植物学雑誌
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81 巻, 963 号
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  • 屋良 和子, 宇佐美 正一郎
    1968 年 81 巻 963 号 p. 425-433
    発行日: 1968年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    クワズイモ (Alocasia macrorrhiza) の葉柄から, 桃色, 赤色, 黄色の三株のシュウ酸分解菌を分離して, それらの菌懸濁液, 無細胞抽出液を用いて, シュウ酸の代謝について調べた.
    シュウ酸はまず, CoA, TPP, ATPなどの補助因子の存在下で, 脱炭酸されて後,酸化されると推察される.呼吸実験で, 添加したシュウ酸は完全に反応液から消失するが, その際の酸素吸収量は添加したシュウ酸の完全酸化の理論値の1/2量であった. 従って, 酸化と同時に他のシュウ酸代謝が行なわれているものと考えられる.
    また, これらの菌のシュウ酸分解系は, 菌がシュウ酸の存在下で培養されることによって適応的に活性を増す.
  • 諸橋 征雄, 駒嶺 穆, 下郡山 正巳
    1968 年 81 巻 963 号 p. 434-444
    発行日: 1968年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    暗所で発芽させたソラマメの上胚軸は, 切断しても, ハッショウマメのようにカルスを生じないが, 切断面に IAA を与えると, 切断部の細胞の増殖がおこり, 数日後には, 切断部が肥厚してくる. IAA 処理後の切断部にみられる呼吸系の変動をしらべ, 次のような結果を得た.
    1. 呼吸活性 (酸素吸収) は切断後1日で顕著に増大し, IAA 処理したものと未処理のもの (コントロール) とでは差はみとめられなかったが, その後に差がでてきて, IAA 処理のものの呼吸活性はコントロールより比較的高いレベルに保たれた.
    2. 呼吸商は, IAA 処理によって変動を示さず, ほぼ1であった.
    3. 呼吸に対するマロン酸阻害率は, 切断後1日~2日で急激に減少し, この変動のようすは, IAA 処理によっても変わらなかった.
    4. C6/C1 の比もやはり切断後1日で大きく減少するが, IAA 処理のものと, 未処理のものとでは, その程度にほとんど差はなかった.
    5. これらの事実から, ソラマメの上胚軸を切断すると, 切断部では, 切断面に IAA を与えた場合も与えない場合も, 短時間のうちにペントースリン酸径路の活性が顕著に増加することがわかった.
  • X. 赤色光下における二次元生長をする配偶体の誘導実験
    加藤 幸雄
    1968 年 81 巻 963 号 p. 445-451
    発行日: 1968年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    モエジマシダの配偶体は無機塩培地では赤色光下で糸状生長のみが続き, 青色光下ではじめてハート状体制となる. 筆者は赤色光下でハート状体制となる条件をさがしていたが, 基本培地に庶糖, グルコース, フラクトース, 可溶性澱粉を加えるとこれが可能になることを見いだした. 前の実験ではオーキシン, 酵母抽出液, ペプトンなどは無効であることがわかっていたが, 有機酸やアミノ酸アミドも今回調べた限りでは有効でなかった. ゼンマイでは基本培地のみで赤色光下でハート状配偶体がえられ, ベニシダでは基本培地に糖の外に酵母抽出液, 2,4-D, カイネチンなどを適当量加えた培地ではじめてハート状前葉体がえられた.これらの結果は細胞分裂の率で示される生長量と配偶体の形態形成との問に密接な関係があるという考え方でうまく説明できる.
  • の雄性生殖器官について
    李 仁圭, 黒木 宗尚
    1968 年 81 巻 963 号 p. 452-458
    発行日: 1968年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    ベニフクロノリとカタベニフクロノリの雄性生殖器官の形成過程を観察した. 本研究に用いた材料は1966年6月~1967年6月の間, 北海道太平洋岸の厚岸, 襟裳岬などで採集した. ベニフクロノリの雄性体は厚岸で年中常に見られるがカタベニフクロノリでは襟裳で10月頃から翌年の4月頃まで観察出来た. 両種の精子器形成方法はよく似ており, 近縁種のダルスとも似ている. 雄性生殖器官は表皮細胞に由来する. 即ち, 表皮細胞は楕円形に伸び, カタベニフクロノリではその上部に2個の精子母細胞を作るが, ベニフクロノリでは3~4個の細胞を作り, 夫々が更に2個の精子母細胞を作る. 両種共に精子母細胞は2個の精子器を形成する. また, 精子が放出され, 空になった精子器内に再び精子器が形成される. 更にそれ以上形成される事もある. なお, 両種の間には精子母細胞, 精子器及び精子の大きさ,形等にも差がみられる.
  • ゲンゲの4倍性根粒の起原について
    児玉 明
    1968 年 81 巻 963 号 p. 459-463
    発行日: 1968年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. ゲンゲの根粒は根の皮層細胞に起原する.
    2. 皮層細胞のクロモセンターの数は, 根粒バクテリアの感染により倍加する. この倍加細胞が根粒の始原細胞となり, 4倍性の根粒に発達する.
    3. 始原細胞は endomitosis により倍数化したものと思われる.
  • 村上 浩
    1968 年 81 巻 963 号 p. 464-466
    発行日: 1968年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
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