無蛋白食飼育時の筋肉RNAの代謝回転の変化を明らかにするため,無蛋白食飼育時の成熟白ねずみに正リン酸態
32Pを腹腔内注射し,筋肉の無機リン酸,酸溶性ヌクレオチド,およびRNAの比放射能を経時的に測定した.
筋肉のRNA,および酸溶挫ヌクレオチドへの
32P取込みはきわめて遅く,これらの比放射能が最大値に達したのは,正常飼育時では
32P注射後RNA 15日,酸溶性ヌクレオチド11.5日であり,無蛋白食飼育時では,それぞれ20日, 15日であった.比放射能の減衰部分より常法により求めた代謝半減期は,正常飼育時ではRNA 46日,酸溶性ヌクレオチド29日,無蛋白食飼育時では,それぞれ82日, 46日であった. RNAと無機リンとの間に前駆体関係が認められたので, RNAの最火値に達した時間から, RNAの代謝回転速度定数を求め,それより代謝半減期を計算した結果,正常飼育時12日,無蛋白食飼育時16日であった.いずれの計算方法にしても,筋肉RNAの代謝回転は,無蛋白食飼育時には正常飼育時より遅くなっていると推測される.
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