本稿では,与えられた光線空間から,積層型ディスプレイでの表示に適した画像群を生成する新しい方法を提案する.積層型ディスプレイとは,複数の液晶パネルと光源から構成される裸眼立体視ディスプレイのことで,互いに重なり合う複数の画像を使って光線空間を表示する.光線空間からこのような画像群を生成するには,計算量の大きな最適化問題を解くことが必要であり,多くの場合,GPUなどの支援がない限り実時間での処理は困難であるとされている.本稿では,光線空間の形状と液晶パネルの光学的性質の双方に若干の制約を加えることにより,最適化問題が大幅に簡素化されることを示す.また,この簡素化された問題を解いた場合でも,従来手法と遜色のない画像群が得られることを,実験データに基づいて示す.さらに,こうした画像生成が,汎用的なCPU上でも実時間に近い速度で実行できることを示す.
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