人には,性格のコアと言われる気質があり,それは遺伝子レベルで規定されているため,一生変わらないものである。メンタルヘルス不調を予防するには,自分の気質の良さを理解し,その気質の弱点を補うためのセルフケア法を知ることが有効である。また,労働者の強いストレスとなっている人間関係の問題は,気質の違いによるものが大きい。人間関係の改善や対人ストレスの軽減のためには,自分とは異なる気質を持つ他者を理解し,他者との関わり方を知ることが必要である。そこで本稿では,気質理解によるメンタルヘルス不調の予防法と人間関係ストレスの軽減法を紹介する。
精神保健学の視点から,職務の負担が生み出すメンタルヘルスの問題を,就労環境から受ける生理学的影響と心理社会的負担感の影響から分析した。仕事忌避感が自己中心性を招き,対人ストレスと捉えることが,職場の緊張を増す構造を検討し,メンタルヘルスリテラシーの視点からうつ病とバーンアウトを予防する働き方を考察した。負担感は必ずストレスコーピングを招くが,準備がいる良いコーピングより容易な悪いコーピングを無自覚にとる結果,不適切な生活習慣が疲労蓄積や生活習慣病を生むメカニズムを見,ストレスマネジメントの基本を健康生活習慣とコーピングの自覚と選択であるとし,これを図書館員固有のストレス構造において検討した。
図書館は不特定多数が利用する施設であり安心安全でなければならない。しかし,近年の図書館では迷惑行為や犯罪行為を行う「問題利用者」が問題となっている。本稿では①リスクマネジメントやリスクアセスメントの策定によるリスク対応の可視化,②利用規則による抑止,③図書館職員のホスピタリティを向上させるサービスコードの3つの方策を示して問題利用者の抑止策について検討していく。さらには実際に問題行動が起きた際の対応策として,遭遇する確率が高い怒った利用者を事例として挙げ,6つの対応スキルについて紹介する。
働く人のメンタルヘルスケアにおいて,これまで事業所の取組みは徐々に広がっているものの,不調を呈した一部の人に向けた取り組みのみでは全体の悪化に歯止めをかけることは難しいことが実態からも示されてきた。不調者対応に加えて,今後は組織全体の健康度を向上させることによって,働く人の働きがい,幸福,生産性,不調者の減少につなげていくポジティブメンタルヘルスの観点が重要となる。組織全体の健康度を向上させるためには組織の心理社会的資源を個人と組織の両面から高めることが必要であり,この取り組みを通して多様な人材(立場,性別,年代,健康状態など)が受け入れあえる状態を目指していくことが望まれる。
本研究は,新市場参入を検討している営業部隊のための効果的な情報分析に関するものである。下町ロボットと名付けられた仮想の会社は高感度加速度センサーを製造販売しており,これを武器に成長が期待される介護・支援ロボット市場へ参入するケースを想定した。加速度センサーの販売先として可能性が高い企業6社を選定し,具体的な営業活動をイメージしながら必要な情報を収集・分析した。本稿では,従前の情報分析の提供先としてあまり馴染みのなかった営業部隊に着目し,営業部隊の営業戦略支援のための具体的な情報提供手法について報告する。