植物学雑誌
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78 巻, 920 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • III. カルスと上胚軸とにおけるグルコース代謝経路の比較
    諸橋 征雄, 駒嶺 穆, 佐藤 満彦, 下郡山 正巳
    1965 年 78 巻 920 号 p. 43-49
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ハッショウマメの上胚軸とその切断面に生ずるカルスとにおけるグルコース代謝経路の比較をおこない,次のような結果が得られた.
    1. カルスにおいては, グルコースからのCO2放出に対するマロン酸阻害は, 上胚軸の各部分にみられるそれに比して低い.
    2. 上胚軸においては, 各部分にみられるマロン酸阻害度は, 先端部から基部にむかって, 減少する.
    3. カルスにおけるC6/C1 ratio は, 上胚軸の各部分におけるそれより, 小さな値を示す.
    4. 上胚軸では, 先端部から基部にむかって, すなわち, 分化と aging がすすむにつれて, C6/C1 ratioは小さくなる傾向にあるとみなされる. しかし, カルスでは, 若いカルスのほうが, むしろ小さな値を示している.
    5. Part Iでは, グルコースのC-6からのCO2放出は, C-1からのCO2放出と同様, マロン酸によって強く阻害されるが, カルスではマロン酸阻害はいちじるしくない.
    6. Part I とカルスとを比較すると, グルコース-U-C14からのC14O2放出量は, カルスのほうが多いが, クエン酸-1, 5-C14からのC14O2放出量は, 逆に part I のほうが多い.
    7. これらの事実は, カルスのグルコースの分解経路については, PP系が主要な経路であり, 上胚軸,ことに part I では, EMP-TCA 系が, 大きな比重をしめていることを示唆する.
  • 田中 隆荘
    1965 年 78 巻 920 号 p. 50-62
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Spiranthes sinensis (2n=30), ネジバナは根端の分裂組織細胞核の中間期において多数の異常凝縮染色質を有し, 染色体の長腕の動原体側に大きな異質染色質部を有する. 根端を2μc/ml H3-thymidine にて短時間処理の (1/2hr.), オートラジオグラフィーを行なった結果次のことが判明した. 中間期の核は主として染色質の形態によって小凝縮核, 拡散状核, 部分的凝縮核, 真性凝縮核, 巨大凝縮核の5型に大別される. DNA複製は拡散状核, 部分的凝縮核および真性凝縮核の拡散状の染色質のみにおいて起こり, 凝縮状染色質には起こらない. 凝縮状染色質のDNA複製はDNA複製期 (S期) の初期の拡散状態のときに行なわれる. DNA複製は染色体の長腕の動原体側の異質染色質部から始まり, 長腕の末端部の真性染色質部および短腕の真性染色質部において終わる. 異質染色質部にはDNA複製の始点が数ヵ所存在する. 分裂環の各期の最短経過時間は大体において次のとおりである. G1期4hrs., S期9hrs., G2期6hrs., M期3hrs., 1分裂環22hrs. その他, M期の前期, 中期, 後期の経過時間, 小凝縮核はG1期, 巨大凝縮核は2期であること, 異質染色質および真性染色質におけるDNA複製の経過時間がそれぞれ約6hrs., 5hrs.であること, および中間期核の異常凝縮染色質とM期の染色体の異質染色質との同一性などが論じられた.
  • 野口 彰
    1965 年 78 巻 920 号 p. 63-67
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Mitten が命名した Calyptothecium hookeri は, 原標本についてみると, 2種を含む混合種のように思われる. 標本のうち, 胞子体をつけたものは Hooker と Thomson の採集品である No. 811/2 のみであり, Mitten は胞子体の記載をも与えているので, 筆者はこの番号のものを C. hookeri のlectotypeに指定したい. そうすると, C. sikkimense や日本にも産する C. cuspidatum はそのシノニムになる. No.797 のみは他と違った taxon のもので, これは C. pinnatum に当る.台湾産の C. formosanumC. wightii と同種であり, またC. wightii と同種と考えられてきたC. hamatum は原標本を比較してみると, それぞれ別の種と考えられる. 次に, C. japonicumC.urvilleanum の名でよばれるのがよい.Calyptothecium 属は Pterobryopsis 属によく似ていて, しばしばその区別は困難で, 今まで論議のもとになっている. 筆者は, Calyptothecicm 属は Pterobryopsis 属からは, 葉の基部両隅に耳状のくぼみのあること, 前さく歯のあること, 歯突起の発達のよいこと, 帽に毛のあることなどを考慮して区別されるものと思う. なお, Calyptothecium 属は従来ヒラゴケ科に分類されていたが, むしろ, ヒムロゴケ科に入れるのがよいと思う.
  • 増淵 法之
    1965 年 78 巻 920 号 p. 68-73
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    T. vulgare に属するMR1系統は長分枝, 短分枝および超短分枝に区別される分枝穂を有した. これら分枝穂は重複小穂型から生じたものである.
    これら分枝穂の形成過程の形態学的な観察によって, いずれの型も小花が小穂に転化した結果生じたものであることが明らかになった. その転化の原因は花芽の原基の形成過程における過剰形成による.分枝穂の各型間には外観的に著しい差がみられるが, それらの間の差はどの小花が小穂に転化したかの差による. また重複小穂は第一小花だけが小穂に転化したものであり, その原因は同じく原基の過剰形成である.
  • 山岸 高旺
    1965 年 78 巻 920 号 p. 74-77
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    日本産のムウゲオチエラ属の3種について報告した. Mougeotiella drouetii (Transeau) Yamagishi と M. tunicata (O. et W. Bock) Yamagishi の2種は日本新産である.
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