コグニティブ無線のモデルの一つに,プライマリシステムが,セカンダリシステムに周波数の一部を貸与し,協調通信を要求するスペクトルリーシングがある.[1]では,スペクトルリーシングにおいて,プライマリ安全通信のためのビームフォーミングを用いた協調通信が提案された.しかし,[1]のビームフォーミングでは,セカンダリからプライマリへ干渉を与えてしまう場合がある.本稿では,セカンダリが,プライマリに干渉を与えない直交ビームフォーミングを用いて,協調通信を行うモデルを検討する.計算機シミュレーションにより,プライマリ秘密保持容量,プライマリ秘密保持容量アウテージ確率,セカンダリスループット,プライマリスループット特性を評価する.その結果,スペクトルリーシングにおいて,プライマリ安全通信のためのセカンダリ直交送信ビームフォーミングを用いた協調通信は,プライマリ・セカンダリ双方に有効であることを示す.
抄録全体を表示