植物学雑誌
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74 巻, 879 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 培地中におけるアンモニウムイオンと硝酸イオンの被子器の直径に対する影響
    伊藤 太郎
    1961 年 74 巻 879 号 p. 379-385
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    本報は Neurospora crassa の被子器生長におよぼす二種の窒素源イオン, アンモニウムならびに硝酸イオンの影響に関する研究報告である.
    被子器生長はアンモニウム最小培地 (酒石酸アンモニウム0.5×10-3-0.5×10-2M. 硝酸加里 10-2M.)で, とくにNH4+とNO3-の濃度比が10:10, 5:10, 3:10 および 0:10の場合に良好である. この添加窒素源の特定量添加のさいにみられる生長作用は, NH4+とNO3-の特定濃度比を有する合成培地中でA(+)系およびa(-)系が, それぞれその反対性型系, すなわち, a(-)系およびA(+)系菌糸に原被子器 protoperithecia 形成を誘起し, さらにその生長を助長する性ホルモン様物質を生成するためであることが明らかとなった. NH4+は比較的低濃度で成育初期に, NO3-は比較的広い濃度範囲で成育後期に有効に利用されると思われる.
  • 1. 種々の強さの光のもとでのヤエナリの生長
    岩城 英夫, 門司 正三, 野本 宣夫
    1961 年 74 巻 879 号 p. 386-394
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    植物の耐陰性を物質生産の面から解析するため, ポット植えのヤエナリを, それぞれ100, 75, 50, 30, 20%の自然光下におき, その生長におよぼす光の強さの影響をしらべた.
    1. 光不足による個体重生長の低下は, 20%•30%光下でいちじるしかった. 75%光下のヤエナリの生長は, 全光下とほとんど差がなかった.
    2. 葉重生長は, 個体重と同様に, 光の低下とともに減少したが, 葉面積生長の最大は, 全光下よりもむしろ50%光のもとでみられた. 30%•20%光のもとでは, 葉重•葉面積の生長低下がいちじるしかった.
    3. 相対生長率 (RGR) は, 実験初期(8月13日~20日) には, 光の減少に伴なって低下したが, 実験後期 (8月27日~9月3日)には, 全光下よりも, 75, 50, 30%光下のほうが高かった.
    4. 純同化率 (NAR) は光が弱いほど小さくなる傾向を示した (実験初期には全光下で 6.17mg./cm.2/week, 20%光下で2.09mg./cm.2/week). 生育が進むにつれて純同化率は全般に低下し, 実験区間の差も小さくなった.
    5. 葉面積比 (LAR) は, 光が弱いほど大ぎくなる傾向がいちじるしかった. 葉重/全重量の比は暗い条件下ではやや小さいが, 葉面積/葉重の比は, 逆に, いちじるしく大きくなる. このため, 両比の積である葉面積比は暗い条件下で大きくなることが明らかにされた.
    6. ヤエナリの個体重, 葉重, 葉面積生長に対する栄養塩類供給の促進的な影響は, 明るい条件下では若干みられたが, 20%光下ではほとんどみられなかった. 葉重/全重量の比, 葉面積/葉重の比に対する栄養塩類供給の影響は認められなかった.
  • 栗田 子郎
    1961 年 74 巻 879 号 p. 395-401
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    日本産シダ類10種の染色体数を報告する. 観察の結果, イブキシダはn=36, イヌガンソクはn=40,キヨスミヒメワラビ•イワデンダ•ミヤマクマワラビ•タニヘゴの4種はn=41,ミドリヒメワラビはn=61-62, ベニシダ•マルバベニシダ•ミサキカグマの3種はn=123であることが判明した. また, 胞子母細胞および胞子の数の算定より, ベニシダ•マルバベニシダ•ミサキカグマの3種はアポガミーをおこなうものと推測された. とくに, 筆者の観察したベニシダでは根端細胞においても約123の染色体がみられたので, この種がアポガマス (apogamous) なものであることはまちがいないと考える.本論文中の学名は大井著, 日本植物誌•シダ編のものである.
  • 塙 順
    1961 年 74 巻 879 号 p. 402-413
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. ゴマの胚の生長点を, 対生する第1葉原基を通る面で二分すると, 第1葉原基はしばしば双生葉となる. 手術の時期をいろいろに変えてみると, 双生葉は, 手術が休眠状態の胚の生長点になされたときに形成されるが, 胚が発芽活動にはいると, まだ生長は起こらなくても双生葉形成率は急に減り, 細胞分裂が始まるころにはほとんどそれは形成されなくなることが知られた.
    2. 休眠胚の生長点の手術ののちには, 再生した生長点の, 傷をうけた側にあらたに表皮が生じた. 24時間胚の生長点ではこのことは起こらない. 新しい表皮は tunica が下方に向かって引き伸ばされることによって形成される. したがって, この場合には生長点に強い歪曲が起こったことになる. 生長点の内部構造にも強い乱れが起こっているであろう.
    3. 双生葉形成過程は, 手術による生長点の構造および機能の乱れ, ならびにその後の再編成ということから説明された.
  • 藤伊 正, 石川 茂雄
    1961 年 74 巻 879 号 p. 414-418
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    従来, 典型的な光発芽種子として知られていたオオマツヨイグサの種子は, その発芽過程において光照射直後の反応に狭温性を示し, 6時間の光照射後23~30°の温度におかれた場合には高い, 発芽率を示すにもかかわらず, 低温 (15°) あるいは高温 (35°) におかれた場合には, その発芽率はいちじるしく抑制されることが観察された.
    このことは, この種子の発芽における “適温” が光照射後の過程に対する適温であることを暗示している.
    この報告では高温におかれた場合の抑制についてのみ取り扱ったが, 著者がさきに報告したスカシタゴボウの種子の発芽や花芽形成における長日植物に見られる光中断と同様に光照射後の35°の暗期に赤い光を短時間照射することによって, この高温の抑制効果のとりのぞかれることが見いだされた.この種子の発芽における “暗期” の抑制的効果は, 実は光照射後の反応に対する “高温” の抑制的効果に基づくものであることを暗示した.
  • 広本 一由
    1961 年 74 巻 879 号 p. 419-423
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1) ホンシメジの発生林地9カ所を調査した結果, 発生地が異なると形態がいちじるしく異なる場合があるので, これらをホンシメジA, B, CおよびDの4型に区別した. このうちA, CおよびDはそれぞれTricholoma aggregatum, Agaricus amplus および A. decastes として, すでに与えられた学名が示すものと同一物のようである.
    2) これら4型はいずれも4極性である.
    3) AをB, CおよびDのそれぞれと交配した結果は, すべての組み合わせにおいて癒合がおこる.したがって, これら4型は同一種とみなすのが妥当である.
    4) シャカシメジも4極性である. そして地方的な形態変化はほとんどみられない.
    5) ホンシメジAとシャカシメジとの間では, すべての組み合わせにおいて癒合がみられない. したがって, 両者は分類学上別種とみなすのが妥当である.
    種々ご助言, ご教示をいただいた京大助教授浜田稔博士に深く感謝する. なお, 貴重な文献の調査に関し山口大教授御江久夫博士から多大のご援助をいただいた. ここに衷心拝謝する.
  • 村上 浩
    1961 年 74 巻 879 号 p. 424-425
    発行日: 1961年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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