NHKでは,次世代地上放送で,固定受信向けにスーパーハイビジョン,移動受信向けにハイビジョン並のコンテンツを伝送する方式について研究開発を進めており,これらを実現する手法の一つとして水平・垂直偏波を用いたMIMO-OFDM伝送方式を検討している.しかし,MIMO-OFDM伝送方式においては,水平偏波と垂直偏波の受信レベル差が小さく,反射波のないAWGN環境のような伝送路特性の相関が高い場合,受信特性が劣化してしまう.そのため筆者らは偏波間のキャリアシンボルに位相回転処理を施した拡散MIMO-OFDM伝送方式について検討を行ってきた.しかし,偏波間の伝送路において特定の位相差が生じた場合に受信特性が劣化するという課題があった.そこで,拡散MIMO-OFDM伝送方式に位相ホッピングを適用した手法を検討し,計算機シミュレーションにより受信特性を評価した.その結果,位相ホッピングを適用することで,位相差による所要C/Nの差が0.8dB以内となり,あらゆる位相差において安定した受信特性が得られることを確認したので報告する.
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