情報の科学と技術
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72 巻, 9 号
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特集:ウェルビーイングとインフォプロ
  • 野村 紀匡
    2022 年 72 巻 9 号 p. 327
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    今月号の特集は,「ウェルビーイングとインフォプロ」と題してお届けします。

    新型コロナ感染症の拡大により,テレワークにシフトする等,働き方が大きく変わった方も多いのではないでしょうか。テレワークには,通勤時間が減る,オフィスよりも仕事に集中しやすい等の利点があります。一方で,同僚とのコミュニケーション不足や働き過ぎ等の欠点もあり,テレワーク中にメンタルの不調を感じた方もいるでしょう。また,コロナ禍でライフワークバランスや,自分にとっての幸せについて見つめ直す機会を持たれた方もいるかもしれません。

    社会が大きく変化する昨今,“ウェルビーイング”という言葉を目にする機会が増えてきました。本特集では,このウェルビーイングについて,様々な観点から紹介します。まず前野隆司氏(慶應義塾大学)に,ウェルビーイングとは何かについて,「幸せ」の研究者の立場から概説いただきました。渡邊淳司氏(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)らには,“アジャイル”というソフトウェア開発の方法論を用いて,ウェルビーイングを支援する技術について述べていただきました。齋藤敦子氏(コクヨ株式会社)には,職場環境をデザインするという観点から,ウェルビーイング・オフィス,望ましいワークプレイスの設計について事例を交えて解説いただきました。小林由佳氏(法政大学)には,メンタルヘルスの悪化を防ぎ,ウェルビーイングである状態にするためのワークエンゲージメントの高め方や,セルフケアについて論じていただきました。駒田陽子氏(東京工業大学)には,ウェルビーイングのために重要なスリープマネジメントについて,睡眠負債や生体リズム,社会的ジェットラグ等のトピックを交えながら,良い睡眠を確保するためのポイントについて説明いただきました。

    本特集で,ウェルビーイングについての理解が深まり,読者の皆様がご自分にとってのウェルビーイングについて考える契機となれば幸いです。

    (会誌編集担当委員:野村紀匡(主査),青野正太,池田貴儀)

  • 前野 隆司
    2022 年 72 巻 9 号 p. 328-330
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 渡邊 淳司, 七沢 智樹, 信原 幸弘, 村田 藍子
    2022 年 72 巻 9 号 p. 331-337
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    現代のウェルビーイング研究は,個人の主観的幸福や主観的満足度を対象としたものが多く,それに伴いウェルビーイングに関する情報技術の開発においても,前記のような主観指標の改善・最大化を目標とした「最適設計」がなされる傾向がある。しかし,このようなアプローチは,人間を制御対象として捉える人間観とも通ずる部分があり,その点においては,個人のウェルビーイングの達成と相容れないものである。そこで本稿では,ウェルビーイングの全体性・仮固定性に着目し,ソフトウェア開発の分野で取り入れられている“アジャイル(Agile)”という方法論に則ったウェルビーイングの支援技術の考え方と事例について述べる。

  • 齋藤 敦子
    2022 年 72 巻 9 号 p. 338-344
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

    働く人にとって職場環境は重要だが,昨今,テレワークが常態化し働く場所は多様化し,マネジメントにも刷新が求められる。一方,知的生産性と身体の関係は深く,物理空間が無くなるわけではない。本稿では物理的なオフィス環境と人間関係や知識創造などのソフトが関係していることに着目し,職場環境の重要なキーワードである「ウェルビーイング」とワークプレイスについて解説する。そして,具体的な企業の事例からウェルビーイング・オフィスを俯瞰し,そのポイントを述べる。また,今後の働き方の変化を踏まえて,働く人と企業経営にとって望ましいワークプレイスとはどのようなものかを展望する。

  • 小林 由佳
    2022 年 72 巻 9 号 p. 345-351
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿ではウェルビーイングをメンタルヘルスの観点から解説する。メンタルヘルスに影響するワークエンゲージメントと仕事の資源との関係を説明するモデルとして近年注目されている「仕事の要求度-資源モデル」について解説し,ワークエンゲージメントを高める循環をつくりだすジョブクラフティングを例示やチェックリストとともに紹介する。また,コロナ禍における就業環境の変化によるメンタルヘルスへの影響や,ストレスチェック制度の最近の動向,職場単位での仕事の資源の高め方について,事例を交えて考察する。最後に,ストレス反応を増大させる循環に陥るのを防ぐためのセルフケアについても触れる。

  • 駒田 陽子
    2022 年 72 巻 9 号 p. 352-357
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル オープンアクセス

    質の良い十分な睡眠を毎日規則的にとることは,ウェルビーイングにとって欠かせないが,日本人の多くが睡眠負債の状態である。さらに睡眠負債を解消するために休日に朝寝坊をすることは,社会的ジェットラグを引き起こす。COVID-19感染拡大防止のために各国で実施された社会的な行動制限によって,睡眠やウェルビーイングに変化が生じた。行動制限中,平均睡眠時間は15分増加し,社会的ジェットラグは29分減少した。全般的な幸福感は半数の人が悪化し,幸福感が悪化した群では有意に光曝露量の減少幅が大きかった。ウェルビーイングのためには,スリープマネジメントによって良い睡眠を確保することが重要である。本稿ではいくつかのポイント(生体リズムを整える,昼間の活動,眠る前のリラックスと眠りへの準備,眠りへのこだわり,眠る環境)を概説した。

事例報告
  • 渡邉 幸佑
    2022 年 72 巻 9 号 p. 358-361
    発行日: 2022/09/01
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル オープンアクセス

    大学の広報活動として,大学をPRするキャラクター(大学キャラクター)が創作されている。最近では,大学キャラクターがTwitterで大学に関する情報をつぶやく取り組みがある。本稿では,大学キャラクターがどのようにつぶやかれているか把握するため,Twitterのツイートを分析した。その結果,東京都立大学の大学キャラクター「ミヤコロン」は,「かわいい」や「鳥」としてイメージされていることが明らかになった。本稿で示した一連の方法は,Twitterにおける大学キャラクターのイメージ分析に有用であることが確認された。他の大学の大学キャラクターも含めて調査を行うなど,分析の発展が期待できる。

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