インターネット利用をめぐる信頼と不安といった場合,インターネットの情報内容やメディアイメージをめぐる信頼・不安と,インターネット利用に際し,トラブルや被害に巻き込まれる不安が考えられる。筆者が中心となって実施してきた『日本人の情報行動』調査からは,インターネットの情報内容に対する信頼度は,この10年で着実に漸増してきているものの,まだまだ新聞やテレビに及ばないことが明らかになっている。また,ネット利用の際の不安に関し,筆者らが実施した10ヵ国比較調査によれば,日本人は概して,被害経験が少ないにもかかわらず他の国と比較しても不安度が高い。その背景に,トラブルや事故をめぐる報道への高い接触率があげられる。しかし,報道への接触と不安との関連は,すべての国で共通のものではない。
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