日本農芸化学会誌
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55 巻, 12 号
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  • 仁井 晧迪, 古川 靖, 岩切 三雄, 久保田 尚志
    1981 年55 巻12 号 p. 1179-1186
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    京都府八幡市石清水八幡で採集したタブノキ果実の精油成分を明らかにするため,果実を果肉部および種子部に分離して,おのおのを水蒸気蒸留して得た精油をカラムクロマトグラフィー, GLC分取などにより単離を行って, GLCおよびIR, MS, NMRスペクトルを用いて検索を行った.その結果はTable IIに示したように,果肉部精油はα-pinene, campheneおよびbornyl acetateが主成分で,茨木市産の主成分のtrans-β-ocimeneはきわめて少なかった.
    種子部精油はβ-bisabolene, α-eurcumeneおよびhexadecanalが主成分で,これまた,茨木市産の主成分のcaryophylleneおよびα-pineneはきわめて少なかった.
    葉部精油ではα-pineneおよびβ-bisaboleneが主成分で,茨木市産の主成分のひとつgermacrene-Dは認められなかった.
    以上のように,八幡市産タブノキ果実の精油成分は茨木市産と異なる化学成分系をもつことを明らかにした.
  • 中島 健二, 佐藤 昭雄, 御園 光信, 飯田 武夫
    1981 年55 巻12 号 p. 1187-1195
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Pristane酸化菌Nocardia sp. BPM 1613は, squaleneを唯一の炭素源として生育し,培養液中に酸化生産物を蓄積した.培養液のエーテル抽出物をシリカゲルカラムにかけ酸化生産物を単離後,熱ヘキサンで再結を繰り返して精製した. IR, 1H-NMR, 13C-NMRスペクトル等により,この化合物の構造を検討した結果, squaleneのditerminal酸化によって生成したsqualenedioic acidであることを確認した.本菌株によるsqualeneからのsqualenedioic acid生産のためには,窒素源として尿素を用いたとき,その生産量が最も多く3.41g/l(モル収率34.7%)であった.
    また, n-paraffin資化能を有する分譲菌10株およびNocardia sp. BPM 1613を含む分離菌4株を選び,これらの菌株によるイソプレノイド炭化水素類(pristane, squaleneおよびsqualane)およびmonomethyl-paraffin類(2-, 3-および4-methyldodecaneおよび2-, 3-, 4-および5-methylundecane)の資化性を調べた.その結果,イソプレノイド炭化水素類では, pristaneが分譲菌1株と分離菌4株により良く資化されたが, squaleneは分譲菌株も含めて幅広い菌株によって資化された.しかし, squalaneを良く資化したのは分離菌株のNB 1802だけであった.一方, monomethyl-paraffin類では,若干の例外はあるが,全体としてメチル側鎖の位置が内部に移るほど資化されにくい傾向があった.さらに,培養液中に酸化生産物を蓄積する6菌株を用い,それらの生成量について検討した.このうち, pristaneからは全菌株がmonoalcohol (pristanol)とmonocarboxylic acid (pristanic acid)を同時に生成したが, squaleneからは4菌株がdicarboxylic acid (squalenedioic acid)を生成した.しかしながら, squalaneからはどの菌株も酸化生産物を生成しなかった. methyldodecane類では, 4-methyldodecaneから全菌株がmonoalcoholを生成した.
  • 久米 民和, 伊藤 均, 武久 正昭, 飯塚 廣
    1981 年55 巻12 号 p. 1197-1203
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    幼雛用配合飼料について,放射線による殺菌効果および貯蔵効果について検討し次の結果を得た.
    (1) 非照射飼料1g中の総菌数は2.4×105~3.9×106,大腸菌群数は4.1×104~9.0×105,好浸透圧性糸状菌数は1.1×103~2.2×103,一般糸状菌数は1.8×104~1.1×105個検出された.また, 0.2 Mradの照射により,総菌数は1/10~1/20に,大腸菌群数は1/20~1/50に,好浸透圧性糸状菌数は検出限界以下に,一般糸状菌数は1/10~1/1000に減少した.
    (2) 飼料中の好浸透圧性糸状菌数は,高湿度条件下で貯蔵中に著しく増大した.これに対し,総菌数,大腸菌群数,一般糸状菌数は貯蔵中に著しく増加することはなく,むしろ減少傾向を示した.
    (3) 0.2 Mrad照射試料中の好浸透圧性糸状菌数は貯蔵中に著しく増大したが, 0.5 Mrad照射試料では顕著な抑制効果が認められ,夏期条件下(15~34°C, 60~90% RH)でも3~4カ月間貯蔵可能であった.
  • 小原 嘉彦, 梅本 安長, 松原 弘道
    1981 年55 巻12 号 p. 1205-1212
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    44種のaminobenzene類, pyrimidine類, purine類, amino-s-triazine類およびそれらの関連化合物を1および3%混合したヒナ用配合飼料を調製し, Goto-606ならびにGoto-607系統のヒナを5~7日間飼育し,それらの化合物の盲目症発現の有無ならびに経口急性毒性を検討した.
    XVIの発盲活性の強さはXXVIIIのそれの約6分の1であり,その塩酸塩の大腿部への皮下注射によっては,その毒性のためヒナが致死し盲目症は発現しなかった. XVIおよびXXVIIIを除くすべての化合物はヒナに対して発盲活性を示さなかった. XXXVIIの3羽中1羽のヒナの眼球網膜には,軽度ではあるがXXVIIIにより生ずるとほぼ同じ斑点状退色部が認められた.
    XVIおよびXXVIIIのアミノ基のN位への他の置換,基の導入は,その発盲活性を消失させた.したがってヒナの発盲活性発現には分子中にs-triazine環と遊離アミノ基の存在が必須の条件と考えられる.
    またphenylenediamine類はヒナにかなり強い経口急性毒性を示した. s-triazine類以外の供試ヘテロ環化合物は, XIIを除いて比較的低毒性であった. amino-s-triazine類では, amino-aichloro-s-triazine類(B群)がきわめて強い急性致死毒性を示した. diamino-s-triazine類(C群)はB群に次ぐ致死毒性を示した. C群はとくにXXXII, XXXIIIにはヒナの餌の摂食を阻害するいわゆる摂食阻害作用を示した.
  • 塚本 桂子, 林田 晋策
    1981 年55 巻12 号 p. 1213-1216
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 清酒乳酸菌L. sakeのF 16-2耐性変異株の検索を行い数株を得た.得られた耐性株は親株と同様の性質を示し,酵母のF 16-2耐性株との併用は,生もと系酒母を安全に保つ一手段であることを示唆した.
    (2) 酵母のF 16-2耐性株の検索を行い数株を得た.協会7号酵母から得られた耐性株7-2は親株と同様の性質を示した. F 16-2添加麹汁培地で耐性株7-2を培養すると正常な増殖を示し,培地に添加したF 16-2の減少はなかった.
    (3) 電子顕微鏡により協会7号酵母のF 16-2耐性株7-2を観察した.協会7号酵母はF 16-2により阻害を受けて,形態異常を生じたが,耐性株7-2はF 16-2による形態異常は認められなかった.
    (4) 協会7号酵母のF 16-2耐性株7-2を用いて発酵試験を行った.正常なもろみでは,親株協会7号酵母と同じ発酵経過をたどり,生成アルコールの最終濃度も同じであった. F 16-2添加もろみでは親株を用いた場合は発酵が緩慢となり,生成アルコール量も低下したが,耐性株7-2を用いると正常な発酵経過をたどり,生成アルコールの最終濃度は20.0%に達した.安定した発酵経過を保つ一方法としてF 16-2耐性株7-2を利用できると考察した.
  • 橋永 文男, 岩堀 修一, 西保 則, 伊藤 三郎
    1981 年55 巻12 号 p. 1217-1223
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    桑葉離層部の細胞壁分解酵素に対する2-クロルエチルホスホン酸(エセホン)処理の影響を測定するとともに,これら酵素の部位別酵素活性の変化を明らかにした.
    (1) 部位別セルラーゼ活性は離層部の茎側が最も高く,葉柄部が最も低かった.これらの活性は秋が深まるにつれて急増した.しかし, endo-ポリガラクチュロナーゼは逆にわずかに減少した.ヘミセルラーゼとペクチンエステラーゼは時期別変化が少なく,秋にわずかに増加した.葉位による差はセルラーゼで最も顕著に認められ,下部になるほど活性が高かった.
    (2) 桑葉をエセホン処理した結果,落葉が促進され,離層部のセルラーゼ活性が急増した.離層部のセルラーゼはポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果, 2つのアイソザイムから成り, Rm=0.16の活性バンドのほうがわずかに早く増加することが認められた.
    (3) exo-ポリガラクチュロナーゼとヘミセルラーゼがエセホン処理により急増し,離層部の離脱に関与したが,反対にendo-ポリガラクチュロナーゼとペクチンエステラーゼは,エセホン処理によって活性が減少したことから,離脱を引き起す酵素ではなかった.
    (4) 以上の結果,セルラーゼとexo-ポリガラクチュロナーゼとヘミセルラーゼが自然状態および化学的に促進した桑葉の離脱に関与することが明らかになった.
  • 堀内 久弥, 東 敬子
    1981 年55 巻12 号 p. 1225-1231
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    もち生地弾性率の過大な温度依存性の原因が気泡の存在によるとする考察に,側面から例証を与えるために,市販水産練製品について気泡含有量の多少の点から,ハンペンとカマボコを対比して測定した.
    (1) 動的弾性率E'の温度依存性は,ハンペンではもちとほぼ同じ傾向を示したが,カマボコは50°C以上では低下せず,平坦か,やや増加の傾向を示した.その原因は,ゴム状物質の特性としてカマボコゲルの弾性率が温度に比例して増加する,あるいは再加熱によりタンパク質の凝固が進行し,ゲル構造の強化のために気泡の膨張効果が抑制されたものと推察された.
    (2) 見かけの比容-温度曲線はもちとは異なるが,ハンペンは初めから大きく,増加率もカマボコの5倍以上を示した.比容の微分値一体膨張率-温度曲線はハンペンが40°C付近,カマボコでは57°C前後に屈折点を有し,何らかの構造上の変化が生じたことを示唆している.
    (3) 試料断面の光学顕微鏡による観察では,カマボコは独立気泡であり,ハンペンは気泡が相互に接続している場合が多い.気泡数,気泡の占有面積ともハンペンはカマボコの5倍以上を示し,比容の測定結果を裏付けた.その他,ハンペンには巨大気泡が偏在し,これがE*,比容の測定値の変異の原因であろうと推察した.
    (4) カマボコおよびハンペンの弾性率は密度にほぼ比例し,含気量の効果が大きいことを示したが,もち生地の場合のように,ゲルに伸展性がないために,気泡の膨張効果が直接現われなかったものと推察された.
  • 亀岡 弘, 辻野 均, 藪野 恵一, 井上 文義
    1981 年55 巻12 号 p. 1233-1235
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Steam volatile oils were obtained by steam distillation of umezuke [I] and umeboshi [II]. Each volatile oil was chemically separated into three fractions: neutral, sodium bicarbonate soluble and sodium hydroxide fraction. Each fraction was investigated by GLC and GC-MS spectra. The components were characterized in comparison to authentic compounds or published data.
    The characteristic major components of the steam volatile oil from umezuke were furfural, 5-methyl-2-furfural, 2-ethyl-3-methyl maleic anhydride, benzyl_??_ alcohol, 2-phenylethyl alcohol and methyl palmitate. The major components of Umeboshi were benzyl alcohol and methyl palmitate.
  • 阪上 重幸, 北島 恵, 堀場 正雄, 山本 征也
    1981 年55 巻12 号 p. 1237-1239
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    HPLC法で7種類のカーバメートの一斉分析法を検討し,カラムにμBondapak CN,移動相にヘキサン-酢酸エチル(25+1)を用いて,絶対検量線法で22分以内にそれぞれを定量できる方法を作成した.各種カーバメート製剤の標準混合試料を調製して分析した結果,回収率は平均99%,分析精度は変動係数0.7%で正確に精度よく分析することができた.
  • 富永 嘉男
    1981 年55 巻12 号 p. 1241-1249
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 北原 武
    1981 年55 巻12 号 p. 1251-1259
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • N. Y.
    1981 年55 巻12 号 p. 1285-1286
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 安本 教傳
    1981 年55 巻12 号 p. 1287-1289
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 奥谷 康一
    1981 年55 巻12 号 p. 1290-1292
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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