日本農芸化学会誌
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35 巻, 6 号
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  • 植物細胞の致死とプロトペクチナーゼ活性 (II)
    永田 幸雄, 林 金雄
    1961 年 35 巻 6 号 p. 493-498
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 品種間差異について
    松山 晋
    1961 年 35 巻 6 号 p. 498-501
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    黄色種タバコのvar. Bright Yellow, var. Delcrest, var. Hicksおよびvar. Yellow Special Aの4品種を供試して鉄管乾燥中における葉の脱水状態,葉組織の呼吸能変化,ポリフェノールオキシダーゼの活性およびクロロゲン酸含量の変化を調べ,これら4品種にみられる乾燥中における褐変現象発現の難易に関与している要因を検討した.その結果, Bright Yellow, Delcrest, Hicksの3品種はいずれも強い褐変能を有するにもかかわらず,後の2品種がBright Yellowに比して乾燥中に褐変を起しにくいのは,細胞死滅期における葉の脱水速度がすみやかであることが主因をなしていることを認めた.また, Yellow Special Aは他の品種に比して褐変能は弱く,本品種が乾燥中に褐変を起しにくいのはDelcrestおよびHicksの場合とは異なった機構によると考えられる.
  • 渡辺 大蔵, 深沢 甲子男, 横山 滋昭
    1961 年 35 巻 6 号 p. 502-505
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • B. subtilisの蛋白分解酵素による卵白アルブミンのModificationとそのクマトグラフ的性質の変化
    米沢 大造, 田中 弘, 井尻 竣也
    1961 年 35 巻 6 号 p. 505-510
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)B. subtilisの結晶蛋白分解酵素製剤“Nagarse”(長瀬産業製)が卵白アルブミンに対しsubtilisinと同様に作用してplakalbuminよう物質を生成することを硫安滴定,遊離Nの測定,結晶化の実験を通じて示した.
    (2) 燐酸カルシウムのカラムを用いるクロマトグラフ分析において燐酸緩衝液濃度0.03Mで溶出される卵白アルブミンの主成分は“Nagarse”の作用によって緩衝液濃度0.05Mで溶出される成分へとそのクロマトグラフ的性質を顕著に変化することを認めた.
    (3) このクロマトグラフ的性質の変化は卵白アルプミンの分解に伴なっておこる蛋白分子の二次構造の変化に基いて起ることを推論した.
  • 西村 明美
    1961 年 35 巻 6 号 p. 510-516
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 小町谷 吉興
    1961 年 35 巻 6 号 p. 516-520
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) α位にカルボキシル基を持つインドール誘導体のカルポキシル基の離脱反応は強酸を触媒として行なうときは,従来行われてきた高温度で加熱脱炭酸せしめる方法より極めてかんたんであり,インドール酢酸及びトリプトファンの製造に好都合であること,殊にトリプトファンの製造に際して好結果を与えることを認めた.
    (2) 脱炭酸を行なう触媒としては,塩酸,硫酸が最もすぐれ,燐酸,氷酢酸,強酸性イオン交換樹脂は殆んど脱炭酸の触媒にならない.
    (3) 脱炭酸の開始する温度は原料物質により異なるが,大体80~95°であって5N~6Nの希塩酸と加熱還流する方法が一般的な方法といえる. 2N程度の希塩酸と加熱するときは脱炭酸に長時間を要し,不必要な分解がおこるので好ましくない.
  • Curvularia属菌によるReichstein's Substance Sの酸化について
    近藤 栄二, 三ツ木 隆
    1961 年 35 巻 6 号 p. 521-528
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Curvularia属菌5菌株を使用しReichstein's substance Sの酸化能を検討したところC. maculansを除く他の4菌株に基質のかなり強い酸化性がみられた.
    (2) C. lunata (IFO, 6286)による酸化生産物を吟昧したところ本菌は9α-hydroxylation作用が極めて強いことが明らかになるとともに, 14α-hydroxylation, 11β-hydroxylation, 11α-hydroxylation等の各作用をもみとめることができた.
    (3) C. lunata (No. 49)では6β-hydroxylation作用が特徴的であり, 14α-hydroxylation並びにα-hydroxylation作用もみとめられた.また本菌ではdihydroxylation作用もみられ,微量の7, 14α-dihydroxy-substance S, 6β, 14α-dihydroxy-substance S等文献未知の新物質を得ることができた.
    (4) C. geniculata及びC. trifoliiによる酸化生産物はいずれも同一であり,しかもC. lunata (No. 49),により得られた5種の生産物と全く一致することが明らかになった.
  • 味噌の湧きに対する照射効果
    並木 満夫, 岡沢 精茂, 松山 晃
    1961 年 35 巻 6 号 p. 528-533
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    以上著者らが味噌,醤油に対するγ線照射の効果に関して研究を行なったうち,本報においては味噌の湧きに対する効果を検討した結果を報告したが,これを要約すれば次の如くである.
    (1) まず,味噌湧きガス測定装置を用いて,各種の味噌の非照射対照試料についてガス発生状態を測定した.その結果30~32°で多糖少塩型の味噌では数時間後よリガスを発生し, 3日間位激しいガスの発生が続いたのち恒量に達する.ガス発生量は12~15ml/gであった.多塩型の味噌では7日目頃よリガスが発生し, 40日位で2~5ml/gのガスを発生して恒量になる.
    (2) 味噌をγ線照射した場合,多糖少塩型の味噌では5×105でガス発生量が約半量に減じ, 1×106rでは1/3以下に抑えられる.多塩型の味噌では2.5×105rで約半量に減じ,5×105rでほとんど抑制された.
    (3) 湧きガスを採取して化学分析,赤外分析,ガスクロトグラフィーを行った結果,その99.5%以上が苛性アルカリ可溶で,生として炭酸ガスを含むほかエチルアルコールの存在が確認された.発生したガスの組成については,照射,非照射の間に差異はみとめられなかった.
    (4) 照射とその後の弱い加熱処理の併用は,そのいずれの単独処理の場合よりも湧きガスの発生を抑制し,相加的な効果が認められた.
    (5) 上記の分析結果及び湧いている味噌,湧いていない味噌の微生物の生菌数測定結果からも,湧きの現象がアルコール醗酵を含む後醗酵にもとづくと考えられる.しかし,続報の徴生物の動態と比較考察した場合,酵母類では照酎後減少した生菌数が急速に回復して非照射の対照と同じになるが発生ガス量が少いので湧きが酵母類の後醗酵のみに起因するかどうかは検討を要する.
  • 微生物に対する照射効果
    岡沢 精茂, 並木 満夫, 松山 晃
    1961 年 35 巻 6 号 p. 533-540
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 味噌,醤油中の微生物に対する放射線照射の効果を酵母,嫌気性細菌,好気性細菌の3群に分け,また醤油微生物については液内と液面の増殖にわけて検討した.
    (2) 線量効果は味噌,醤油いずれも放射線殺菌効果を増強する食塩をかなり含有するにもかかわらず比較的弱く, 1%生存率を与える線量は江戸甘味噌で5×105~1×106r,醤油酵母(液内)で1.2×105r程度であった.
    (3) 味噌,醤油ともに照射後の微生物動態には2っの型が認められたが,これには耐塩性の差異が関聯していると考えられる.
    (4) 照射の醤油液面酵母の増殖抑制効果は,副反応を考慮した場合火入処理よりも小さかった.
  • 小林 達吉, 田淵 武士, 北原 覚雄
    1961 年 35 巻 6 号 p. 541-543
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Asp. itaconicusがイタコン酸の外に消費糖に対して約15%に相当するイタ酒石酸及びそのラクトンを蓄積することを認めた.またそのラクトン型であるオキシパラコン酸を結晶として販出し, m.p. 86~90°, [α]15D-45.6°であることを知った.
  • 日本産粳米澱粉の流動学的性質と化学的性質について
    堀内 久弥, 竹生 新治郎, 谷 達雄
    1961 年 35 巻 6 号 p. 543-548
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • ボルドウ液の反応機構について(その1) CuSO4・5H2OとCa(OH)2との反応について
    佐藤 久隆
    1961 年 35 巻 6 号 p. 548-553
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ボルドウ液を調製する際のCuSO4・5H2O:Ca(OH)2の反応比について化学分析法およびX線回折法によって検討を重ねた結果,次のことを明らかにすることができた.
    (イ) 筆者は本実験を行うに先だってボルドウ液,ボルドウ液有効成分,ボルドウ液有効固形分の定義を明らかにした.従来,多くの研究者によって本剤に関する検討はいろいろ行われているのであるが,その大部分は植物病理学的研究或いはそれを最終目的とする物理学的,化学的研究であり,さらにこれら諸研究の結論が必ずしも一致していないことの1因は上記せる3者の定義の判然としていないことによるものと考えられる.
    (ロ) Ca(OH)2飽和水溶液をつくり空気中のCO2の影響を遮断した状態で攪拌しながら, CuSO4・5H2O薄水溶液を僅少量ずつ加え,反応液中に存在するCa(OH)2及びCuSO4・5H2Oの変化を時々刻々迅速かつ正確に分析することにより,両者は常に一定のモル比において結合することを知った.この比率はモル比として20:17および20:21の2点である.そしてこの比率が20:21より以上Ca(OH)2が存在するときには,反応液中には過剰のCa(OH)2が認められ,また20:17よりもCa(OH)2が少い場合には反応液中にはCuSO4・5H2Oが明らかに認められる.なお,両者のモル比が4:10よりもCa(OH)2が多いときには大過剰に存在するCa(OH)2の一部は有効成分と考えられる反応生成物とcementationして1種の固溶体の如き状態となっているものと推定される.以上のことを化学分析法によって確認することができた.
    (ハ) CuSO4・5H2O:Ca(OH)2の配合比をいろいろ変量して調製したボルドウ液有効固形分,および有効成分と考えられる反応生成物とを濾過・乾燥せる試料について粉末X線回折法によって検討した.その結果,両者の配合比がモル比として20:17のときと20:21のときに生成する化合物は相異なる銅塩であって,いずれもボルドウ液有効成分と考えられる化合物であることを知り,両者の比率が20:17ないし20:21の範囲内においては20:17のときに生成する有効成分と考えられる反応生成物とその比率に応じて過剰に存在するCa(OH)2とがcementationし,両者の比率が20:21より以上にCa(OH)2が過剰に存在する場合にはこれは同様に有効成分と考えられる反応生成物とcementationしていることを推定することができた.
  • ボルドウ液の反応機構について(その2) ボルドウ液の反応方程式及び有效成分と考えられる反応生成物について
    佐藤 久隆
    1961 年 35 巻 6 号 p. 553-557
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • グルタミン酸ラセマーゼによるラセミ反応について
    田中 正生
    1961 年 35 巻 6 号 p. 557-561
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Lactobacillus fermentiの生産するグルタミン酸ラセマーゼによるグルタミン酸のラセミ化が単一酵素による反応であり,二つ以上の酵素による共同反応でないことをさらに確めるため,その精製酵素試料を用いて反応平衡,反応次数等について二,三の検討を行なった.
    (2) 超音波処理無細胞抽出液の4~8倍の単位蛋白当りの活性を有する精製酵素は同一実験条件下でアラニン,バリン,アスパラギン酸のラセミ化活性をまったく示さない.またこの酵素試料によるグルタミン酸のラセミ化反応の平衡は温度, pH及び基質濃度に無関係にL-50%, D-50%の点であった.
    (3) この酵素による反応の経時的な変化はよく可逆一次式に一致し,この反応式より求められる反応速度恒数は或る一つの反応条件下では常に一定であり,この関係は基質がL-グルタミン酸でもD-グルタミン酸の場合でも同じであった.
    (4) 反応速度に及ぼすpH及び温度の影響を検討した結果,最適pH 7.5,温度42°が再確認された.さらに基質濃度との関係は典型的な反応速度-基質濃度曲線を示し,またMichaelis恒数は約5×10-2Mであった.
    (5) 一定の反応条件下では可逆一次反応式より求められる反応速度恒数は酵素濃度によく比例するので,前認の諸結果と合せ考えて本酵素の活性を50μM/mlのD-グルタミン酸を基質としてpH 7.5, 42°で60~120分の反応で生ずるL-グルタミン酸量より求められる反応速度恒数の104倍をもって表わすこととした.この表現法によれば蛋白mg当りの比酵素活性は無細胞抽出液で0.5~1.0単位,本報告の精製酵素で3.0~5.0単位であった.
  • 乾燥経過中の成分変化並びに甘味生ブドウ酒の試醸試験
    大塚 謙一
    1961 年 35 巻 6 号 p. 561-566
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • アクリル酸系樹脂のカルボニル吸着反応について
    並木 和子, 江本 栄
    1961 年 35 巻 6 号 p. 566-570
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    カルボニル化合物を選択的に吸着する化学的に活性な樹脂のうち,アクリル酸エチルと,D. V. Bとの共重合物よりつくったアクリル酸ヒドラチド型樹脂のカルボニル吸着反応について検討を行った.
    (1) この型の樹脂lgはアセトン7.58m.eq/g,グルコース5.11m.eq/gの吸着容量をもち,このように.吸着容量は両者の間で相当異ることが認められた.
    (2) アセトン吸着反応は速く, 30分間で吸着はほぼ平衡に達するがグルコースでは24時間を必要とした.アセトンとグルコースの吸着反応の初速度は, 0.1M以下のグルコース溶液を除き抛物線拡散式に適うことが認められ,このことから樹脂の反応速度は拡散によって律速されているものと考えられる.
    (3) 等温吸着量の測定結果, Freundlichの吸着等温式に適することが認められた.
    (4) 反応温度の効果はアセトン,グルコースとも影響をうけることが認められた.
    (5) カルボニル吸着反応の最適pHは,アセトンではpH 4.0が吸着速度および平衡吸着量で最高の値を示したが,pH 2~6の間では吸着量もあまり大差のない良い結果を示した.
  • 江本 栄, 並木 和子
    1961 年 35 巻 6 号 p. 570-574
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    従来のエチルアクリレートを原料単量体として得られたC. P.-樹脂-AEtは,低分子のカルボニル化合物に対する吸着剤としては非常に優秀であるが,大分子のカルボニル化合物の吸着では架橋結合による制限をうけることが認られていた.そこでこの欠点の改良法として,樹脂の多孔性化を共重合の際の架橋剤の減量に頼らずに行うことを目的とした.本報ではまずあらかじめ原料単量体のエステルのアルキル基を高級にしておき,共重合させた後無水ヒドラジンとの反応によってアルキル基をヒドラチドと置換し,この方法による樹脂の多孔性化を試みた.
    高級アクリレートとしてはn-ブチルアクリレート, n-ヘキシルアクリレート,シクロヘキシルアクリレート, n-オクチルアクリレート, n-ドデシルアクリレート等を用いた.
    アクリレート-D. V. B共重合物のヒドラチド化は,エステルのアルキル基の高級化と共に反応性は低下したが,微量の炭酸カリウム,炭酸リチウム,塩化リチウム等が触媒効果をもつことを発見し所期の目的を達した.
  • 菌系体に生ずる結晶性物質について
    脇田 正二
    1961 年 35 巻 6 号 p. 574-579
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 麦芽エキス培養基に培養の発茸能力を殆んど失ったえのきたけ菌糸体から結晶性物質(三斜晶系?)を分離した.
    (2) この結晶は熱に対して比較的不安定である.
    (3) この結晶はMgNH4PO4・6H2Oを主成分とする化合物で,約1%の蓚酸カルシウムと混晶をなしている.
  • 菌系体無機成分の経時的消長
    脇田 正二
    1961 年 35 巻 6 号 p. 579-583
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 麦芽エキスは無機成分には比較的乏しいが,マグネシウムが著量に存在する培養基である.
    (2) 茸が発生する時は著量の燐酸,マグネシウム及びカリウムが菌糸体から茸に移行する.
    (3) 正常株(普通に発茸する菌)は24°で, 70日間培養する場合でも菌糸体無機成分の培養基に浸出する量は僅少であるが,変異株(発茸し難い菌)は培養日数40日には無機成分力浸出し始める.
    (4) 変異株は培養日数50日になると,さきに培養基に浸出した燐化合物及び既に培養基に溶存するマグネシウム塩は再び菌糸体に集積する.この頃の菌糸体における燐酸及びマグネシウム増加の比は, MgNH4PO4-6H2OにおけるPO4/Mg比に近似する.
  • 菌糸体燐化合物の経時的消長
    脇田 正二
    1961 年 35 巻 6 号 p. 583-587
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 麦芽エキスに培養の正常株及び変異株菌糸体燐劃分を90日間測定したところ,前者は酸溶性燐劃分に若干の消長が認められるだけであるのに,後者は酸溶性燐劃分はもちろん,その他の有機燐劃分にも顕著な消長が認められた.
    (2) 変異株菌糸体においては,培養の若いものも古いもの(培養日数60日位)も,燐含量はともに乾物の約1.4%であるが,前老では総燐中約18%が無機燐で他は諸種の有機燐である.ところが後者では約74%が無機燐である.
  • 中村 幸彦, 下村 得治, 山田 次良
    1961 年 35 巻 6 号 p. 587-590
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 糯水稲完熟種子(雪儒)より,燐酸緩衝液を用いてアミロースのヨード呈色を青からに変える酵素を抽出した.
    (2) この酵素を若干精製しその性質を調べたところ,作用の最適pHは7.0附近に,最適温度は37~40°にあった.
    (3) この酵素を馬鈴薯のアミロースに作用させたときに,ヨード反応の吸光度の減少率は77%に達したが,還元力の増加はマルトースとしてわずかに5%に過ぎなかった.
    (4) この酵素による馬鈴薯アミロースからの生成物の性質を調ベたところ,馬鈴薯のアミロペクチンに近い性質を示したので,この酵素はアミロースをアミロペクチンに変える酵素であろうと思われる.
    (5) 以上の結果からこの酵素はα-アミラーゼのような加水分解酵素ではなくて,転移酵素であるQ-酵素に類似する酵素であろうと考えられる.
  • 梅本 弥一郎, 佐藤 泰
    1961 年 35 巻 6 号 p. 591-595
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    本実験は放射線利用の研究の一環として照射乳の加工及び利用の基礎の確立に資せんとする目的で,牛乳の微量成分で加熱殺菌の標識となっているアルカリ性ホスファターゼの熱処理,γ線照射及びγ線照射と熱処理の組み合せ等の操作による本酵素の活性度変化を比較検討し,同時に照射による生乳中の細菌の死滅割合と本酵素の失活とについても比較検討した.その結果を要約すれば次の如し.
    (1) γ線照射による生乳中のボスブァターゼの失活曲線を照射量と残存率の対数との関係で示せば直線関係となる.
    (2) 全乳,脱脂乳中のホスファターゼのγ線照射による失活とクリームのそれとはやや異る.これは各試料中の成分組成特に水分含量と蛋白質含量の差に基くもので,水分が多いと酵素の失活は促進され,牛乳蛋白は酵素の失活を保護する役員をもっていると思われる.
    (3) γ線照射と熱処理による生乳中のホスファターゼの失活の様相は明らかに異る.
    (4) γ線照射後に熱処理をする場合,生乳中のホスファターゼの失活は照射量が1.5Mrのときには60°の加熱において照射効果が顕著になり, 1Mrまたはそれ以下の照射量では55°において照射効果が顕著になる.
    (5) γ線照射による生乳中の細菌数の変化については,本酵素が21.2%失活する1Mrにおいて細菌は殆んどが死滅し, 1.5Mrでは生乳は完全に殺菌された状態になる.
    (6) γ線照射後加熱した生乳中の細菌は0.5Mrで殆んど死滅し, 1Mrでは完全に死滅する.
  • 蕃椒辛味成分の化学構造について(その4) 辛味成分Iの化学構造
    小菅 貞良, 稲垣 幸男, 木村 邦男
    1961 年 35 巻 6 号 p. 596-598
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    本邦産とうがらし果実より分離され,従来辛味成分の本体とされてきたカプサイシンから,さらに単離された2辛味成分のうち,そのIはオゾン分解によりvanillylcarbamoylpentanoic acidとイソ酪酸とを与えることより,Iはカプサイシンの本体とされてきたN-(4-hydroxy-3-methoxybenzyl)-8-methylnon-trans-6-enamideであるという前報(3)における推定を確認することができた.
    なおvanillylcarbamoylpentanoic acidの確認のため,それをバニリルアミンとethoxycarbonylpentanoyl chlorideとを結合させた後鹸化して合成した.
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