暗所で発芽させたソラマメの上胚軸は, 切断しても, ハッショウマメのようにカルスを生じないが, 切断面に IAA を与えると, 切断部の細胞の増殖がおこり, 数日後には, 切断部が肥厚してくる. IAA 処理後の切断部にみられる呼吸系の変動をしらべ, 次のような結果を得た.
1. 呼吸活性 (酸素吸収) は切断後1日で顕著に増大し, IAA 処理したものと未処理のもの (コントロール) とでは差はみとめられなかったが, その後に差がでてきて, IAA 処理のものの呼吸活性はコントロールより比較的高いレベルに保たれた.
2. 呼吸商は, IAA 処理によって変動を示さず, ほぼ1であった.
3. 呼吸に対するマロン酸阻害率は, 切断後1日~2日で急激に減少し, この変動のようすは, IAA 処理によっても変わらなかった.
4. C
6/C
1 の比もやはり切断後1日で大きく減少するが, IAA 処理のものと, 未処理のものとでは, その程度にほとんど差はなかった.
5. これらの事実から, ソラマメの上胚軸を切断すると, 切断部では, 切断面に IAA を与えた場合も与えない場合も, 短時間のうちにペントースリン酸径路の活性が顕著に増加することがわかった.
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