アドレナリン,ノルアドナリン,ドーパミン,ドーパおよびピロカテコールといった芳香族レダクトンのCu
2+による酸化におよぼす核酸成分の調節作用を調べ,次の結果を得た.
1. Cu
2+共存下でのノルアドレナリンの酸化は,核酸成分のうちアデニンおよびグアニンによって最も著しく促進され,ついでシトシン,グフノシン,シチジン, CMPおよびcyclic AMPが強い酸化促進作用を示した.チミン,アデノシン,チミジン, GMPおよびAMPの促進効果は比較的弱かった.
2. 塩基のうち,アデニンはすべての芳香族レダクトンの酸化を著しく促進した.シトシンでは,アドレナリンおよびノルアドレナリンの酸化促進が著しかった.チミンはノルアドレナリンに弱い促進効果が認められたが,他のレダクトンの酸化はまったく促進しなかった.
3. Cyclic AMPはアドレナリン,ノルアドレナリンおよびドーパミンのCu
2+による酸化を促進したが, ATPはこれらのレダクトンのCu
2+による酸化を抑制した.この両者の相反した性質から,カテコールアミン刺激によって活性化されたアデニルシクラーゼによるATPからのcyclic AMPの生成において, cyclic AMPがCu
2+共存下での負のフィードバックのもとに生産されている可能性が推定された.
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