植物学雑誌
Online ISSN : 2185-3835
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77 巻, 916 号
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  • 宮脇 昭
    1964 年 77 巻 916 号 p. 365-374
    発行日: 1964年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    日本列島の路上植生について, その種構成, 群落分類およびヨーロッパの路上植生との比較研究を行なった. さらに野外調査に際して可能な群落生地の比較と各群落の分布をしらべた.その結果以下の6群集が確認された.
    1. クサイ-ハイミチヤナギ群集. 典型-およびニワホコリ亜群集に下位区分される (第1表). 分布: 北海道東部および南部, 本州北部.
    2. コシカギク-ハイミチヤナギ群集. カモガヤ-,ニワホコリ-および典型 亜群集に下位区分される (第2表). 分布: 北海道および本州北部.
    3. クサイ-カゼクサ群集. スズメノヒエ-, アキメヒシバ-および典型亜群集に下位区分される (第3表).分布: 本州, たとえば多摩川下流附近など.
    4. カワラスゲ-クサイ群集. ミノボロスゲ-, アキメヒシバ-ならびに典型亜群集に下位区分される(第4表). 分布: 現在丹沢山塊, 箱根山などで知られている.
    5. ニワホコリ-ミチヤナギ群集. ナガバグサ-, ギョウギシバ-および典型亜群集に下位区分される. 分布: 本州, 四国, 九州.
    6. コバノニシキソウ-ネズミノオ群集. ハマスゲ-, コブナグサ-および典型亜群集に下位区分される.分布: 琉球列島.これらの群集はミチヤナギ群団およびコバノニシキソウ-ネズミノオ群団にまとめられる. 両群団は, 現在のところ東アジアの路上植生オーダー, オオバコオーダーにまとめられ, ヨーロッパのオーダー, Plannetea maioris Tx. 1950 に対応させられる. 両オーダーは, オオバコクラス Plantaginetea maioris Tx. et Prsg. 1950 に総括される.
  • 藤伊 正, 鈴木 章方
    1964 年 77 巻 916 号 p. 375-380
    発行日: 1964年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    従来カイネチンは赤色光の存在下において, その光の作用を強め, 赤色光による光形成と同一方向への働きを示すものとして知られている. カゼクサ種子の発芽においても, 赤色光に依存する光促進過程 (長日性光反応) では, 光が不十分に与えられた場合においてのみ, カイネチンが赤色光の働きを助長することが明らかにされた. しかし, 短日性暗期中に与えられた光中断の発芽抑制効果は, カイネチン処理により軽減され, 従来の赤色光とカイネチンとの相関性とは逆の働きが明らかにされた. なお, この光中断の発芽抑制効果は, カイネチンの他にも, アデニン, アデノシン, アデニール酸, グアニール酸, シチジール酸などにおいても著しく軽減されることを観察した. 著者らは, このことから, さらに二, 三の知見を合わせ, 光中断の抑制効果の意味についても論議を試みた.
  • 原 襄
    1964 年 77 巻 916 号 p. 381-387
    発行日: 1964年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    コウヤワラビの葉の羽片は中央脈の両側に細かい網目をもつ網状脈系であり, 網目のなかに脈端 (vein endings) をもたない.
    この脈系は, 基本的にはシダ植物にふつうにみられる二又分枝状の脈系と一致する発生形式をとり, 双子葉植物にふつうにみられる網状脈系とは根本的に異なるものである. すなわち, コウヤワラビでは, 脈系が分化してくる段階にあつて, 1本の小脈は二又に分れる性質をもつ. しかし, 二又に分れた枝はつぎに, となりの小脈が二つ分れてくるその一方の枝と融着して新らしい小脈となる. このようにして二又分枝と融着とをくり返すため網目が形成され, 網状脈系となる. 小脈の分化はすべて葉の周縁生長に密接しておこる.
  • 仁-RNAの中期染色体や紡錘体への移行
    草薙 昭雄
    1964 年 77 巻 916 号 p. 388-392
    発行日: 1964年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Cytidine-H3 で仁-RNAをラベルし, オートラジオグラフ法を用いて核分裂過程, 特に仁消失の前後における仁-RNAの行動を追跡した.
    Cytidine-H3 の染色体へのとりこみは前期のはじめで完全にとまるが, 仁へのとりこみは仁消失の直前, すなわち前期のおわりごろまで持続した.
    Cytidine-H3 で10分間処理し直ちに固定した材料の染色体や紡錘体はまったくラベルされなかったが, 処理後数十分間H3を含まない培養液中で培養した材料の染色体や紡錘体は強くラベルされていた. この事実は仁の消失以前にラベルされた仁-RNAが仁の解体後染色体や紡錘体に移行したものと考えられる. また仁解体直後の細胞の観察結果から, 仁-RNAの一部は細胞質中にも分散することが明らかにされた.
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