植物学雑誌
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80 巻, 946 号
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  • 1967 年80 巻946 号 p. Cover_946-
    発行日: 1967年
    公開日: 2025/02/11
    ジャーナル フリー
  • 放牧地植生の層別構造
    菅沼 孝之
    1967 年80 巻946 号 p. 145-160
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    わが国の放牧地植生の中核をなすものはシバ群団である. 本報では前報で述べた群落分類単位を基準にして, 生活型スペクトル, 生活型の順位づけ, ならびに地下器官, 主として繁殖器官または貯蔵器官としての根茎および匍匐茎について層別構造を明らかにした.
    生活型は Raunkiaer の生活形 (休眠型), 沼田の散布型と根系型から構成される繁殖型, および Gimingham-沼田の生育型を組み合わせて用いた. 生活型スペクトルは, 種類数によるフロラ面と, 優占度-常在度係数による相観面の2つの観点から論じた. 休眠型についての優占型は地表植物であるが, 草地の状態診断という点からは, むしろ一年生植物と地上植物の消長が問題で,地中植物の量的な消長もかなり有効である. これらの型のものはシバ群団の領域の周縁部にある植生単位でふえていることがわかった. 散布型では広布型のD1, D2型が, 根系型については根茎植物であるR1-3型の消長がそれぞれ問題になる.生育型では茎や桿が地上にのびる直立型と叢生型が50%以上を占めるが, 少なくともある期間, 葉を地表にひろげる部分ロゼット, ロゼット, 匍匐型の3つの型は群落の高さが増すと減少することがわかった. 以上の結果と生活型の順位づけ (第1表), および生活型の組成 (第2表) から,シバ群団の領域の中心部を本拠とするのはシバ-ゲンノショウコ群集であり, 単純化の方向にシバ-ニオイタチツボスミレ群集が, また反対の方向にシバ-アズマギク群集が, さらにシバ群団の周縁部を領域としてシバ-トダシバ群集が分化していることがわかった.
    地下器官の層別構造は, 重量のほかに根茎あるいは匍匐茎の占有率(V.I.) およびそれらの容積を, 平均断面積×長さの形であらわしたものを用いて表現した. シバの根茎および匍匐茎はブナ群団の領域の中では暖かさの指数が低い方が生育がよく, ワラビの根茎はこの調査範囲内ではシバの場合の逆になった. さらにワラビの根茎はシバ型草地では浅いところに分布し, ワラビ型草地でその層別構造をみると, 最大値を示す層が暖かさの指数の増加にともなって深いところへ移動するようである. そうしてWattのいう主根茎(main rhizome) は下方の, 地上部をつける根茎(frond-bearing rhizome) は浅い階層に分布することがわかった.
  • とくに茎頂の令(age), および葉•花葉原基の茎頂での分化速度の比較
    和田 清美
    1967 年80 巻946 号 p. 161-171
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    アサガオ (紫) の芽ばえを用いておこなった花芽分化についての実験の一部として, 頂芽と腋芽の茎頂の令をかんたんな数値で表現する試みをおこなった. 芽ばえの発育に伴って茎頂は葉原基を順次分化するが, それらの初期発生はそれぞれ, 初•中•後の3段階 (early, mid, and late substage) を経ておこなわれることを解剖顕微鏡下で観察した. これにもとづき, 観察時の茎頂が第何葉目の葉原基をどの様な段階でもつかを知ることによって, 茎頂がそれまで経験した葉原基分化の段階数を総計し, その数値で茎頂の令をあらわした. 例えば, 観察時に茎頂がすでに8枚の葉を分化しており, 第9葉原基をその分化段階の中期の状態でもつとき (L9-s2) と記号であらわす. これは, 8×3(substages)+2(substages)=26(substages), すなわち (L9-s2=26) で茎頂の令をあらわす. 又, 花葉についてはそれぞれを一枚の葉と同じとしてあつかった. さらに各原基の分化速度は, 日数あたりの茎頂の令の進行数であらわした.
    芽ばえが連続光下におかれたとき, 花芽分化は全く見られず, 頂芽•腋芽ともに葉芽として葉原基を分化しつづける. 腋芽の場合, その葉原基分化速度は腋芽間でほぼ等しく, 茎頂令を縦軸に, 観察日数を横軸にしてグラフを描くと, 同じ勾配をもつ直線的なグラフがえられる. これらのグラフは互いに平行でその間隔は30~42時間である. 頂芽についてのグラフも直線的であるが, 頂芽優勢を示して腋芽のものとくらべて勾配が急となっている.
    一回の16~24時間の暗期によって開花誘導をうけた芽ばえの頂芽•腋芽の茎頂では, 葉原基分化にひきつづいて花葉原基の分化が始まる. 茎頂でのそれらの分化速度は, 暗期後1~2日は連続光下のものと差が見られないが, 2, 3, 4日と日数のますにつれて差が生じとくに3~4日後からは全く大きな差となる. 暗期後からの3~4日間を花芽分化の初期相とよぶことにする. さきの場合と同様にしてグラフを描くと, 頂芽と各腋芽 (第1葉腋芽を除く) で同じ勾配をもつ同じ型のグラフがえられることより, 花芽分化にさいして茎頂でおこる変化は頂芽•腋芽で同一の過程を経て進行すると思われる. 又,各腋芽についてのグラフは互いに平行し, その間隔は24~32時間で葉芽分化の場合にくらべ8~10時間だけその間隔がせばまっている. これらより開花誘導後, 花芽分化初期相において, はやくも茎頂で原基形成能が高まることが示された.この増大と幼芽重量の増大および葉原基の伸長との関係についてもしらべた.
  • 井上 浩
    1967 年80 巻946 号 p. 172-175
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    次の日本産苔類13種の染色体数を調べた. このうち, 星印を附した7種については初めて染色体数が確認されたものである.
    Calypogeia tosana Steph. トサホラゴケモドキ n=9=H+7+h
    * Metacalypogeia cordifolia (Steph.) Inoue センダイホラゴケモドキ n=9=H+4V+3J+h
    * Cephalozia otaruensis Steph. ヤマトヤバネゴケ n=9=H+4V+3J+h
    Odontoschisma denudata Nees クチキゴケ n=9=H+7+h
    * Lophocolea compacta Mitt. ヤマトトサカゴケ n=9=H+7+h
    Lophocolea minor Nees ヒメトサカゴケ n=9=H+7+h
    Jungermannia amakawana Grolle ナガバウロコゴケ n=9=H+7+h
    * Jamesoniella autumnalis (DC) Steph. アキウロゴゴケ n=9=H+4V+3J+h
    * Pedinophyllum truncatum (Steph.) Inoue ハイハネゴケ n=9=H+4V+3J+h
    * Plagiochila flexuosa Mitt. チチブハネゴケ n=9=H+7+h
    Plagiochila yokogurensis Steph. ヨコグラハネゴケ n=9=H+4V+3J+h
    * Radula constricta Steph. クビレケビラゴケ n=6=H+2V+2J+h
    Trocholejeunea sandvicensis (Gott.) Mizutani ヤマトチヂレウロコゴケ n=8 日本産の Cephalozia otaruensis はヨーロッパ, アメリカなどの C.bicuspidate にきわめて近く, その亜種とされたが, C.bicuspidate は n=18 (または36) で, 日本の C.otaruensis (n=9) の倍数になっている. また, この倍数関係にともなって性が異なり, C.bicuspidata は雌雄同株, C. otaruensis は雌雄異株になっている. まったく同じようなことが Jungermannia amakawana (日本産, n=9)とJ. lanceolata (ヨーロッパ, アメリカ産, n=18) についてもみられる.
  • M. L. MAGOON, M. A. TAYYAB, R. S. SADASIVAIAH
    1967 年80 巻946 号 p. 176-184
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    モロコシ属の真正モロコシ節には2つの亜節 Arundinacea と Halepensia がある. Arundinacea 亜節のものは一年生で根茎をもたない型で2n=20の染色体をもつが, Halepensia 亜節のものは多年生でよく発達した根茎をもつ型で2n=40の染色体をもつが, Sorghum propinquum だけ例外で2n=20である. Arundinacea 亜節の種と Halepensia 亜節の S. propinquum との間の2つの種間雑種をつくり,いろいろの量的形質について, それらの遺伝子の優劣の関係を決定した.
    親植物とそれらの雑種における花粉母細胞の分裂, 特にパキテン期における染色体対合の性質と後の時期におけるキアズマ頻度が研究された. このことはこれら亜節問雑種のパキテン期における染色体間に構造変化がおこっているかいないかについて重要な証拠を与えるのに実際に役立った. これらの種の染色体組(ゲノムと考えればよい) の間の相同性を制限する構造変化が, 遺伝学的分化の有効な機構を提供していると考えられた.細胞形態学的結果にもとついて, これら親植物における差異は, 構造的にも形態的レベルでも多様化していることを示している. それゆえに S. propinquum を Arundinacea 亜節に包含して, 一つのSuperspecies とすることは実際的でないと考えられる.
  • 小野 莞爾
    1967 年80 巻946 号 p. 185-191
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1. 日本産チョウチンゴケ科の雌雄異株の3種の核学的研究, 特に構造的性染色体の観察をおこなった.
    2. ナガバチョウチンゴケ, コヅボゴケに構造的性染色体を発見した.
    3.ツルチョウチンゴケ, ナガパチョウチンゴケおよびコツボゴケの構造的性染色体は, いずれも雌雄の核板中最大の異質染色体(H1)で, 体細胞分裂の前期および前中期でYはXより多くの異質染色質を持つ.
    4. 観察された3種の核型はいずれも次のようである. ♀K(n)=7=V(HIX)十V(H2)航(♀♂ K(n)=7=V(H1X)+V(H2)nh
    +2v+J+j+m(h) ♀♂ K(n)=7=V(H1Y)+V(H2)nh+2v+J+j+m(h))
  • 大槻 虎男
    1967 年80 巻946 号 p. 197
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
  • 1967 年80 巻946 号 p. 192-196
    発行日: 1967年
    公開日: 2025/02/11
    ジャーナル フリー
  • 1967 年80 巻946 号 p. Cover_946b-
    発行日: 1967年
    公開日: 2025/02/11
    ジャーナル フリー
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