植物の耐陰性を物質生産の面から解析するため, ポット植えのヤエナリを, それぞれ100, 75, 50, 30, 20%の自然光下におき, その生長におよぼす光の強さの影響をしらべた.
1. 光不足による個体重生長の低下は, 20%•30%光下でいちじるしかった. 75%光下のヤエナリの生長は, 全光下とほとんど差がなかった.
2. 葉重生長は, 個体重と同様に, 光の低下とともに減少したが, 葉面積生長の最大は, 全光下よりもむしろ50%光のもとでみられた. 30%•20%光のもとでは, 葉重•葉面積の生長低下がいちじるしかった.
3. 相対生長率 (RGR) は, 実験初期(8月13日~20日) には, 光の減少に伴なって低下したが, 実験後期 (8月27日~9月3日)には, 全光下よりも, 75, 50, 30%光下のほうが高かった.
4. 純同化率 (NAR) は光が弱いほど小さくなる傾向を示した (実験初期には全光下で 6.17mg./cm.
2/week, 20%光下で2.09mg./cm.
2/week). 生育が進むにつれて純同化率は全般に低下し, 実験区間の差も小さくなった.
5. 葉面積比 (LAR) は, 光が弱いほど大ぎくなる傾向がいちじるしかった. 葉重/全重量の比は暗い条件下ではやや小さいが, 葉面積/葉重の比は, 逆に, いちじるしく大きくなる. このため, 両比の積である葉面積比は暗い条件下で大きくなることが明らかにされた.
6. ヤエナリの個体重, 葉重, 葉面積生長に対する栄養塩類供給の促進的な影響は, 明るい条件下では若干みられたが, 20%光下ではほとんどみられなかった. 葉重/全重量の比, 葉面積/葉重の比に対する栄養塩類供給の影響は認められなかった.
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