目的:胃癌に対する腹腔鏡下胃切除症例におけるドレーン留置の有無が,術後合併症,術後在院日数に影響を与えうるかを検討した.
対象と方法:対象は1999年9月から2013年11月までに当科で施行した腹腔鏡下胃切除(腹腔鏡補助下幽門側胃切除,腹腔鏡補助下幽門保存胃切除,腹腔鏡下幽門側胃切除,腹腔鏡下幽門保存胃切除)266例をドレーン留置群(以下,D群と略記)102例,ドレーン非留置群(以下,ND群と略記)164例に分類し,術後合併症と術後在院日数について後方視的に検討した.
結果:術後合併症の発生率はD群では13.7%であったの対し,ND群で12.2%であり両群間に有意差を認めなかった(
P=0.7162).術後在院日数は,D群で15.4日であったのに対し,ND群で13.5日でありD群で有意に長かった(
P=0.014).合併症を発生した症例では両群間で術後在院日数に有意差を認めなかったが,合併症を発生しなかった症例ではドレーン留置群で有意に術後在院日数が長かった(
P=0.0036).
結語:腹腔鏡下胃切除術において,画一的なドレーン留置による術後合併症軽減への影響は依然議論の残るところではあるが,ドレーン留置は術後在院日数の延長に影響を及ぼす可能性があることが示唆された.
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