情報の科学と技術
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74 巻, 2 号
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特集:広がるリテラシー教育
  • 小川 ゆい
    2024 年 74 巻 2 号 p. 39
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル フリー

    2024年2月号では最近のリテラシー教育の状況に着目し,特集を企画しました。FacebookやX(旧Twitter)等のソーシャルメディアの普及により,私たちは情報をより得やすくなりました。一方で,誤った情報も増大しており,多様な情報媒体から正しい情報を見ぬき,読み解く,リテラシーを身につけるための教育活動が強化されています。学術・情報センターとしての機能を備えている学校図書館では,長い間リテラシー教育に取り組んでおりましたが,近年はICT教育も始まり,教育に携わる関係者も広がり,リテラシー教育自体も時代に沿って変化しています。

    本特集では,リテラシー教育に取り組む各分野の方から,それぞれの教育活動を紹介していただいております。情報教育における情報リテラシーの取り組みについては,玉田和恵氏にご執筆いただきました。大学の情報リテラシー教育に携わる立場から,情報モラル問題解決力の育成について論じて頂いております。メディア関係者の情報リテラシーの取り組みについては,尾高泉氏にご執筆いただきました。新聞を活用した実践的な教育プログラムの展開に携わる立場から,メディア情報リテラシーの意義を示し,学校図書館や家庭との連携教育の取り組みもご紹介いただきました。リテラシー教育分野の最近のツールについては,長澤江美氏にご執筆いただきました。現実のSNSを模した仮想の情報受発信を体験するシミュレーター「To Share or Not to Share」と,それを活用した授業の実践例をご紹介いただいております。

    最後に情報活用能力を高める話題として,ChatGPTをとりあげました。INFOSTAセミナーより,ビジネスでのChatGPTの活用方法や実践的ノウハウについて,講師の鈴村悠輝氏,橋本良太氏の講演内容を,続いて次世代のコミュニケーション方法としてのChatGPTについて,講師の沼田哲史氏の講演内容を紹介しております。

    異なる立場のリテラシー教育を紹介することで,各教育活動の理解を深め,教育関係者間でそれぞれの専門知識を活用した将来のリテラシー教育の在り方を考えるきっかけに,本特集がなりますと幸いです。

    (会誌編集担当委員:小川ゆい(主査),青野正太,長谷川幸代,森口歩)

  • 玉田 和恵
    2024 年 74 巻 2 号 p. 40-45
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル オープンアクセス

    Society5.0の実現に向け,自分が問題に直面した際に,目的や解決策を適切に発想し判断できる人材を育成すること,人工知能・ビッグデータ・IoTなどに対応できる高度情報人材を多く輩出するが求められている。昨年より,ChatGPTなどの生成AIが社会で大きな話題となり,教育機関ではどう扱われるべきかが盛んに議論されている。社会で求められる情報活用能力を育成するために,筆者が情報リテラシー・情報倫理部会で主査を務める私立大学情報教育協会では「社会で求められる情報活用能力育成のガイドライン」を,大学卒業時に全ての学生が修得しておくべき学士力として提案している。本論では当該ガイドラインを踏まえて現在実施している情報リテラシー教育について論ずる。

  • 尾高 泉
    2024 年 74 巻 2 号 p. 46-51
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル オープンアクセス

    リテラシー教育には,「情報」「デジタル」「ニュース」「メディア」様々な枠組みがあるが,それぞれを包含する多元的で循環的にとらえるものが求められている。例えば,新聞界では長年,授業に新聞を活用するNIE(Newspaper in Education)に取り組み,日本新聞博物館は社会教育施設として,学校や学校図書館と連携し,メディアの枠を超えてリテラシー教育を担ってきた。メディアにとっての最終目標は,各地でSNS社会による分断や人々の「選択的ニュース回避」現象が進むなか,共通の言論空間を作り,次世代の民主主義の担い手を育てることだ。リテラシー教育実践が遅れをとっていると言われる日本の現状を認識し,今こそ関係者の連携が求められている。

  • 長澤 江美
    2024 年 74 巻 2 号 p. 52-58
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル オープンアクセス

    インターネット,スマートフォン,そしてソーシャルメディアの普及によって,私たちを取り巻く情報空間は大きく変貌した。誰でもが手軽に情報を発信・受信する手段を手に入れたが,一方でSNS投稿の炎上問題や,デジタルタトゥーなどネガティブな面も付きまとう。デジタルメディアや,そこに流れる玉石混交な情報との付き合い方は難しい。筆者の所属するスマートニュース メディア研究所では,デジタル時代をより良く生き抜くための教育促進や,溢れる情報との付き合い方を学ぶことのできる教材の作成に取り組んでいる。本稿では,メディア研究所の取り組みを紹介しながら,デジタル時代にあったリテラシー教育・教材について考えていく。

連載:実務者のための著作権お悩み相談室 第5回
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