土木学会論文集
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2003 巻, 734 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 李 在元, 朴 竣範, 李 基豪, 林 京熙, 朴 圭弘, 嘉門 雅史
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 1-10
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    PCB (ポリ塩化ビフェニル) のような有機塩素系化合物による汚染地下水の拡散を未然に防ぐために透水性反応浄化壁におけるPd被覆鉄粉による触媒的な脱塩素効果について実験を行った. 初期濃度20mg/Lのアロクロール1254の脱塩素反応物質として零価鉄粉とPd被覆鉄粉 (0.01%Pd, 0.03%Pd, 0.06%Pd, 0.3%Pd) を使用した, 分析は高分解能のGC-MSとGC-ECD分析のピーク同定により行い, 総濃度と異性体について分解率を検討した, その結果, 0.3%Pd被覆鉄分の場合は120時間後に初期濃度の99.98%の分解率, 即ち, 0.005mg/Lまでの濃度の減少が確認された. Pd被覆鉄粉は水素置換反応による高い分解能を持っているので, PCBのような分解しにくい汚染物質に対する透水性反応浄化壁に効果的な反応物質であると考えられる.
  • 李 在元, 李 承學, 朴 〓範, 朴 圭弘, 金 時顯, 嘉門 雅史
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 11-21
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    Pd被覆鉄粉によるPCB (ポリ塩化ビフェニール) の脱塩素に関する表面解析を検討した. X線光電子分光法 (XPS) と電子プローブマイクロアナリシス (EPMA) を用いて, PdとFeの結合形態と表面の化学的な状態を考察した. また, 走査プローブ顕微鏡 (SPM) を用いて表面粗さの形態変化を観察した. XPSとEPMAの結果, Pdのコーティング状態は鉄の表面上に零価のPd塊として存在し, PCBの脱塩素過程からFeOOHの不動態被膜が形成された可能性が高いと判断される. また, SPMの結果からは脱塩素反応によって表面にピットという隙間が存在し, 反応場として作用できることと推測された. 本研究の基礎的な表面特性の考察は透水性反応浄化壁の脱塩素化効率の向上させ, その適用性を高めることができると考えられる.
  • 颯田 尚哉, 森澤 眞輔, 米田 稔, 中山 亜紀
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 23-31
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年多くの発展途上国で, ガソリンへの鉛化合物の添加が規制され, 大気中の鉛とそれに関連する健康リスクを低減する努力が続けられている. 本研究では, マレーシアにおけるガソリンの無鉛化政策が人の健康リスクを低減する効果を定量的に検討した. 一般的なマレーシア人について経口と吸入の両経路からの鉛曝露量を推定し, 血液中鉛濃度を生理学的薬物動態モデル (PBPKモデル) を用いて評価した.
    現時点の鉛曝露レベルであればマレーシア人の血液中鉛濃度は健康障害評価上の目安値とされる30μg/dLを超える可能性はほとんど存在せず, 10μg/dLという安全レベル以内に大多数の人々が収まることを示した.
  • 伊藤 禎彦, 五十嵐 靖浩, 住友 恒
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 33-41
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    琵琶湖の水環境改善を推進することが, そこでのレクリエーション行動の範囲にいかなる影響を及ぼすかを定量的に検討した. まず, 琵琶湖・淀川流域の住民を対象とするアンケート調査をもとに, 琵琶湖の現状の水環境, および水環境改善後における訪問について, その支払い意志額を求めたところ, その平均値はそれぞれ507円, 721円であった. 効用理論から琵琶湖の訪問行動モデルを導き, 誘致圏とその変化を考察したところ, 琵琶湖の水環境改善が与える影響は地理的な面からみても, 人口の面からみても大きいことを示した. 以上の結果から, 琵琶湖の水質改善が人々の行動に与える影響は極めて広域に及ぶ点を指摘した.
  • 尾形 晋治, 佐藤 弘和, 野池 達也
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 43-54
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    紅色非硫黄細菌による混合有機酸廃液からの水素回収プロセスの確立を目的に, 水素生成の基質としてL-乳酸を用いて連続培養を行った. 純菌単独の培養系では16ml/hour/l-reactor の安定した水素生成を示したのに対して, 純菌で培養を開始し滅菌操作を省いた培地を供給した培養系では400hours以降急速に水素生成能が低下し. その原因は緑藻類の発生による阻害と考えられた. また市販の混合光合成培養体を接種源に用いた培養系では. 硫酸塩還元細菌によると思われる硫化水素の生成にあわせて水素の生成は著しく阻害を受けた本研究では観察された現象から水素生成に及ぼす微生物間の競合について基礎的な考察を行ったものである.
  • 尾崎 平, 三浦 浩之, 和田 安彦, 渡邉 雅巳
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 55-65
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    我々は, 都市内の河川環境改善事業として, 下水処理水還流事業, 直接浄化事業, 護岸整備事業を取り上げ, 環境効率指標を用いて検討・評価した. 評価項目は, WTP, 来訪頻度増加量, 環境負荷, コストである. WTP, 来訪頻度増加量はアンケート調査により定量・評価した. アンケートに際しては, 回答者が抱く環境改善事業後のイメージを統一化するために, 事業前と事業後のイメージ写真を並べて提示した. さらに, 各事業のライフサイクルのコスト・環境負荷を算出し, 得られる成果とコスト・環境負荷の関係から環境効率指標を算出した結果, 直接浄化事業が最も評価が高かった.
  • 今岡 務, 林口 昌典, 山家 通宏, 西嶋 渉
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 67-74
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 一般廃棄物最終処分場からの浸出水, 及び各処理段階における処理水を対象に, 浄水処理及び水道水質に及ぼす影響の観点も踏まえて, 臭素, THMFP, 硬度成分等の水質項目を中心に4年間にわたって調査した. 硬度成分であるCa, Mgについては問題のない値まで低下していたが, Na, K, Clについては, 水道水質基準よりかなり高濃度で放流されていた. Brイオンは水道水源中で検出される濃度の2~3オーダー高いレベルで検出され, 酸化処理を行っている浄水場の水道水源に流入する場合には臭素酸生成を促進する危険性が指摘される. 浸出水に関しては臭素系THMFPの生成割合が高く, 降雨量の大きい夏季に濃度が高まる傾向を示し, 放流水中でも平均335μg/l, 最大1,530μg/lの値を示した.
  • 奥野 芳男, 李 玉友, 佐々木 宏, 関 廣二, 上垣内 郁夫
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 75-84
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    生ごみと汚泥の比率を0, 10, 25, 50%で変化させて投入TS濃度12~13%, HRT15日で高温および中温メタン発酵の連続実験を行った. TS分解率は汚泥比率の増加に伴って高温発酵で30~74%, 中温発酵で30~67%減少した. 生ごみ, 汚泥の元素分析結果からし尿汚泥中に微量栄養塩 (Fe, Ni, Co) が含有しており, 汚泥比率25, 50%では, 微量金属の添加無しでメタン発酵が可能であった. 加水分解速度, 酸生成速度およびメタン生成速度は, 汚泥比率の増加とともにいずれも低下していた. 高温発酵と中温発酵を比較すると, 加水分解, 酸生成速度では高温発酵の方が速いが, メタン生成速度では差がほとんどなく, ほぼ同等であった. 高温発酵ではNH4+-N濃度が2,700~2900mg/L, と比較的高く, アンモニアの部分的阻害によるVFA蓄積が見られた.
  • 原 卓也, 吉田 好邦, 松橋 隆治
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 85-97
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    マテリアルフロー分析を道路に適用し, 道路工事の環境負荷分析とわが国全体の道路のマテリアルフロー分析をおこなった. さらにこの2つの分析を融合して, 環境負荷の異なる複数の道路修繕工事の施工割合によってわが国全体の道路のマテリアルフローが決定されるモデルを作成し, 両者の関係を分析した. とくに建設廃棄物のマテリアルバランスに着目して分析をおこなった結果, 道路は建設廃棄物の受け入れ先としては一時的な役割しか果たさず, 道路からの建設廃棄物排出量の方が多くなること, 建設廃棄物排出量の抑制には小規模な修繕工事を多数回施工する方が効果的であることを定量的に明らかにした.
  • 渡辺 幸三, 吉村 千洋, 小川原 享志, 大村 達夫
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 99-110
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    河川底生動物群集の評価は, 群集の定常性を前提とした研究が多いが, 群集の動態 (時間変化) も考慮した研究は少ない. そこで本研究では, 密度依存性と確率変動成分を考慮した数理モデルである群集動態モデルを東京都に分布する底生動物群集 (N=70) のバイオマスの経年変化に適用した. そして, そのモデルパラメータ (K: 環境収容力, r: 比増加速度, s: 変動強度) を推定して動態特性を定量的に把握し, その特性と河川環境や種多様性等との関連性を調べた. その結果, 生息環境の溶存酸素濃度 (DO) が低い群集ほどKの値が低く, sの値が高くなり, 浮遊物質 (SS) が高いほどKの値が低い傾向がわかった. また, 下流に進み河川の規模 (流量, 低水敷幅) が大きくなるほどKの値は小さくなり, 一方sの値が大きくなる傾向も明らかになった.
  • 洪 静蘭, 大瀧 雅寛
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 111-118
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    脱窒菌と共生する光合成細菌を用いて染料を連続脱色処理する際, 光照射リアクター内での藻類の増殖や壁面に付着により, 固液分離用の濾過膜の閉塞, 光透過の低下などの問題が生じてしまう. 本研究では, 内壁を二酸化チタンの薄膜でコーティングした石英リアクターを用いて, 紫外線照射による藻類の付着, 繁殖防止効果によって脱色処理の高効率化を実現した.
  • 大沢 吉範, 大木 宜章, 石田 哲朗, 関根 宏, 保坂 成司
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 119-128
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は廃棄物の再生資源化を目的とし, 上水汚泥を緑化基盤材として用い, 実際ののり面への適応を試みた. のり面緑化基盤材には植物の生育を活発にさせる有機的要因と降雨に対するのり面の安定性が求められている. このため土壌のpH, 硬度, 含水率, 植生ではC/N比, 成長度合, のり面の安定性等の測定・検討を行った. 実験モデルにおいて土壌硬度は植物の生育上支障が無い範囲であり, また降雨によるのり面崩壊も認められなかった. さらに植生は順調に成長し, 被覆率は100%に達し, のり面表層部の安定性に十分寄与した. これらの結果から, 上水汚泥が, のり面緑化基盤材として実用可能であると結論づけられた.
  • 安納 住子
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 129-133
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1998年から2000年までの東京郊外における悪性新生物の環境リスク要因を解明するために, 地理情報システム (GIS) を用いたケースコントロール研究を行った. GISを用いて悪性新生物による死亡と処分場への近接関係を検討し, さらに各臓器のオッズ比およびそのオッズ比に対する95%の信頼区間を算出した. 解析結果では廃棄物埋め立て処分場が悪性新生物による死亡の環境リスク要因であることが示され, 廃棄物埋め立て処分場周辺に住んでいる地元住民は, 悪性新生物による死亡リスクが有意に高くなることが明らかになった.
  • 山崎 慎一, 山口 隆司, 荒木 信夫, 原田 秀樹
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 135-142
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 高速嫌気性反応槽の一つであるUASB反応槽と接触酸化槽を組み合わせた室内実験装置を使用して, 都市下水を想定した低濃度有機性廃水をHRT4.5hで214日間連続処理し, 有機物と窒素の処理特性に及ぼす処理水循環と温度の影響について検討した. その結果, 接触酸化処理水のCODcr濃度は, UASB反応槽6~3℃ (接触酸化槽15~12℃) において平均30mg/l以下 (CODcr除去率平均92%以上) の良好な水質を得た. 窒素除去については, 循環比を2としたUASB槽内温度7℃以上でT-N除去率平均68%を得た. UASB反応槽内では, 循環なしの場合は, 硫酸還元菌がメタン生成菌より優先的にCODcrを利用し, 循環比2の場合は, メタン生成菌, 硫酸還元菌よりも脱窒菌が優先的にCODcrを利用していることが判明した.
  • 細井 由彦, 増田 貴則
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 143-153
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震による断水被害の貴重な経験を記録し今後の水道の地震対策に役立たせることと, 水道による給水の価値を評価する上での定量的情報を得ることを目的とし, 平成13年3月24日に発生した地震で断水被害を受けた芸予諸島の5町において, 応急給水実施時に生活に及んだ影響についてアンケート調査を実施した. 拠点給水が行われた町では, 給水拠点から人力で水を運んだ人の割合と水の運搬距離, 苦痛に感じる人の割合との間には一定の関係が見られた. 時間給水の実施された町では回答のあった中の約1/3が生活に支障がないだけの水を得ることはできなかった. 断水のために1世帯当たり, 家庭内水利用行動に1日に平均約60分 (時間給水の場合)~約80分 (拠点給水の場合) の余分な時間と数千円の出費が必要であった.
  • アーメド K. S. サロワロウッデン, 後藤 惠之輔, 小島 治幸
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 157-165
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論は, 諫早干拓の環境の修復に関する価値について, 九州の諫早市, 長崎市, 北九州市を対象として仮想評価法 (CVM) により評価を行ったものである. 対象とした3市の住民に郵送方式でアンケート用紙を配布し, また, その際の支払い意思額 (WTP) の回答方法として, 一般的に用いられている二肢選択法 (DC) を用いた. その結果, 諫早干拓の環境修復の価値として, 諫早市では市全体で約2億円, 長崎市では約11億円, 北九州市では約27億円の価値を認めていることが分かった. また, 個人 (世帯) の支払い意思額は, 諫早干拓地からの距離が大きくなるにしたがって増加する傾向にあることが分かった. 市内部での支払い意思額のばらつきは, 諫早市で最も大きく, 距離が離れるほど小さくなっていた.
  • WITH A VIEW TO RECOVERING BIOMASS RESOURCES
    Keisuke IWAHORI, Shun'ichi HONDA
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 167-174
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    Cold Circulation Freeze-Drying Equipment of a pilot plant was produced to freeze-dry sewage sludge with a view to recovering cellulose of a biomass resource. The recovery yields of solids and water by the produced equipment were 90.0-96.0% (w/w) and 170-250% (v/v), respectively. The moisture content of the dewatered sewage sludge was about 12%. The cost of the freeze-drying treatment for sewage sludge was estimated to be approximate for present sewage sludge treatment using liquefied natural gas (LNG) waste cold heat. These results also suggested that freeze-drying treatment for sewage sludge did not occur by-products (dioxin, etc.) derived from incineration.
  • 深瀬 哲朗, 奥田 友章, 古崎 康哲, 村上 定瞭, 笠原 伸介, 石川 宗孝
    2003 年 2003 巻 734 号 p. 175-177
    発行日: 2003/05/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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