植物学雑誌
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80 巻, 952 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 西田 誠
    1967 年 80 巻 952 号 p. 383-393
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    筆者はさきに銚子から Metacupressinoxylon tylosissimum を報告したが, 今回さらに同属の4種を記載した. M. pseduotylosissimum sp. nov. は M. tylosissimum に似て水平隔膜をもった仮道管があるが, 髄線が低いので区別される. M. breviradiatum sp. nov. は髄線の放射方向への長さが極めて短いのが特異である. M. dacrydioides sp. nov. は分野に大型の1個の半有縁孔をもつ点では Mesembrioxylon のようでもあるが木部柔組織が多く, 髄線細胞にモミ型膜孔が見られるので Metacupressinoxylon に属するものと思われる. M. Nihei-Takagii sp. nov. は前種に似るが髄線の構造が異る. Torrey の原記載ではMetacupressinoxylon はbrachyoxylicな有縁孔をもつことになっているが, 実際には, 普通の針葉樹型の分離して対生的に排列する有縁孔をもつものもあるので, Metacupressinoxylon 定義を訂正した.
  • 鱗被の微毛の系統分類学的意義
    館岡 亜緒, 高木 虎雄
    1967 年 80 巻 952 号 p. 394-403
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    イネ科の系統分類学において, 葉の表皮にみられる微毛の有無とその形態はきわめて重要な意義をもつものと考えられている. ウシノケグサ亜科ではこの微毛が存在せず, 他の亜科の種類は通常微毛をもっている. このたび葉の表皮にみられるのと同様の微毛が鱗被の表皮にも存在する場合のあることが判明した. 146属に属する288種の鱗被を観察したが, そのうち27属55種の鱗被に微毛が見出された. タケ亜科とダンチク亜科の Danthonieae 族においては, 観察種の大部分が微毛を示した. タケ亜科の種類では1つの鱗被あたりの微毛の数は一般的に非常に多いが, Danthonieae 族の種類ではその数は比較的少ない. イネ亜科, ダンチク亜科の多くの族, スズメガヤ亜科, キビ亜科においては, 大部分の種類が微毛をもたず, 少数の種類が若干の微毛をその鱗被に示した. ウシノケグサ亜科では102種が観察されたが, 微毛は全然見出されなかった. 鱗被と葉とは組織発生において類似したもので, これらの器官の表皮系が組織学的に関連していることは, 鱗被に微毛をもつ種類は例外なく葉にも微毛をもっていること, および Pappophoreae の葉に特異的にみられる特殊な微毛がその鱗被にも見出されることで裏づけられている. ウシノケグサ亜科の種類は葉にも鱗被にも微毛が完全に欠如しているものと思われる. イネ亜科, キビ亜科などでは葉には微毛があり鱗被にはそれをもたない種類が多いが, 鱗被の特殊化に伴なって微毛の出現がおさえられているものと推定される. タケ亜科の鱗被は形態や脈の状態で葉状で特殊化が少ないが, その鱗被に微毛が豊富に存在することは, その原始性をさらに裏づけるものである.
  • 第4報 ホウセンカ及びホウキグサ
    熊沢 正夫
    1967 年 80 巻 952 号 p. 404-412
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Most individuals of Impatiens balsamina show the spiral phyllotaxy with the divergence angle nearly similar to the limit value of the Fibonacci series. Although various patterns of the phyllotactic abnormality (Figs. 1-2) are often found, the individuals of those patterns were excluded from the statistical samples. Early and late varieties were cultivated in the same season or seeds of one variety were sown in different seasons. In one case, seedlings germinated in spring were cultivated in very poor soil. Samples thus obtained were compared with each other in respect of their frequency variation of the primary branch with a cathodic prophyll (Fig. 3, Fig. 4, A). It was suggested that the general trend of the frequency variation is, in the case of Impatiens balsamina, much more affected by the vegetative vigour of the plant rather than by the characteristics of the variety or photoperiodic reaction, while the frequency variation of the cathodic prophyll at the basal part of the main axis (A in Fig. 3) shows one pattern fundamentally common to each statistical sample. Statistical data concerning the cathodic position of the prophyll, in Impatiens balsamina and Kochia scoparia presented here, were compared to those of Erigeron sumatrensis and Xanthium canadense described in previous papers of the writer.
  • 矢沢 静江
    1967 年 80 巻 952 号 p. 413-420
    発行日: 1967年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1.Crepis capillaries の茎および根からカルスを得て, 2, 3カ月毎に継代して培養を行なってきた.
    2. 種々の培地を用いたが White および Reinertの合成培地に IBA を加えたものがもっとも生長によかった. この培地上で二次カルスは2カ月に26倍の重量増加を示した.
    3. カルス形成の初期から17カ月までの間, カルス細胞の形態的細胞学的観察を行なった. 培養の初期には大型細胞が多く(80%), 4~5カ月後に次第に中型•小型細胞が多くなり, 最後 (17カ月目) には小型細胞がもっとも多くなった (80%). これら小型細胞の多くは細胞壁の肥厚をおこした.
    4. 比較的生長のよいカルスでの観察で, 細胞分裂の中期を示す細胞は1.26%であった. 培養の途中から13カ月までは, 染色体数が安定していたが, 13カ月~17カ月の間に変異を生じ, 17カ月目の観察では染色体数の倍加している細胞 (4nのもの) が74%を占め, 8nまたはその附近の染色体数を示すものが16%であった.
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