日本農芸化学会誌
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60 巻, 3 号
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  • 玉城 武, 松下 和弘, 樋岡 克哉, 高宮 義治
    1986 年 60 巻 3 号 p. 191-197
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
    泡盛をカメあるいは密閉容器のいずれで熟成させても,その味および香りは向上し,また水の17O-NMRシグナルの線幅は減少することが認められた.線幅が減少することは,分子運動の自由度が増加することを意味し,このことから熟成過程は水の水素結合が切断され,クラスターが小さくなっていく過程と考えられる.その熟成過程で変化するのは,水分子のOH墓であって,エタノールのOH基は変化しないことが確認された.
    また,観測周波数の高い270.16MHz 1H-NMRで観測した結果,新酒では水のOH基とエタノールのOH基は分離して観測されるが,古酒ではOH基同士の交換速度が速くなり,1本になってしまう.この結果より,プロトンが水素結合から解放されて運動が自由になっていることが示唆される.このことは,古酒になると分子運動の自由度が増加し,水素の交換速度が速くなるという17O-NMRによる結果を裏づけるものである.Laser Ramanスペクトルを測定した結果でも,新酒と古酒のOHの伸縮振動にわずかな差が認められ,新酒と古酒では水素結合の状態が異なる部分があることが示唆された.
  • 加藤 丈雄, 水越 大八, 志賀 一三, 佐藤 泰
    1986 年 60 巻 3 号 p. 199-205
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
    乳酸菌の抗菌力を補うために,グルコースオキシダーゼを添加して,Staphylococcus aureusの生育阻害度,ソーセージエマルジョンの性質に対する影響について検討した.
    (1) S. aureusの接種量が104cells/g以下であれば,乳酸菌スターターの107 cells/g接種により十分に生育阻害できた.しかし,105cells/g以上の場合には,乳酸菌を108cells/g接種しても不十分であった.
    (2) グルコースオキシダーゼは4.4 unit/g以下であれば,乳酸菌の生育に影響せず,S. aureusに対しては99%以上の強い生育阻害効果を示した.
    (3) 多量のグルコースオキシダーゼの添加は,ソーセージエマルジョンの色や保水性に影響した.とくに,色,a値は8.8 unit/gの添加で対照の58%以下に減少した.
    (4) S. aureusの生育阻害とソーセージの性質への影響を考慮すると,ソーセージの発酵条件は,乳酸菌スタータ-,Lactobacillus plantarum-4(ST),Pediococ-cus cerevisiae-1:107cells/g接種,グルコースオキシダーゼ:2.2 unit/g 添加が適当である.
  • 今安 聰, 川戸 章嗣, 大石 薫, 杉並 孝二
    1986 年 60 巻 3 号 p. 207-212
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
    (1) 粉砕白米を掛米として仕込んだ場合,従来の粒状白米の仕込配合では,醗酵が遅れた.
    (2) 醗酵が遅れる原因は醪初期の粘性が高くなるために溶存酸素が少ないので酵母の増殖が悪くなるためであった.
    (3) 膠の初期の溶存酸素を増加させる手段として,汲水歩合を対照に比較して約一割増加し,さらに初添時の汲水量を対照の約3倍にする方法が有効であった.
    (4) 本仕込方法では酒化率が高く,しかも従来の清酒と比較して有意差のない品質のものが得られた.
  • 今安 聰, 打越 文雄, 斉藤 義幸, 山下 正朋, 杉並 孝二
    1986 年 60 巻 3 号 p. 213-218
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
    (1) 粉砕白米を用いて行う製麹では,引き込み時の水分を粒状の場合より少し高目の35~36%ぐらいにする必要がある.
    (2) 粉砕白米で作った麹は酵素力価が高くなり,麹歩合をその分だけ少なくすることができる.
    (3) 生の白米の場合でも粒状麹に比較して粉砕状麹のほうが菌体量ならびに各酵素力価ともに高い数値を示した.
    (4) 粉砕白米を用いて行う製麹では,麹の菌体量,各酵素活性の米の品種間における差がなくなるので,硬い米でも良質の麹が作りえた.
    (5) 粉砕状麹は粒状麹に比較して膠中でよく溶けた.
    (6) 麹を粉砕白米で作ることにより,粕歩合が約4%低くなり,さらに掛米,麹とも粉砕状にし,膠初期の汲水歩合等を勘案して醗酵させれば,粕歩合が約10%低くなって酒化率も43l/t前後向上するということがわかった.
  • 岩井 和夫
    1986 年 60 巻 3 号 p. 219-226
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
  • 宇都宮高農をたずねて
    斎藤 義男, 西 宏, 竹松 哲夫, 五月 女伸一, 駒形 和男
    1986 年 60 巻 3 号 p. 253-258
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/02/18
    ジャーナル フリー
    高農めぐりも5回目,しかも今回は東北新幹線のおかげで目帰り取材のできる宇都宮とあって何となくマンネリ化するのてぜはないかと思っていました.しかしその危惧は見事にはずれました.宇都宮高農第一回生で,その後母校で教えられ,新制大学となってからは農学部長の要職を永年勤められたという,いわば高農・農学部の生きた歴史,斎藤先生にご出席いただけたことが何よりの活性化でした.いつしか対談から感じ取っていただければ幸いです.舞台裹で話題の進行にご協力下さった西,五月女両先生にも心から御礼申し上げます.
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