我々は,シングルアパーチャ光学系では実現困難な1を大きく下回るF値をもつ超高感度カメラを,マルチアパーチャ光学系により仮想的に実現することを目指している.本研究では,フォトンカウンティング領域の超低ノイズCMOSイメージセンサ適用のための基礎検討を行った.CMOSイメージセンサは画素毎にアンプをもつため,ノイズレベルが画素毎に異なる.また,random telegraph signal (RTS)ノイズと呼ばれる大きなノイズが一定数の画素に生じる.実測したイメージセンサの読み出しノイズデータを用い,3×3アパーチャから成るカメラシステムのノイズ性能を,シミュレーションにより検討した.RTSノイズを生じるある画素の実効ノイズは,元画像では6.47e-RMSであり,単純平均処理後0.80e-RMSとなった.それに対し,我々が提案している合成センサノイズを最小化する選択的平均法では,0.18e-RMSとノイズが低減されるとともに,RTSノイズが除去されることを確認した.