日本農芸化学会誌
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44 巻, 11 号
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  • DEAE-セルロースによる分画
    紅露 進, 谷村 和八郎, 住江 金之
    1970 年 44 巻 11 号 p. 489-492
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) デーツ乾燥果実の果肉部より温水抽出によって得られた水溶性多糖類のDEAE-セルロースクロマトグラフィーによる分離精製を行なった.
    (2) DEAE-セルロースクロマトグラフィーに対する挙動を検討した結果, pH 5緩衝液より順次アルカリ度を段階的に上げた溶出液0.1M NaHCO3, 0.5M NaH_??_CO3, 0.5N NaOHで溶出することにより,それぞれ単一のピークを得て4つの分画を得た.
    (3) 各々の分画(F-1, F-2, F-3', F-4)を電気泳動にかけたところ単一な像を示し,電気泳動的に単一な物質であると認められる.
    (4) 構成糖およびその比率はF-1~F-3'までは等しく,キシロース:アラビノース:ガラクトースをほぼ1:3:4の割合で含有し, F-4に関してはグルコース:キシロース:アラビノース:ガラクトースを1:1:2:3の割合で含んでいた.
    (5) 還元性末端基1個当りの分子量はF-1は1200~1600, F-2は4400~4800, F-3'は5800~6100, F-4は2800~3100であり,構成糖の比率およびその分子量をもとにして計算したものとほぼ一致した.
    (6) 前報で報告した多糖類の分画はF-3'に近似しているが,詳細は今後検討する必要がある.
  • 酵母によるdーイソクエン酸の生成
    阿部 又三, 田淵 武士, 田中 優行
    1970 年 44 巻 11 号 p. 493-498
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Candida属の酵母に限らず種々の酵母株が,糖質あるいはn-パラフィン類から,単独にかまたはクエン酸とともに,従来微生物によっては多量に蓄積される事実の知られていなかったd-イソクエン酸を培地中に著量に蓄積することを見出した.
  • 酵母によるクエン酸およびdーイソクエン酸の生産に関する吟味
    田中 優行, 田原 康孝, 田淵 武士, 阿部 又三
    1970 年 44 巻 11 号 p. 499-504
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    クエン酸とd-イソクエン酸との簡便な分別定量法を設定した.
    クエン酸とd-イソクエン酸との蓄積量比は,同じ菌株でも,培養条件によって著しく変動したが,一般にクエン酸蓄積量の方が変動した.
    d-イソクエン酸のみを蓄積する菌株として分離されたCandida brumptiiではどのような培養条件のもとでもクエン酸はほとんど生産されなかった.
    供試のCandida lipolyticaでは培地中のチアミン濃度がある程度以上に高いときはクエン酸とd-イソクエン酸が多量に蓄積されたが,その濃度が低いときはこれら両酸はほとんど生産されず,その代りα-ケトグルタル酸と少量のピルビン酸とが生成蓄積された.
  • 豊田 正武, 山内 邦男, 津郷 友吉
    1970 年 44 巻 11 号 p. 505-511
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    牛,人,豚,やぎ,ラマおよびばく乳カゼインについてポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて比較研究し,合わせて初乳と常乳との差およびレンニン作用性についても検討した.尿素の存在しない状態での各カゼインのゲル電気泳動の結果は,人乳カゼインを除き超遠心沈降の結果とよく相関していた.またすべてのカゼインに牛のβ-カゼインと移動度のほぼ等しい成分の存在が認められた.牛,豚およびばくのカゼインは初乳と常乳で性質にやや差が見られ,これらの差は主にα-カゼイン類似成分の性質の違いによるものと考えられた.尿素添加のゲル電気泳動により,人乳カゼインについては牛のαS-カゼインに相当する成分は存在しないようであったが,その他のすべてのカゼインに牛のαS-カゼインおよびβ-カゼインと同じような挙動を示す成分が認められた.ラマおよびばくのカゼインは他のカゼインと比較し,ゲル電気泳動のバンド数が約10程度であり,その微量成分も少ないと思われた.レンニンにより牛,やぎ,豚および人の一部のカゼインが凝固し,他は凝固しなかった.ゲル電気泳動ではレンニソ作用によりほとんどのカゼインにわずかではあるが変化が見られた.
  • 高木 幸太郎, 小島 利治, 渋谷 国豊, 江幡 栄一, 小泉 鶴雄, 岸田 弘
    1970 年 44 巻 11 号 p. 512-518
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Bla-Sがそのままの形で残留しているものを定量することを目的とし,抽出,精製を通してBla-Sが分解しない条件を設定した.
    (2) Bla-Sの定量はBla-Sに選択的に感受性を有する被検菌Cladosporium fulvumを用いる生物検定法によった.
    (3) 玄米粉よりの抽出に当っては, Bla-Sが窒素を含みかつ水溶性であることに着目して,窒素量を測ることにより水による抽出条件を選んだ.
    (4) 抽出率は3倍量の水を用いpH 4.5, 50°Cとし,α-amylase (Kleistase M-16)を1%添加して2回抽出する方法が最も効果的であった.
    (5) 精製にはイオン交換樹脂を用い,溶存するBla-Sがごく微量であることから,低架橋度で交換速度が速く親和性が強いDowex 50W X-2の100~200 meshのものを選んだ.
    (6) 抽出液のpHを2.0に下げ,樹脂の交換容量と抽出液の陽イオン量から,樹脂容積の20倍量を通液した.
    (7) 樹脂に吸着したBla-Sは2N以下の塩酸ではほとんど溶出されないので塩酸洗浄によって吸着性の弱い夾雑物だけを除去することができた.
    (8) 溶出剤としてのアンモニア水溶液は,その濃度が高くなるにつれて溶出率が低下するので,濃縮時間および安定性を考慮して0.1Nとした.
    (9) モデル試験によると,本方法の回収率は60~80%で,検出限度は0.05ppmであった.
    (10) 日本各地の玄米数点を分析した結果はすべて阻止円を示さず,検出限度以下であった.
  • 麦角菌の菌体からagroclavineおよびelymoclavineに対して変換作用を示すセルフリー糸の調製
    大橋 力, 阿部 又三
    1970 年 44 巻 11 号 p. 519-526
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    麦角菌菌体からクラビン型麦角アルカロイドagroclavineおよびelymoclavineに対して変換作用を示すセルフリー系を調製することに成功し,かつそのような活性セルフリー系によって両アルカロイドを他のアルカロイドに変換させる際の反応条件を設定した.
  • 代表的な麦角アルカロイド間の生成上の関係について
    大橋 力, 青木 俊三, 阿部 又三
    1970 年 44 巻 11 号 p. 527-531
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Agroclavine, elymoclavineなどとペプタイド型麦角アルカロイド類との間の生成上の関係について従来推定されているところを,セルフリー系のもと, “isotopic competition”の手法によって全面的に確認した.
  • アレスリン,フタルスリンおよび各種第1菊酸エステルの熱分解ガスクロマトグラフィー
    京極 和旭, 井口 辰興, 山口 洋, 村山 普
    1970 年 44 巻 11 号 p. 532-537
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    熱分解管法と試料注入室高温法にて, 250°Cから550°Cまでの熱分解GLCを行なった. N2キャリャーガス中で分解し,ただちにカラムに運び,パイログラムをえがいた.試料注入室高温法でアレスリンと試料を交互に注入したところ,アレスリンはフタルスリンをはじめとする10種の第1菊酸エステルに対し, 400°C以上から不安定になり,その理由にアレスロロン部の不安定なことがあげられた.試料注入室高温法のGLC分取から,アレスリンとフタルスリンとから,ともに第1菊酸が見出された.
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