我々は, 画像中の人物や物体の動きを追跡する手法を研究している.画像中の物体の動きを追跡するためには, 画面を対象物体とそれ以外の物体とに分割することが重要である.追跡には, 同じような色, 形の物体が近づいたり重なったりするシーンでも物体を分別でき, かつ形状が逐一変形する物体でも追跡できることが必要である.同色, 同形状の物体を認識するには, 複数の画像解析アルゴリズムを組み合わせ, 互いの解析の長所を生かすアーキテクチャが必要である.また, 人物などの姿勢・形状の変化に対応するため, 自律的に解析に必要な情報を更新させる必要がある.本論文では, 自律分散アーキテクチャを使用し, 複数の解析アルゴリズムを並列に組み合わせ, 結論を統合し, さらに自律的にモデルを更新するシステムを提案する.このため, モデルと実画像の相関を確率式として表現し, 確率式の統合により結論を導き出す.さらに, この確率統合により, モデルの更新操作を行うか否かの判断を行うようにした.背景が同一な環境下と実際のサッカー中継シーンでの人物の追跡を行い良好な結果を得られたことを報告する.
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