立体画像観視時の疲労の問題を検討するため, 1時間のハイビジョン観視による融像性輻輳限界とそのヒステリシスの変化について, 被験者12人で検討した.その結果, 以下が示された.(1)裸眼立体視の可能な被験者はそうでない被験者より融像限界点, 融像開始点が大きく, 裸眼立体視の可否による差異が認められる.(2)立体画像観視後に輻輳側の融像限界点, 融像開始点, ヒステリシス幅の減少が見られ, 休憩後に, ほぼ観視前の状態に回復する.これは, 立体画像観視による疲労を反映している.(3)ヒステリシス幅の融像性輻輳限界に対する割合は平均値でほぼ一定である.これは, 立体画像観視に伴う筋肉制御系を含めた系の順応または疲労を示唆する.
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