ITによる情報化社会の進展は私たちの生活環境に大きな影響を与え,生活者すべてに情報リテラシが要求されてきている.このような状況を鑑み,本年度から学校教育において情報教育が順次始まっている.一方,若者層を中心とした新しいコミュニケーション形態による人間関係の軽薄化,ヴァーチャルとリアルを区別できない子どもの増加など,病理学的側面の浮上が社会問題となっている.これらに対応するには,ツール利用型指向の情報教育に終始するのではなく,青少年が情報社会を主体的に生きていくために必要な情報モラルに関する教育手法が重要である.本研究では,発達段階における情報メディアの利用実態を調査し,学年の進行に伴い情報メディアツールを積極的に利用し,情報モラルが欠如していく傾向が,学年段階の早い時期から強くなることを明らかにしている.これらの結果より,情報モラル教育を小学生段階から積み上げていく必要性を示唆し,知識教育ではない「感性」教育の果たす役割について述べている.
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