日本消化器外科学会雑誌
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12 巻, 3 号
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  • 早期食道癌, stage-O癌の報告を含めて
    中山 隆市, 青木 明人, 岡芹 繁夫, 木村 嘉憲, 別所 隆, 鳥潟 親雄, 張谷 健二
    1979 年 12 巻 3 号 p. 117-125
    発行日: 1979年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    食道の微細, 微小病変, 陥凹性, 表層拡大型病変のX線診断にはいまだ限界がある.対策としてはバリウムの食道内通過時間の速さ, 解剖学的な特殊性をよく理解し良い二重造影の撮影が重要である.嚥下困難等を主訴とし食道造影にて粗大病変の認められない症例を主な対象とし, 1973年来Elema-Schonander連続撮影装置を食道造影に応用し検討してきたが100例に達したのでその分析を行った.普遍的な食道撮影の限界より,(1) 食道の部位別最適撮影条件の設定,(2) 食道Webなどの比較的稀有例の描写,(3) また本法にて診断可能であった胃全摘後の食道stage-O癌および食道噴門接合部早期癌の各1例にも検討を加え本法の臨床的有用性と意義につきのべた.
  • 遠藤 光夫, 木下 祐宏, 山田 明義, 井手 博子, 吉田 操, 林 恒男, 荻野 知巳
    1979 年 12 巻 3 号 p. 126-130
    発行日: 1979年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    食道再建術のうち, 胸壁前食道胃吻合はその安全性の反面, 吻合部の縫合不全のおきやすいことが指摘されてきた.今回, 食道と胃の吻合を挙上胃の後壁に端側吻合することにより, 縫合不全の発生をいちじるしく改善することができたので, その術式を中心に報告する.挙上胃の作成には, 右胃動静脈をかなり温存した大きい胃管とし, 伸展が不十分の際は, 胃管の漿筋層を輪状に切離して伸展をはかり, 食道胃吻合は, 挙上胃の最先端より2cm肛側の後壁に, 層々吻合で行うというのが本術式の一連の操作である.従来の40%に近い移開率を, 小縫合不全のみの3.6%に改善することができた.
  • 小林 衛, 嶋田 紘, 佐藤 一美, 鬼頭 文彦, 新明 紘一郎, 土屋 周二
    1979 年 12 巻 3 号 p. 131-138
    発行日: 1979年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸60例について, 胆管閉塞解除前および解除後1ヵ月以内の急性胆管炎発生を胆汁細菌培養成績と対比して検討した.38℃ 以上の発熱と10,000以上の白血球増多を示したものを急性胆管炎とし, 菌血症, エンドトキシン血症, ショックを伴ったものを重症例とした.閉塞解除前の急性胆管炎発生率 (以下発生率) は53.3% (重症6.7%) であり, 良悪性疾患別, 胆のう胆管交通の有無, 左右肝管交通の有無で発生率の差はなかった.PTCとERCP検査後は20.4%の発生率を有し, これらは全発生例の約1/3を占めた.解除時の胆汁細菌培養陽性率は36.7%であり, グラム陰性桿菌が85.7%を占めた.陽性例は陰性例に比べて発生率 (77.3%) は高く, 逆に黄疸は低かった.解除後の発生率は45.8% (重症13.6%) であり, 解除法別では胆道外瘻48例 (PTC-ドレナージ13例を含む) の発生率は52.1%, 内瘻11例のそれは18.2%であった.PTC-ドレナージ直後の発生例はすべて重症例であった.解除後の胆細菌培養は, 解除時陽性例は100%に, 陰性例も87.9%に陽性となり, 外瘻を介して体外からの細菌浸入が示唆された.解除時胆汁細菌の有無と解除後の発生率との関連はなく, 外瘻からの直接胆道造影による発生率は約20%で, 全発生例の約1/3を占めた.解除後1ヵ月以内の合併症発生率と死亡率はそれぞれ45.8%, 20.3%であり, このうち急性胆管炎に関連したものは約112を占めており, 閉塞性黄疸における胆道感染の重要性が再認識された.
  • 坂本 昭雄
    1979 年 12 巻 3 号 p. 139-149
    発行日: 1979年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Elemental dietの十二指腸内注入時の膵外分泌におよぼす影響をみるために, 慢性膵瘻犬を用いてセクレチン持続刺激下にElemental diet, 全粥ミキサー食, 0.1%HCl, 脂質, 50%ブドウ糖溶液, 12%アミノ酸溶液を十二指腸内に注入し, 膵外分泌および内分泌の変動を観察した.中性に近いElemental diet, 10%脂肪乳剤は膵外分泌に対し無刺激であったが, Elemental diet (pH3.0), 全粥ミキサー食, 0.1%HCl, リノール酸は膵外分泌を強く刺激した.一方50%ブドウ糖溶液, 12%アミノ酸溶液 (pH3.0) は膵外分泌を抑制した.血中immunoreactive insulinは50%ブドウ糖液で有意に上昇したが, その他では有意差を認めなかった.血中immunoreactive glucagonは膵外分泌に薄する一定の傾向は得られなかった.
  • 「拡大郭清」による摘出リンパ節の検討
    大見 良裕, 大木 繁男, 金井 忠男, 松田 好雄, 江口 英雄, 犬尾 武彦, 土屋 周二
    1979 年 12 巻 3 号 p. 150-156
    発行日: 1979年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    最近3年間の拡大郭清を伴う直腸癌治癒切除例76例について郭清リンパ節を詳細に検索し, リンパ節転移を検討した.上方転移は39例, 51%にみられた.側方転移は15例, 20%にみられたが, 転移リンパ節数は1~4個, 平均1.6個と少なく, 15例中14例は1ヵ所だけに転移を生じていた.側方転移部位は内腸骨リンパ筋が6例と最も多く, 中直腸根リンパ節・4例, 閉鎖リンパ節・3例で次に多い.とくに中直腸根リンパ節は術中に腫張のみられたもののうち75%の頻度で転移がみられた.
  • 森岡 暁, 松本 隆博, 菊池 功次, 大高 均, 飛鋪 修二, 松田 宏一, 深見 博也, 森田 淳, 住山 正男, 森下 鉄夫, 安見 ...
    1979 年 12 巻 3 号 p. 157-167
    発行日: 1979年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    大腸癌患者の血清補体系 (classicalおよびalternative pathway) を検討したところ, 正常群より高値を示し, 進行度・肝転移の有無・手術根治性および再発の右無に関係する傾向にあった.また補体系と免疫グロブリン・蛋白分画・末梢血リンパ球数・CEAとの相関を追求した.死亡前の動態, 抗癌剤使用例・凍結手術施行例・免疫療法施行例についても述べ, 補体系に影響を与えるであろう結核, 肝硬変合併例についても述べた.
  • 縄田 泰生, 森 文樹, 倉田 悟, 守田 知明, 兼行 俊博
    1979 年 12 巻 3 号 p. 168-171
    発行日: 1979年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • S字結腸非特異性潰瘍の1例を中心に
    古川 信, 稲田 章夫, 有塚 史郎, 小坂 進
    1979 年 12 巻 3 号 p. 172-177
    発行日: 1979年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    結腸の非特異性潰瘍は, まれなものと考えられる. 私どもはすでに4例の経験を報告したが, 今回, さらにS字結腸にみられた非特異性潰瘍を加え報告する.
    63歳, 女性で下血を主訴とし来院, 注腸透視にて短時間の間の病変の変化, ファイバースコープ, バイオプシーにて術前正診をなし, 術中病理診断も用いて, 最小侵襲にて治癒せしめた.
    本邦23例と対比し, 文献的考察を行った.
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