閉塞性黄疸60例について, 胆管閉塞解除前および解除後1ヵ月以内の急性胆管炎発生を胆汁細菌培養成績と対比して検討した.38℃ 以上の発熱と10,000以上の白血球増多を示したものを急性胆管炎とし, 菌血症, エンドトキシン血症, ショックを伴ったものを重症例とした.閉塞解除前の急性胆管炎発生率 (以下発生率) は53.3% (重症6.7%) であり, 良悪性疾患別, 胆のう胆管交通の有無, 左右肝管交通の有無で発生率の差はなかった.PTCとERCP検査後は20.4%の発生率を有し, これらは全発生例の約1/3を占めた.解除時の胆汁細菌培養陽性率は36.7%であり, グラム陰性桿菌が85.7%を占めた.陽性例は陰性例に比べて発生率 (77.3%) は高く, 逆に黄疸は低かった.解除後の発生率は45.8% (重症13.6%) であり, 解除法別では胆道外瘻48例 (PTC-ドレナージ13例を含む) の発生率は52.1%, 内瘻11例のそれは18.2%であった.PTC-ドレナージ直後の発生例はすべて重症例であった.解除後の胆細菌培養は, 解除時陽性例は100%に, 陰性例も87.9%に陽性となり, 外瘻を介して体外からの細菌浸入が示唆された.解除時胆汁細菌の有無と解除後の発生率との関連はなく, 外瘻からの直接胆道造影による発生率は約20%で, 全発生例の約1/3を占めた.解除後1ヵ月以内の合併症発生率と死亡率はそれぞれ45.8%, 20.3%であり, このうち急性胆管炎に関連したものは約112を占めており, 閉塞性黄疸における胆道感染の重要性が再認識された.
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