本報告は, 事象関連脳電位(ERP)を用いた筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者のためのコミュニケーションエイドの開発について述べている.ERPは, 単語を弁別している時に観測される.ここでは, 視覚刺激として25の単語を5×5のマトリクスに配置し, 行と列をランダムに提示する.表示時間は300ms, 提示周期は500msである, 被験者は伝えたい単語に意識を集中するために, その単語(目標刺激)の出現回数をカウントしていく.このとき選んだ単語を含む行または列が提示されたとき, ERPのP300成分が誘発される.観測されたERP波形を, フィルター処理し, アペレージングすることによって, 目標刺激に対するP300成分の有無を識別することができる.このP300成分の有無によって, 何ら肉体的動作がなくても被験者の意図している項目を判別でき, コミュニケーションエイドのためのヒューマンインターフェースとして利用できる.
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