VoIPはベストエフォート型のパケット通信を用いているため,パケットの損失などのエラーが音質劣化の要因となる.我々は,こうしたVoIPの音質劣化改善について検討している.本研究では,エラー隠蔽の一手法であるPWR (Pitch Waveform Replication)法について考察した.従来法は,過去に受信された音声データのみを用いて音声データの補間を行っているが,提案法は,未来に受信される音声データも用いることで,発話の開始や終了部分におけるエコー感といったアーティファクトの低減を図っている.このように未来に受信される音声データを利用することから,提案法では,ピッチ抽出にかかる遅延をできるだけ少なくするために,テンプレートマッチングによるピッチ抽出について検討した.また,客観的および主観的評価実験を行ったところ,提案法の有効性が示唆される結果が得られた.
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