土木学会論文集
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2000 巻, 656 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 阿部 清明, 菊池 英明, 古川 浩平, 塩月 善晴
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 1-13
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    降った雨の一部は地下に浸透し, やがて地表に現れて河川の流量となる. どの程度浸透するのか, 地下にどれだけ貯えられるのか, どのくらい時間が経過し地下から出てくるのか, いずれも, 現状では正確なところを把握することは難しい. このように, 自然環境において, 地面に雨水がしみ込み流量に変わる過程をモデル化し流量を予測することは困難を極める. これらの解決策の一つとしてタンクモデル法等の流出解析が挙げられる. 本研究では梢らが行った河川流域におけるタンクモデルと同一のデータを用いて, 非線形な連続関数の近似に適したニューラルネットワークを使用し流出解析モデルを構築し比較する. そして, 流出解析におけるニューラルネットワークの有用性を検討する.
  • 庄 建治朗, 長尾 正志, 冨永 晃宏
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 15-25
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近代的な水文観測体制が整備される前の時代 (歴史時代) の琵琶湖水位は, 膳所藩による定期観測記録や田面の冠水深記録等によりある程度定量的に推定される. また, 流域各地に散在する古日記からは日々の天気変化を知ることができる. 本研究では, 古日記の天候記録と迎水位・ピーク水位データを用いて歴史時代における洪水期の琵琶湖流域平均降雨量を逆算するモデルを構築し, 江戸時代後半期の主要洪水にこれを適用して洪水規模再現を試みた. さらに, 同モデルを近年洪水に適用し, 結果を観測データと比較することによりモデルの有効性を検証した. その結果, 本モデルは特に大規模洪水に対して再現性が高く, またピーク水位データの誤差が結果の信頼性に大きな影響を及ぼすことが確かめられた.
  • 村岡 治道, 村岡 浩爾
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 27-38
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 大阪府下・寝屋川流域に設置される治水施設に着目して, 将来における新規の都市活動用水源確保ならびに治水施設の有効活用の方策を検討した. まず最初に対象流域の季節別降雨特性や大阪府が策定した計画による治水効果を定量的に評価した. 次にこれらの結果を考慮して, 治水施設の有効活用として時間最大降雨量30 (mm/時間) 以下の降雨を対象に雨水を積極的に貯留し, この貯留水を新規都市活動用水源として有効活用することを想定し, その方策を提案・検討した. その結果, 治水機能を確保しつつも, 都市活動用水の一部を供給する利水施設として治水施設が機能しうることを明らかにした.
  • 立川 康人, 椎葉 充晴
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 39-46
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    Chebyshev 多項式を用いて共分散行列を近似的に平方根分解することを原理とした正規確率場, および対数正規確率場の発生法について述べる. 対象領域を同じ大きさの矩形グリッドで覆い, homogeneous な正規確率場, または対数正規確率場に従うNx×Ny個の値を発生させる場合, ここで提案するアルゴリズムを用いれば, 実行に必要な計算機メモリは最低3NxNy個でよい.
  • 中川 啓, 神野 健二
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 47-59
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    帯水層は, 透水係数などの水理パラメーターに関して不均一性を有しているが, その不均一な分布の把握は, 対象とする帯水層の地下水流れ及び汚染物質の移流分散挙動を評価するうえで重要である. 本研究では, トレーサー試験結果と数値計算結果とを比較し, 適合度検定により帯水層の透水係数分布を推定する自己回帰モデルのパラメーターを評価する方法を提案している. また本手法をドイツの Horkheimer Insel 野外実験サイトで行われたトレーサー試験に適用し, 実際のトレーサーの移流分散挙動を十分再現できることを示し, 本手法の適用性を確認している.
  • 坊野 聡子, 清水 康行, 黒木 幹男, 藤田 睦博, 吉田 義一
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 61-72
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は土砂輸送を伴う沖積地河川の中流部にダムが建設された場合の土砂輸送環境の変化を検討したものである. 北海道の沙流川河口部から約20km地点に建設された二風谷ダムを例として, その貯水池を含む上下流約30km区間の出水時の連続土砂観測, 河床形状および河床材料の調査, および流れと流砂・河床変動の数値計算モデルなどを用いてダムを含む河川の土砂輸送環境の実態を定量的に明らかにした. この結果, ダム上流, 貯水池, ダム下流の河川における土砂の収支が質的・量的に明らかにされ, ダムおよび河川の長期的な維持管理対して極めて有効な知見を得ることが出来た.
  • ジャ アキレスクマール, 秋山 壽一郎, 浦 勝, 重枝 未玲
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 73-82
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 高精度氾濫シミュレーションモデルの基礎数値モデルとして自由表面流れに固有な河床勾配や摩擦勾配を考慮した流束差分離法 (FDS) に基く1次精度モデル (Roe・Harten and Hymen モデル), 2次精度モデル (Lax-Wendroff・Roe・Seweby モデル) および両モデルを包括した洪水流モデルを新たに提案したものである. 既存の実験データや数値実験に基き Roe・Harten and Hymen モデルと Lax-Wendroff・Roe・Seweby モデルの収束性, 対称性および適用限界についてそれぞれの基本性能を明らかにした上で, 信頼性が高いと認められる既存の2次元ダム破壊流れに関する実験結果を用いて本洪水流モデルの予測精度や適用限界などについて定量的に検討を加えた.
  • 魚類等の生息環境保全対策への応用を目指して
    竜澤 宏昌, 林 日出喜, 長谷川 和義
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 83-101
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    渓流にみられる小規模河床形態の基本的な性質を解明するため, 移動床実験ならびに理論解析を中心とした検討を行った. 移動床実験からは, 小規模河床形態の形成・安定化に河床砂礫の粒度分布特性が深く関与すること, 特に Talbot 型の粒度分布 {P=(d/dmax)n, n=1/2~3/4} を有する河床に安定した小規模河床形態が形成され得ることなどがわかった. また分級・反砂堆説に従い理論的に導いた小規模河床形態の波高・波長の推定式が移動床実験で得られたデータによく適合することを確認したほか, 小規模河床形態上の流れを理論的に分類し固定床実験で得られたデータを用いて検証した. さらに, 以上の成果を基に, 小規模河床形態の形状及び構造を模擬した近自然的な魚道形式を提案し, その機能に関して実験的に検証した.
  • 細田 尚
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 103-111
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 連続蛇行水路に通水し水路勾配を変化させたときの水面形特性について, 平面2次元流れの基礎式の線形解に存在する蛇行と水面の共鳴関係近傍の応答特性に着目して考察したものである, 線形解と実験結果を比較した従来の研究に基づいて, 見かけの抵抗の増加を考慮した非線形解析を行い, 無次元水理パラメータと水面形特性の関係を検討した. その結果, 蛇行の程度を表す無次元パラメータが大きくなると見かけの抵抗が大きくなり, 流れのフルード数が共鳴関係を越えにくくなること, その場合の水面変動振幅とフルード数の関係が共鳴関係のフルード数より小さい領域の線形解に適合することを示した.
  • 福嶋 祐介, 藤田 和成, 鈴木 健史, 小杉 健二, 佐藤 威
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 113-120
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    低温風洞装置を用い, 実際の雪を用いて吹雪を発生させる実験を行った. 風速分布を熱線流速計で, 飛雪流量分布を snow particle counter (SPC) で測定した. また, SPCでは雪粒子の粒径分布も測定できる. 実験結果と比較するため, 先に発表した非ブーシネスクκ-ε乱流モデルによる数値解との比較を行った. 計算で得られた風速分布は底面付近で小さく上方に向かうに従って風速が増加するという境界層流れの流速分布の特性を示し, 実験による分布は計算による分布で良く説明できる. 飛雪流量分布は底面近傍では実験と計算の結果は良く一致する. 計算で得られた吹雪時の風速分布は開水路の浮遊砂流と同様, 底面付近で勾配が大きくなり, log+linear 則で表されることが示された.
  • 神田 徹, 宮本 仁志, 槇野 渉
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 121-133
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    開水路凹部の主流-凹部境界における混合層流れを対象として, ウェーブレット変換を用いた流れの解析を行った, まず, PIVにより計測した瞬時の流速分布に対して連続ウェーブレット変換を施し, 大規模渦の空間スケール・移流速度・発生周期など流れの特性を明らかにした. また, 流速時系列に同変換を適用することにより大規模渦の周波数特性を抽出し, これらの結果から渦の空間スケール~周期の関係を定量的に評価した. 次に, 多重解像度近似によって分解した流速時系列を用いて周波数階層別の流下・鉛直方向の運動エネルギー成分を算出し, それらの階層を大規模渦の周波数帯を含む3つの帯域に分類した. 適用結果から, ウェーブレット変換は大規模渦など乱流の組織的な構造を解析する手法として有効であることが確認できた.
  • 池田 駿介, 佐野 貴之, 福元 正武, 河村 一弘
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 135-144
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    複断面開水路では低水路と高水敷の境界部に大規模な組織渦が生じ, それが横断方向の運動量・物質輸送に大きな影響を与えることが知られている. 本研究ではSDS-2DHモデルを実験室スケールの複断面流れ場に適用し, 同モデルが時間平均流速, Reynolds 応力, 卓越波長をほぼ説明できることを示した. あわせてその流れ場のもとで浮遊砂の移流拡散を計算した結果, 浮遊砂濃度が組織渦による特徴的な分布パターンを示し, 横断方向への浮遊砂の輸送過程を再現できた.
  • 池田 駿介, 杉本 高, 吉池 智明
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 145-155
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不透過水制群を有する流れ場を対象とし, 水制間隔が平面2次元的な流れの構造に及ぼす影響に関して, 室内実験および数値計算により検討を行った. 数値計算では, SDS-2DHモデルにより剥離渦を伴う非定常的な流れを良好に再現した. また, 経験的に用いられてきた水制間隔/水制長比が2~3は, 主流域・水制域間で質量・運動量の交換率が最大となる比であることが実験および計算により示された. 特に, 十分に発達した平衡領域では主流域から水制域へ運動量輸送が行われ, この比が2~3のとき剥離渦のスケールと水制間隔が一致し, 剥離渦が消滅せず, その構造を保ったまま流下し, これが水制域と主流域の交換に大きく寄与していることがわかった.
  • 劉 暁東, 堺 茂樹
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 157-166
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 任意の波浪条件に適用可能な大型浮体の弾性応答に関する数値解析法を開発した. 流体運動には境界要素法を, また浮体の弾性変形解析には有限要素法を別個に用い, 浮体と流体の界面での変位及び圧力を接続することによって, 流体と浮体の動的な干渉が時間領域で計算される. 本解析法は海底地形が変化する場合及び構造物の質量あるいは剛性が分布する場合に対しても適用可能である. 規則波, 不規則波及び孤立波のそれぞれについて, 解の収束性及び安定性に対する空間及び時間分割の影響を数値解相互の比較によって検討した. また, 実験結果との比較により, 上記3種類の波に対する有効性が確認された. 更に, 模型実験及び数値計算の両者において, 大型弾性浮体下での孤立波の分裂現象が見出された.
  • 池野 正明
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 167-181
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    非線形平面波作用下における係留浮体の3次元有限振幅運動の解析手法を強非線形ポテンシャルモデルに基づき開発した. 本手法は, 3次元流体の速度場と加速度場の境界積分方程式および浮体の運動方程式を連立させて解く境界要素法に基づいている. 解法時には, 自由水面の要素節点の時々刻々の移動を水粒子の3次元運動と一致するようにラグランジュ的に算定するとともに自由水面の力学的境界条件を厳密に満足させる. また, 浮体の運動方程式を解いて得られる6自由度運動成分を座標変換して浮体没水境界節点の移動を計算する. 非線形波の解析解との比較, 強非線形断面2次元境界要素法との比較および既往の係留浮体の3次元動揺実験結果との比較によりその妥当性を検証した. 最後に, 防波堤開口部を有する港湾内に係留された浮体を対象に計算を行い考察を加えた.
  • 灘岡 和夫, 吉野 忠和, 二瓶 泰雄
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 183-192
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    多くの沿岸海水流動計算法のベースとなるσ座標系を複雑地形場で密度の鉛直変化が大きい沿岸域に適用すると, そこでの水平拡散項や圧力勾配項に関する数値誤差が不可避的に大きくなることが指摘されている. そこで本研究では, これらのσ座標系の問題点を比較的簡便な計算アルゴリズムによって解消するために, 新たに Dual-σ座標系を提案した. これは, 計算領域を密度変化の大きい上層と海底地形に接している下層に分けて, 各層に対して別々のσ座標系を導入することにより, 計算手法の高度化をはかろうとするものである. この Dual-σ座標系の有効性を検証するために, いくつかの理想的な条件下における検証計算を実施したところ, 本手法により, 従来のσ座標系と比べて大幅に計算精度が向上することが確認された.
  • 水谷 法美, 許 東秀
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 193-204
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    潜堤上の擬岩の作用波力の算定法を構築するため, 擬岩模型の作用波力特性を水理実験結果に基づいて考究した. 擬岩模型が沖側法肩近傍にある場合, 砕波により非常に大きな波力が作用する. この波力の最大値を広井式と合田式に基づいて設置位置の関数として定式化した. 一方, Morison 式に水位変動の効果を含ませ, 構造物の前面位置での流速と加速度を使用することにより, 水平波力の時間波形が計算可能であること, 鉛直方向波力を浮力によりほぼ計算可能であることを解明した. さらに, 本研究の数値解析法は, 斜面上の潜堤による波変形を精度よく算定でき, それによる流速, 加速度, 水位変動と Morison 式から, 衝撃砕波力が発生するような場合でも波力の時間変化を精度良く予測できることを明らかにした.
  • 石田 啓, 斎藤 武久
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 205-219
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    PIVを用いた可視化実験により, 側方から剥離を伴う鉛直平板周りの速度ベクトル場および渦度場の時間変化を計測し, 平板周りに形成される後流渦の特性を明らかにした. さらに, 境界要素法と離散渦法を組み合わせた流況解析法および平板に作用する波力の算定式を新たに提示した. 可視化実験結果と流況解析結果との比較から, 本研究に用いた流況解析法が実験結果を良く表現することが明らかになった. また, 平板に作用する全波力の計測結果と本論文で提示した算定式による全波力の解析結果を比較した結果, 両者が非常に良く一致することから, 本論文で提示した流況解析法および波力算定法の妥当性が確認された.
  • 日向 博文, 八木 宏, 吉岡 健, 灘岡 和夫
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 221-238
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1997年12月から1998年4月にかけて東京湾湾口部で現地観測を行い, 黒潮系暖水波及時における湾口部周辺海域の海洋構造を明らかにすることを試みた. その結果, 観測期間中確認された暖水波及時には湾口部表層において明確な水温, 塩分フロントが形成されていたが, 従来いわれている熱塩フロント構造と異なり, 暖水が内湾水の下層に潜り込みながら湾内へ侵入する形のフロント構造であったことが明らかとなった. これは, 黒潮系暖水が内湾水よりも重かったことによるが, 外洋水が侵入する水深は, 湾内密度の鉛直分布と外洋水密度の相対的な関係で決まっている. また, この暖水波及時には, 冬季における平均的な値に比べて約5倍の大きさの外洋から湾内への熱フラックスが存在し, この熱フラックスの要因として, 残差流の水平シア成分の寄与が大きいことが明らかとなった.
  • 八木 宏, 灘岡 和夫, 内山 雄介, 日向 博文
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 239-254
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    典型的な閉鎖性水域である東京湾と開放性沿岸域である鹿島灘の年間表層水温変動過程の大局的な特徴を定量的に把握するために, 閉鎖性がより強くかつほぼ同様な気象条件下にある霞ヶ浦も含めた形での長期連続観測データに基づく比較解析を行った. その結果, 1) 鹿島灘海岸域では移流による熱輸送が年間を通して水温変動に寄与するのに対し, 霞ヶ浦では大気側との熱交換によって水温変動がほぼ規定されていること, 2) 夏季の東京湾湾奥部においては, 7日以上の時間スケールでは水表面を通した大気側からの熱輸送によって表層混合層内の水温変動が支配されており, 夏季の表層水温が霞ヶ浦のそれとほぼ同じになること, 3) 冬季では, 湾口を通した外洋からの熱輸送が湾内の水温変動に大きく寄与すること, などが明らかになった.
  • 梅田 信, 横山 勝英, 石川 忠晴, 銭 新, 高橋 迪夫
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 255-268
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    貯水池に流入する濁質の量や特性, あるいは流入後の挙動を把握するため, 洪水時の採水観測や貯水池内の濁水流動観測など, 種々の現地観測を実施した. その結果, 流入水の濁度モニタリングによって, 貯水池へ流入する濁質ブラックスが概ね把握できることが分かった. また, 洪水時の貯水池内濁水流動と濁質堆積分布を三次元k-εモデルにより再現計算を行った. 計算結果と観測結果は比較的よく一致した. 濁質の沈降速度の分布は計算結果に比較的大きな影響を与えるので, 流入水の濁度と併せて計測しておく必要がある. しかしながら, このようないくつかの項目を計測しておけば, 本計算モデルは濁質の流動・堆積過程をかなり正確に把握することができ, 今後の貯水池管理において有効な手段となると考えられる.
  • 角野 昇八, 細井 由彦, 竹原 幸生, 朝位 孝二, 杉原 裕司, 中村 由行, 吉岡 洋, 平口 博丸, 江藤 剛治, 中山 忠暢
    2000 年 2000 巻 656 号 p. 269-287
    発行日: 2000/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    日本における水表面での気体輸送に関する最新の研究成果を取りまとめ, この分野の研究の現状を報告した. また, これまで行われた「水表面での気体輸送に関する国際シンポジウム」で発表された論文を分類し, 国際的な研究の動向を明らかにした.
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