フィルム・アーカイブの主たる使命は,所蔵品としての映画フィルムと映画関連資料を,収集から保管,公開までを含むアーカイブ活動のサイクルのなかで,取り扱っていくことにある。映画フィルムは,物理的な損傷や化学的な変化に対して脆弱ではあるが,温湿度を制御することによって,デジタルメディアよりも遥かに長い寿命が期待されている。それでもやはり,デジタル技術は,デジタル復元や所蔵品に対するデジタル・アクセスなどを通して,フィルム・アーカイビングのさまざまな領域を変貌させてきており,これにより,来るべき世代の教育や学問的研究に対して,必ずやこれまで以上の貢献をもたらすことになるだろう。
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