マウスおよびニワトリ肝から抽出されたmonofluoroacetanilides加水分解酵素について,その基礎的諸性質を比較検討した.基質としてはmonofluoroacetanilide (FAn)を用い酵素反応条件を定めた.なお本酵素を便宜上fluoroacetanilide amidohydrolase (fluoroacetanilidase)と仮称した.
(1) マウスおよびニワトリ肝臓ともに,活性はほとんどcell sapに存在し,ミトコンドリヤ部分には活性が認められなかった.
(2) マウスおよびニワトリ肝酵素ともに,最適pH約8.5,最適温度45~50°であった.いずれも室温ではかなり広いpH範囲で安定であり, 50°でもpH 7.5~8.5でかなり安定であった.
(3) いずれもMn
2+の添加により活性が増大するが,その程度はマウス肝酵素のほうがニワトリ肝酵素よりも大きかった.
(4) Michaelis定数はMn
2+無添加の場合,マウス肝酵素では1.2mM,ニワトリ肝酵素では2.9mMでありほぼ近似した.しかしMn
2+ 1mM添加により,それぞれ2.4mMおよび2.2mMとなりいっそう酷似した.
(5) 阻害剤の影響はマウスおよびニワトリ肝酵素ともに全く同様であり,いずれもSH基反応試薬および金属キレート剤により阻害された.
(6) 以上からマウスおよびニワトリの駐臓のfluoroacetanilidaseの性質はほとんど一致すると考えられる.
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