遷移金属の磁性は,結晶構造と密接に関連する.我々は,超薄膜のエピタクシアル成長を利用した非平衡結晶相の創出と,その磁性について検討している.本研究では,非平衡結晶であるbcc Coの形成が期待される,SrTiO_3(001)基板上にCo薄膜を作製し,その構造と磁性,それらの相関について検討した.Co薄膜の表面には,SrTiO_3(001)基板のステップ方向と平行なステップに加えて,SrTiO_3[100]方向から約25°の角度をなすステップが観察された.また,Co薄膜は,この新しいステップ方向を磁化容易軸方向とする一軸磁気異方性を有することがわかった.表面構造,磁気特性およびSrTiO_3(001)とのエピタクシアル方位関係について考察した結果,Coは,本研究での作製条件では,hcp(112^^-0)で成長していると考えられる.
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