日本農芸化学会誌
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40 巻, 4 号
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  • 小原 正美, 二宮 恒彦, 池田 真吾, 山口 静子, 吉川 知子
    1966 年 40 巻 4 号 p. 169-172
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    GMPとIMPのMSGに対する相乗効果の倍率について確認実験を行ったところ,従来のわれわれの測定結果と全く変わりなかった.すなわちGMPは無水物としてIMP 7.5水塩の3.0倍, GMPを7水塩, IMPを7.5水塩として2.3倍,両者とも無水物として2.2倍を示した.
    MSGと, MSGとIMPの混合物については,味の質的な相異は無視して強さだけを比較すると,次の関係式があてはまる.実用的な配合量と強さの範囲では, IMPの配合量をt%,濃度をxg/dl,それに相当するMSG単独の濃度をyg/dlとすると,
    y=x+11.3tx2…………………(A)
    で推定される.
    MSGとGMPの混合物については, IMPに対する効果の倍率のみを考慮すれば,同様の結果が成立するであろう.
    ただし(A)式は水をベースとした純粋な系において成り立つことで,さらに複雑な系や実際の食品に添加した場合,その中にMSGやIMP, GMPと特殊な呈味効果を生ずるような物質が含まれている場合には,別個に考えなければならない.
  • 清酒もろみ高泡時の芳香と吟醸香
    菰田 快, 山田 正一
    1966 年 40 巻 4 号 p. 173-177
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 高泡と落泡以後より捕集した香気液の各成分は,相対的に低沸点部は高泡に多く,中高沸点部は落泡以後に多い.このため高泡の香りは吟醸香に似た,かるいはなやかさをもっているといえる.
    (2) 吟醸酒は普通酒に比べて各香気成分をはるかに多量に含有している.特に香気の成分比率は高泡のものに似ている.その理由を考えるに,吟醸は醗酵温度が最高11°などと低く,普通酒は15~16°となるため,前者において,逃散する高泡の芳香の一部が保有される結果と思われる.
    (3) 高泡から捕集した香気液を普通酒に1/500添加したものは吟醸香を発するようになるが,これは成分的にも吟醸酒の組成に極めて近くなることを確認した.
  • 農薬の残留分析に関する研究(第3報)
    金沢 純, 川原 哲城
    1966 年 40 巻 4 号 p. 178-184
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    電子捕獲ガスクロマトグラフィーを,農薬の残留分析に応用する際の基礎的知見をうるために, 5%シリコンDC-11カラム(170°), 2% PEGAカラム(180°)による2種の操作条件における各種の農薬の保持時問,ピーク面積感度,検量線の直線範囲などについて検討した.
    (1) 有機塩素系殺虫剤のカラム充填剤としては,一般的にはシリコンDC-11が適しているが,エンドリンについてはPEGAの方がよかった.ピーク面積感度はカラム充填剤により差異が認められ,シリコンDC-11カラムの方が一般に高かった.検量線の直線範囲は化合物により差があるが,たとえばγ-BHCでは0.02~1ng, p, p´-DDTでは0.5~8ngの範囲で定量が可能であった.
    (2) 有機リン系殺虫剤のカラム充填剤としてはPEGAがよく,各殺虫襯について一様にほぼ左右対称のピークをあたえる.ピーク面積感度は有機塩素系殺虫剤の場合と同様に,カラム充填剤により差異が認められ, PEGAカラムの方が高かった.ピーク颪積感度は,含塩素化合物であるフェンカプトンが最も高く,ついでニトロフェニル基を有するスミチオン,メチルパラチオン,パラチオンが比較的高かった.検量線の直線範囲は,たとえばPEGAカラムにおいて,メチルパラチオン0.4~20ng,マラソン2~100ngであった.
    (3) 有機除草剤は, 2種のカラム充填剤については優劣をつけがたく,ピーク面積感度はシリコンDC-11が高く,相互分離能はPEGAの方が若干よかった. DBN, PCPME, PCNBは,有機塩素系殺虫剤とほぼ同様のレベル0.02~1ngで定量が可能であり,アレスリンも比較的感度が高く, 0.2~10ngの範囲で定量できる.
  • プロテアーゼ活性の検出と酵素の部分精製
    信濃 栄, 島田 洋子, 田村 五郎
    1966 年 40 巻 4 号 p. 185-189
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ハス(Nelumbo nucifera Gaertn)種子中のプロテアーゼ活性の検出を目的として,種子のNaCl抽出液より
    第2表精製の過程
    硫安分画,酸処理,リン酸カルシウムゲル吸着により粗酵素を得て,二,三の性質を調べた.
    (1) 酵反性と素活応時間の関係,および蛋白量と活性との関係を調べた.
    (2) 基質にカゼイン,ハス種子蛋白質を用いた場合の反応最適pHは2.5,ヘモグロビンを用いた場合は3.5であった.
    (3) 熱に比較的弱く, 50°, 10分処理ですでにその活性は原酵素活性の17%に, 30分後には10%に低下した. 60°では10分後に11%, 30分後には8%になった.
    つぎに,さらに酵素の精製方法を検討し,CM-セルロースカラムクロマトグラフィー,セファデックスG-100ゲル瀘過を行ない精製を進めた.その結果,精製倍率278倍(収量27%)の酵素を得たが,まだなお純粋均一酵素蛋白質とは認め難かった.
  • 静置および振盪培養におけるRhizopus chinensisPichia membranaefaciensとの組合わせ
    佐々木 酉二, 高尾 彰一
    1966 年 40 巻 4 号 p. 190-195
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Rhizopus chinensisのフマル酸発酵に,フマラーゼ活性の強い酵母, Pichia membranaefaciensを直接組合わせて培養し,これら2菌種の連関作用によるL-リンゴ酸への連続転換発酵を試みた.その結果,静置培養ではR. chinensis 14日間培養後, P. membranaefaciensを接種,ひきつづき4日間培養すると,酵母接種前Rhizopusによって生成されたフマル酸の80%がリンゴ酸に変わり,最終産物として対始糖36.7%のリンゴ酸が得られた.
    一方,振盪培養(reciprocal shaker)では, Rhizopusの菌糸のペレット形成防止ならびに酸生成に最も効果のあったCarbowax 4000 (polyethylene glycol) 10%添加培地を用いると,静置培養よりも発酵期間は短縮され,かつ酸の収量も著しく高まり,特にR. chinensis 5日培養後P. membranaefaciensを5日間作用させた場合は, Rhizopusによってあらかじめ生成されたフマル酸の95%がリンゴ酸に転換され,対始糖62.5%の著量のリンゴ酸が最終産物として得られた.しかも供試R. chinensisは,この菌のみを振盪培養した場合でも,フマル酸に匹敵するほど多量のリンゴ酸を副生することが見出され,従ってリンゴ酸への転換発酵にとっては極めて好適な菌株であることが認められた.
  • 寺田 和子, 大村 京生
    1966 年 40 巻 4 号 p. 196-200
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 試みたすべての条件下で, DHAからDKGへの加水分解は一次反応式, k=1/t×lnC0/Ctに縦った.
    (2) DHAのDKGへの加水分解速度は, pHおよび温度に依存する. DHAの半減期はpH 2.0~5.5で20°で1,000分以上, 37°で300分以上である. pH 6を越えると,またはpH 2より低くなると,その安定性は急速に減少する. pH 2.4付近でDHAの安定性は最大である.またpH 2.0および2.4では速度恒数kは緩衝液の種類に関係しなかった.
    (3)活性化エネルギーは,pH 2.4では約14, Px4.5で15,pH 6.1で26 CalJmoleであった.この活性化エネルギー値の比較から,pH 2.4とpH 6.1におけ一るDxaの加水分解機構は相異すると考えられる.
    (4) 人参,胡瓜,カリフラワーには, DHAの加水分解を促進する他の因子は,酵素的にも非酵素的にも認められなかった.
    (5) 胃液,ペプシンには, DHAの加水分解を促進する熱に不安定な因子は認められなかったが,熱に安定な因子の存在が認められた.その結果,胃内におけるDHAの半減期は約300分であると考えられる.
  • ascosporeの細胞壁中のβ-fructofuranosidaseがキチンと結合して存在する可能性について
    矢吹 稔
    1966 年 40 巻 4 号 p. 201-208
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Asp. amstelodamiのascosporeの細胞壁標品は10mM, pH 6.0のリン酸緩衝液で洗浄したascosporeの示すインベルターゼ活性の約80%の酵素活性を示した.
    この細胞壁標品をpH 8, 300mMのリン酸緩衝液で抽出すると,結合しているインベルターゼの溶出が起った.
    この細胞壁標品から,できるだけタンパク質を除いたもの,あるいはキチンはascosporeから抽出精製したインベルターゼと低濃度緩衝液中でよく結合する.この結合させたインベルターゼの再抽出の条件と細胞壁自体の保持するインベルターゼの抽出条件はよく一致し,抽出に用いる緩衝液のpHと濃度に大きく影響される.
    またキチンはインベルターゼのみならず,ミルクカゼイン,タカジァスターゼのようなタンパク質ともよく結合することが示された.
    以上のことから, ascosporeのインベルターゼは,細胞壁区分にキチンと結合して存在するのであろうと考察した.
    なお,キチンが酵素の精製にも利用され得ることを示した.
  • Botrytis cinereaのペクチン分解酵素と植物組織の崩壊との関係
    梶 明, 田川 清, 山下 昌之
    1966 年 40 巻 4 号 p. 209-212
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Botrytis cinerea was cultivated in the media containing pectin, peptone, NaNO3, KH2PO4, MgSO4•7H2O and trace of FeCl3. Crude enzyme solution was prepared by salting out and dialysis, and the influence of pH value on the enzymatic action was shown. The optimum pH of endo-PG was found to be 5.4 and 3.6, and peaks of macerating action were found at pH 5.0 and 3.0 for potato disks, at pH 4.5 and 1.5 for barks of Ganpi. The macerating action at pH 4.5_??_5.0 seems to be resulted from the joint action of endo-PG and pectinesterase.
  • 中村 良
    1966 年 40 巻 4 号 p. R13-R18
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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