Pristane酸化菌
Nocardia sp. BPM 1613は, squaleneを唯一の炭素源として生育し,培養液中に酸化生産物を蓄積した.培養液のエーテル抽出物をシリカゲルカラムにかけ酸化生産物を単離後,熱ヘキサンで再結を繰り返して精製した. IR,
1H-NMR,
13C-NMRスペクトル等により,この化合物の構造を検討した結果, squaleneのditerminal酸化によって生成したsqualenedioic acidであることを確認した.本菌株によるsqualeneからのsqualenedioic acid生産のためには,窒素源として尿素を用いたとき,その生産量が最も多く3.41g/
l(モル収率34.7%)であった.
また,
n-paraffin資化能を有する分譲菌10株および
Nocardia sp. BPM 1613を含む分離菌4株を選び,これらの菌株によるイソプレノイド炭化水素類(pristane, squaleneおよびsqualane)およびmonomethyl-paraffin類(2-, 3-および4-methyldodecaneおよび2-, 3-, 4-および5-methylundecane)の資化性を調べた.その結果,イソプレノイド炭化水素類では, pristaneが分譲菌1株と分離菌4株により良く資化されたが, squaleneは分譲菌株も含めて幅広い菌株によって資化された.しかし, squalaneを良く資化したのは分離菌株のNB 1802だけであった.一方, monomethyl-paraffin類では,若干の例外はあるが,全体としてメチル側鎖の位置が内部に移るほど資化されにくい傾向があった.さらに,培養液中に酸化生産物を蓄積する6菌株を用い,それらの生成量について検討した.このうち, pristaneからは全菌株がmonoalcohol (pristanol)とmonocarboxylic acid (pristanic acid)を同時に生成したが, squaleneからは4菌株がdicarboxylic acid (squalenedioic acid)を生成した.しかしながら, squalaneからはどの菌株も酸化生産物を生成しなかった. methyldodecane類では, 4-methyldodecaneから全菌株がmonoalcoholを生成した.
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