今後の大学図書館システムの進展を考えるに当たって,インターネットの利用は益々重要な要素を占めるようになるだろう。大学図書館における利用を考えると,1.システムの相互接続の機会が増えることによるサービス可能性の増大,2.それによってもたらされる情報入手可能性の増大と迅速化,などが挙げられるであろう。このように入手可能性が増大することは,図書館にとっても利用者にとっても望むべきことではあるが,単に機会が増大しただけでは混乱を助長するだけの結果に終わりかねない。資料がどこにあっても,どのような媒体の,或いはどのような種類であっても,継ぎ目のない形で提供できるようなシステムが要求されることになる。一次資料,二次資料,三次資料というような従来一連の流れの中での提供が困難であった部分についても,特に改善が望まれることになるであろう。しかし,その実現のためには,図書館システム自体の高度化はもちろんのことであるが,図書館のサービスに関わる制度的,政策的な面での問い直しや,大学の情報環境自体の高度化も必要になると考えられる。このような観点から,インターネット上のOPAC接続,ドキュメントデリバリサービス,データベースの利用,大学のコンピュータ利用環境,について若干の事例を紹介し現状について考えてみた。
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