植物学雑誌
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75 巻 , 889 号
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  • 高橋 憲子, 八巻 敏雄
    1962 年 75 巻 889 号 p. 245-254
    発行日: 1962年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    ブライトイエロー種のタバコ種子の暗発芽に対するグリシン, α-アラニン, L-アスパラギン酸, グルタミン酸, α-ケトグルタル酸の影響を, それらのpHを0.2間隔でHCl, KOH, NH4OHで調整して検討した. 10ppmのジベレリンは暗発芽をひきおこさないが上のアミノ酸などが共存すると, pH4.0より酸性の範囲ではさかんな発芽をひきおこす. しかしすでに問題とした7-9) pH4.7での発芽はグルタミン酸以外では認められなかった.
    一方ジベレリンの存在しない発芽床のpHを上と同様にして調整したときには, グルタミン酸のみが広いpH域にわたって暗発芽をおこす作用をもつことが認められた. しかもすでに述べた9)有機酸の場合と異なり, pHがNH4OHだけでなく, KOHで調整されたものであってもよいことが特徴的である.
    本実験結果およびすでに述べた諸実験7-9)の結果から, タバコ種子の暗発芽はわれわれの実験条件ではpH4.7でおこるものと, さらに酸性の側(pH4.0以下)でおこるものとに区別されるが前者が発芽床のpHを調整する物質にかかわらず一般的であるので, ここではまずこれについて考察をした.
    1) ジベレリンの存在するときは, 含窒素無機塩, 有機酸のアンモニウム塩またはカリウム塩のいずれかが共存することによって高い発芽が認められる. しかし, この現象は種子の貯蔵期間(生理的齢)が長くなるにつれて徐々に認められなくなる. また実験した範囲のアミノ酸では, NH4OHのみならずKOHでpHを調整されたグルタミン酸も高い発芽をひき起こすが, この現象は種子の生理的齢の進行によってもおとろえない.
    2) ジベレリンの存在しない発芽床上では, 有機酸とNH4OHの存在によって生理的齢の若い種子の発芽がおこるがその際の発芽率は高くない. しかもこの現象は生理的齢の進行と共に急速に認められなくなる. グルタミン酸を与えたときは, 共存するものがNH4OHでもKOHでもこの発芽誘起作用が認められるが, 生理的齢の進行によってその発芽率は徐々に低下する.
    以上からpH4.7における暗発芽には少なくともジベレリン(様物質)とグルタミン酸(様物質)の両者が必要と思われる. 生理的齢の若い種子ではこの両物質とも含まれているが暗発芽をおこすのにはやや不足であり, とくにグルタミン酸の不足が著しい. したがってグルタミン酸を与えることによつて発芽をひきおこすことができる. 生理的齢の進むにつれて両物質の欠乏が大きくなり, 両者を同時に与えることによりはじめて暗発芽をおこさせることがでぎる. また生理的齢の若い種子は有機酸とNH4OHとからグルタミン酸(様物質)を合成する能力をもつので, グルタミン酸のかわりに有機酸とNH4OHを与えることによって暗発芽をおこすことができる. また若い種子はジベレリンの存在で上のグルタミン酸合成能力だけでなく, 含窒素無機塩を与えた場合(種子内の)有機酸を材料としてグルタミン酸を合成するはたらきが強められ暗発芽率が高められると考えられるが, これらグルタミン酸合成能力は種子の生理的齢の進行とともに失われ発芽率の低下をもたらすのである.
  • 滝本 敦, 内藤 佳之
    1962 年 75 巻 889 号 p. 255-263
    発行日: 1962年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    アサガオを発芽当初から種々の光条件下で育成し, 発芽後2日を経てから16時間の暗期を与えて花芽形成反応を調べた.
    1)赤色光 (600~700mμ) 下に生育したアサガオが最もよく花芽を形成し,わずか50erg/cm2/sec. の赤色光下に生育した芽ばえも花芽をつけた. これに対して, 白色光 (400~700mμ) および緑色光 (500~600mμ)下に生育した芽ばえは, 光の強さがおのおの100および250erg/cm2/sec.以上の場合にのみ花芽を形成し, 青色光 (400~500mμ) および近赤外光 (700~1200mμ)下に生育した芽ばえは光の強さを3000erg/cm2/sec.にしても花芽を形成しなかった.
    2)赤色光に青または近赤外光を混ぜて照射すると花芽形成反応はいちじるしく抑制される.
    3)近赤外光下に生育したアサガオの芽ばえは, 暗期直前に5分間赤色光を照射すると花芽を形成し,その花芽形成率は近赤外光の強さが強いほど大となるが, 青色光下に生育した芽ばえは暗期直前に5分間の赤色光を照射しても花芽を形成しない.
  • 柴岡 弘郎
    1962 年 75 巻 889 号 p. 264-269
    発行日: 1962年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    さきにクロロゲン酸 (3-caffeoylquinic acid) の生長阻害作用を報告したが4), このものを加水分解して得られるカフェー酸 (3,4-dihydroxycinnamic acid) もアベナ子葉鞘切片のIAAによる伸長を阻害する(第1図). ケイ皮酸 (cinnamic acid) (10-4M) のアベナ子葉鞘切片の伸長に対する阻害の度合いはIAA濃度の低いとぎ大で, IAA濃度をあげると減少する. カフェー酸(5×10-4M)の阻害はそれに反して,IAA濃度の低いときはあらわれず, IAA濃度が高くなってはじめて見られた (第2図). カフェー酸(10-3M) をタイサイの発芽のときに与えると, 芽ばえの胚軸の生長は強く抑制される. しかし,同濃度のケイ皮酸にはそのような働きはない (第3図). 明所におけるタイサイの根の生長に対しては, カフェー酸 (10-3M)でわずかな促進がみられたが, ケイ皮酸ではみられなかった (第一表). アベナ第一葉切片のジベレリンによる生長に対し, カフェー酸 (10-3M) はなんら影響を与えないが, ケイ皮酸 (2×10-4M)はめいりような阻害作用を示した(第2表).
    カフェー酸とケイ皮酸はかなり構造の似た物質であるが,生長に対する働きの内容はかなりちがったものであると考えられる.
  • 丸重 啓二, 丸重 靖子
    1962 年 75 巻 889 号 p. 270-272
    発行日: 1962年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    アサガオの芽ばえを用い, 14時間暗期間を通じて子葉に与えた8-アザグアニン, チオウラシル, エチオニンが, 花芽形成ならびに栄養生長に及ぼす影響を調べた.
    1. 8-アザグアニン (5×10-4M) は, 栄養生長に対して影響を与えることなく, 特異的に花芽形成を阻害する. この阻害は, 同時にグアニン (10-3M) を与えることによって軽減される. グアニン (10-3M)単独では, わずかに花芽形成を促進する.
    2. チオウラシル (10-3M) は, 花芽形成および栄養生長をともに, 著しく阻害するが, これらの阻害は, 同時に与えられたウラシル (2×10-3M) によって部分的に軽減される. ウラシル(2×10-3M) 単独では, 花芽形成を促進する.
    3. 高濃度のエチオニン (5×10-3M) は, 花芽形成ならびに栄養生長をともに著しく阻害する. 同時に与えられたメチオニン (10-2M) によって, 栄養生長の阻害は回復するが, 花芽形成阻害はまったく回復しない. 低濃度のエチオニン (5×10-4M) は, 栄養生長に対する影響なしに, 花芽形成を促進する. この促進効果は同時に与えられたメチオニン (10-3M) によって除去される. 高濃度のメチオニン (10-2M)は, 著しく花芽形成を阻害する.
  • 平 宏和
    1962 年 75 巻 889 号 p. 273-277
    発行日: 1962年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. イネ(ファルス亜科),コムギ•ハダカムギ (イチゴツナギ亜科) およびヒエ•アワ (キビ亜科) のイネ科種子より抽出した4種たんぱく質 (albumin,globulin, prolamin およびglutelin) につき18種のアミノ酸を定量した.
    2. 4種たんぱく質は, それぞれアミノ酸パターンを異にし, さらにそれらたんぱく質中 prolaminおよびglutelinは, 各亜科により特徴あるアミノ酸パターンを示した. したががってこれら各種蛋白質の含有比の相違によりイネ科植物種子のアミノ酸パターンが, 亜科により特徴を示すことが示唆された.
    終りにのぞみ終始懇篤な指導を賜わった東京農業大学教授宗正雄博士および住江金之博士, 校閲の労をとられた国立科学博物館大井次三郎博士, 東京大学教授高宮篤博士,農林省食糧研究所杉村敬一郎博士および角田広博士に深甚の謝意を表するとともに, 本研究に際し多大の便宜を与えられた農林省食糧研究所長, 東京大学教授桜井芳人博士に深く感謝の意を表する. なお本研究は農林省食糧研究所平春枝技官の協力に負うところが多い. しるして謝意を表する.
  • 竹中 要
    1962 年 75 巻 889 号 p. 278-287
    発行日: 1962年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    Prunus yedoensis Matsumura (Somei-yoshino) is the most famous flowering cherry tree grown in Japan. However, its origin has been unknown. This species has abundant beautiful flowers, but sets only a few seeds. Accordingly, it can be propagated only by grafting.
    However, it grows more rapidly than any other cherry tree. From these facts, I have assumed that it might be a hybrid. I gathered seeds from trees of this species in 1952. The seeds were sown in 1953, and the seedlings were observed from 1954 to 1962. From these observations P. yedoensis was considered to be a hybrid between P. lannesiana var. speciosa (Oshima-zakura) and P. subhirtella var. pendula form. ascendens (Edo-higan), whose characteristics differ as follows: speciosa is distinguished from ascendens by underneath glabrous and larger leaves, and vigorously growing stems. The seedlings of yedoensis showed in this respect a series of intergrades ranging from speciosa to ascendens type. Some of the seedlings bloomed in the spring of 1958, and since then, 25 trees had flowers. In many flower characters, viz., size, color, and hairiness at peduncle, receptacle, calyx, style and ovary, these trees showed a wide range of variation from speciosa to ascendens.
    In further experiments carried out since 1957, I made reciprocal crosses between speciosa and ascendens. In 1961, 8 hybrid plants bloomed. They were intermediate between the parents in the characters of stem, leaf and flower, and appeared as a whole to be similar to one another, though they showed some minor differences. Two of them had hairs on the style and ovary like P. yedoensis, and the other two had a few hairs, while the rest were hairless.
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