイソクエン酸のジアステレオマーであるLs-アロイソクエン酸である事を最終的に証明した.
    その蓄積の取量は消費グルコースに対して40%(重量)以上にのぼる事が認められた.
  • (第3報) 卵白中の阻害物質 (ovo-inhibitor) に就いて
    松島 欽一
    1958 年 32 巻 3 号 p. 211-215
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 卵白より麹菌プロテアーゼに対する阻害物質を精製した.
    (2) 本阻害物質はトリプシン,細菌プロテアーゼに対しても阻害力を有する.
    (3)本阻害物質は硫安半飽和並びに0.1~0.15Mトリクロール醋酸により沈澱する蛋白質でanthrone反応陰性を示し,これらの性質並びに濾紙電気泳動の結果からtrypsin inhibitorとして既知のovomucoidとは全く別個の阻害物質なることを確認し, ovo-inhibitorと名付けた.
  • (第14報) pH作用曲線による各種糸状菌プロテアーゼ系の分類
    松島 欽一
    1958 年 32 巻 3 号 p. 215-218
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    各種の糸状菌類の蛋白分解酵素系を,そのpH作用曲線(基質:カゼイン, Folin呈色法)の性状よりして4つのtypeに分類した.
  • (第18報)五炭糖の醗酵でのNeutral red添加によるソルベント量比変転
    本江 元吉
    1958 年 32 巻 3 号 p. 219-223
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • (第19報) Clostridium acetobutylicumの核酸
    本江 元吉, 今村 満敏
    1958 年 32 巻 3 号 p. 223-226
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • (第1報) 各種pHに於ける未変性アルブミンとの電気泳動速度の比較
    米沢 大造, 田中 弘, 下村 弘
    1958 年 32 巻 3 号 p. 226-229
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    塩酸及び醋酸変性卵白アルブミンに就いて,変性アルブミンと未変性アルブミンとの電気泳動速度を各種のpHについて比較した.其の結果変性アルブミンは等電点の酸性側で未変性アルブミンよりも高い電気泳動速度を示し,且其の差は溶液の酸性が増すにつれて小さくなることを認めた.之等の事実はWu等の求めた変性アルブミンと未変性アルブミンとの滴定曲線のずれにも認められる所で,変性に際してカルボキシル基の如き酸性領域で解離する基が水素イオンに対する親和性を増した結果と考えられる.
  • (第8報) 枯草菌の中性プロテイナーゼの精製とその性状について
    福本 寿一郎, 山本 武彦, 市川 和宏
    1958 年 32 巻 3 号 p. 230-233
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Bac. amyloliquefaciens Fukumotoの一変種の分泌する中性プロテイナーゼの精製とその二,三性状とについて検討した.その結果中性プロテイナーゼは
    i) pH 7.4に於ける電気泳動で単一な標品までは容易に精製出来た.
    ii) 然し結晶化の操作はアセトン溶媒では困難で,また本文で述べた方法ではかえってNmg当りの力価は減少した.
    iii) 中性プロテイナーゼの安定pH範囲はpH 5.4~7.2にあった.
    iv) 耐熱性は他のプロテイナーゼ同様小であって,70°, 15分の加熱処理で殆んど失活した.
    なお結晶化の方法については検討の余地があること等について論じられた.
  • (第9報) 枯草菌中性プロテイナーゼの安定性と金属イオンとの関係について
    福本 寿一郎, 山本 武彦, 市川 和宏, 雀部 正隆
    1958 年 32 巻 3 号 p. 233-235
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Bac. amyloliquefaciens Fukumotoの一変種の分泌する中性プロテイナーゼの安定性と金属塩との関係について検討した.その結果
    i) 中性プロテイナーゼの稀薄溶液の貯蔵にはZn塩は極めて有効である.
    ii) 中性プロテイナーゼはEDTA処理により失活するが,それは数種の2価金属塩の添加により回復する.但しその場合の回復はZn»Co>Mn»Mg>Caであった.
    iii) 中性プロテイナーゼのこの可逆的失活は可逆的変性によるものであると結論された.
  • (第7報) L. brevisに於ける糖類とピルピン酸との共軛反応
    山中 啓
    1958 年 32 巻 3 号 p. 236-238
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) L. brevisについてピルビン酸と糖類との共軛反応の結果を検討した.
    (2) この菌ではグルコース,フラクトース,マルトース及びグルコン酸と共軛を示し,マンノース,ガラクトース,シュクロース,ラクトース,キシロースとはそれぞれ共軛を全く示さなかった.
    (3) 更に上記の共軛反応の反応液はいずれもBial反応陽性であったのでペントースの生成が考えられた.これらの点より,この菌もL. fermentum, Leuc. mesneteroidesのヘテロ菌と全く同様の共軛反応と考えることが出来る.
  • (第8報) ヘテロ乳酸菌によるペントースの生成
    山中 啓
    1958 年 32 巻 3 号 p. 239-243
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ヘテロ乳酸菌のL. fermentum, Leuc. mesenteroides, L.brevis, L. pentoaceticusの4株を用いてピルビン酸と糖類との共軛反応よりペントースを検出した.
    このペントースの生成と共軛反応の有無はよく一致し,共軛しない糖よりは生成さなかった.この生成物はBial反応及びシステイン・カルバゾール反応共に陽性でその最大吸収帯はそれぞれ670及び540mμにあった.
    又Br2酸化に対して安定であり,バリウム可溶・エタノール不溶部に存在すること及びそのBial反応の結果より本物質はペントース-燐酸とケトペントース-燐酸であろうと推定した.
  • (第3報) 馬鈴薯澱粉に及ぼす金属イオンの影響
    高橋 静枝, 木原 芳次郎
    1958 年 32 巻 3 号 p. 243-250
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    馬鈴薯澱粉の流動学的性状に及ぼす金属イオンの影響,並に馬鈴薯澱粉貯蔵中の老化に及ぼす金属イオンの影響について,レオメーター及びBrabender amylographによる粘弾性率の測定, P, Feの定量,分光反射率の測定などの方法により研究した.
    I. (1) 各種金属塩化物溶液に17°, 2時間処理した馬鈴薯澱粉のBrabender amylogramsにおいて膨潤の阻害効果はCa++, Mg++, Hg++, Fe+++の順に,冷却曲線の粘度上昇効果はHg++, Fe+++, Ca++, Mg++の順に次第に増加していて,多くの膠質液と金属イオンとの関係におけるホフマイスター系列を思わせる.特に,FeCl3溶液処理澱粉は多量の水酸化鉄の沈着のために橙黄色に着色し,Fe+++の配位結合傾向と相まって膨潤能が著しく減少した.
    (2) 0.1p.p.m. Fe+++溶液処理馬鈴薯澱粉のBrabender amplographによる測定の結果,未処理澱粉より膨潤速度,最高粘度及び冷却時の粘度が高い.
    (3) 0.1p.p.m. Fe+++溶液処理馬鈴薯澱粉のレオメーターによる測定の結果,新しい澱粉では, 1)糊化直後の冷糊の粘弾性率は未処理澱粉よりやや高く,老化していると認められる澱粉では未処理澱粉より粘弾性率がに著しく低く,膨潤分散度が高い. 2)澱粉糊の放置による糊弾性率の増加は未処理澱粉糊より著しく.ゲル構造が鞏固になる.このことはE. Ott及びJ. H. ElliottのCMCシステムに対するFe+++の関係と相似している.
    (4) Fe+++溶液処理後透析を行った分離アミロース及びアミロペクチンのP, Fe含量は両者共に馬鈴薯澱粉のアミロペクチン部分に著しく多く, Complex formationのFeの他に,アミロペクチン部分にモノエステルとして存在している燐酸の解離基とのイオン結合状態のFeを推測することが出来る.
    (5) FeCl3溶液処理澱粉の分光反射率の測定,色解析を行った結果, 0.1p.p.m. Fe+++溶液程度の場合は未処理澱粉と大差はなかったが, 0.5N FeCl3溶液処理澱粉では分光反射率は著しい変化を示し,その色解析値はλdには殆んど変化がなく, Y, Peにおいて著しく変化する.なおこの測定結果から,処理澱粉中のFeの状態についての手がかりは得られなかった.
    II. (1) レオメーターによる粘弾性率及びBrabender amylogram上に馬鈴薯男爵(千葉県産)から再蒸溜水処理による澱粉の老化並びにその現象が井戸水処理澱粉と著しくことなることが認められたので,前年度測定した再蒸溜水処理澱粉の満1カ年後のBrabender amylogramsを求めた結果,各澱粉とも著しく老化していることが認められた.
    (2) 古い市販馬鈴薯澱粉についてBrabender amylogramsを求めた結果,老化は認められるが再蒸溜水処理澱粉程著しくなかった.なお各澱粉の1%糊のpHは大差がなかった.
    (3) 光,酸素,温湿度の貯蔵条件とは別に,用水中に含まれる微量の金属イオンが,馬鈴薯澱粉貯蔵中の老化を抑制するのではないかと思われる.
  • 1958 年 32 巻 3 号 p. 250
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 1958 年 32 巻 3 号 p. A44a
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 1958 年 32 巻 3 号 p. A44b
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • アンダーコフラー L.A.
    1958 年 32 巻 3 号 p. A31-A35
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 西川 哲三郎
    1958 年 32 巻 3 号 p. A36-A43
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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