植物学雑誌
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78 巻, 922 号
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  • 辻 英夫
    1965 年 78 巻 922 号 p. 123-128
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    イネおよびエンバクを暗所で発芽させ shoot の易水解性リン酸エステル量の変化をしらべた. 易水解性リン酸エステルの量は, 抽出液を1N HCl酸性のもとで沸騰水浴中で7分間加水分解したときの無機正リン酸の増分 (Δ7P) として測定した. イネは陸稲品種を用いた.
    1) 陸稲 shoot のΔ7P含量は発芽がすすむにつれて次第に増加してゆく. しかし乾量当りおよび生量当りのΔ7P量はほぼ一定の低いレベルをたもちつづける.
    2) 酸溶性リン酸エステルのうち難水解性エステルについてみると, そのレベルは4日までかなり急速に低下したのち5日からややゆるやかに下りはじめる. したがって酸溶性エステルP全体に対するΔ7Pのわりあいは発芽につれて上昇してゆき, 8日にはΔ7Pは酸溶性エステルPの50%以上をしめている.
    3) shoot のΔ7P含量と生長との関係について若干の考察を試みた.
    4) エンバク shoot でもΔ7Pレベルの変化について陸稲と同じような傾向がみられたが, エンバクshoot のΔ7P含量自体は陸稲よりも高い値である.
    5) 前回に用いた水稲と今回の陸稲とのあいだには, 乾量当りの酸溶性リン酸量の時間的経過の型について差異がみられる.
  • 菅沼 孝之
    1965 年 78 巻 922 号 p. 129-137
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    わが国の暖帯林植生の中核をなすスダシイ群団を構成する一員であるカシ型森林について, 現在までに発表された原著者の群集組成表の原表, ならびに野帳の資料をもとにして全国統一組成表を作成し, 特にウラジロガシ-サカキ群集について群集の体系を考察した. その結果, 本群集は3つの標徴種群をもつことが明らかとなり, 3群集に分けた. なお, 近縁のアカガシ-ミヤマシキミ群集はコケ林としての性格をもつことが知られているが, 独自の標徴種群をもたず, 新3群集の1つであるウラジロガシ-イス群集にふくめられることが明らかになった. 新たに分類された3群集は, 隣接するカシ型の森林の組成と異なる要素をもつので, これらをウラジロガシ-サカキ亜群団に総括した.
    ウラジロガシ-サカキ亜群団 (異名: タブ-シイ群叢-ウラジロガシ下群叢; ウラジロガシ-サカキ群集) は次のように構成される.
    1. ウラジロガシ-ヒイラギ群集 (異名: ヒイラギ亜群集; ツクバネガシ亜群集)
    標準変群集
    ツガ変群集 (異名: ツガ亜群集)
    2. ウラジロガシ-イス群集 (異名: イス亜群集)
    a. 標準亜群集
    標準変群集
    ツガ変群集 (異名: ツガ亜群集)
    b. バリバリノキ亜群集 (異名: アカガシ-ミヤマシキミ群集)
    3. ウラジロガシ-コカンスゲ群集 (異名: ウラジロガシ-サカキ群集, 一部)
    群集および亜群集の領域は第1図に示す通りである.
  • 西田 誠
    1965 年 78 巻 922 号 p. 138-146
    発行日: 1965年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    前報5) につづいて6種の材化石が記載してある. そのうち4種は新種で, 2種は日本新産種である.Paracupressinoxylon Shimakurae sp. nov.は, かつて島倉博士9) が岩手県の上部白堊紀からP. sp.として報告したものと同じである. 2種の Araucarioxylon は, 仮道管に隔膜がある点で特異であり,今まで日本で知られている A. mineense, A. hujinamiense とは表2に示してあるような特徴により区別できる. A. inuboense は前報5) で, 筆者は A. sp. としておいたものと同種である. Metacupressionoxylontylosissimum sp. nov. は, 一般的材構造はCupressinosylon的であるが, 放射組織にモミ型膜孔がある点でこの特異な属に属し, 仮道管に隔膜があるのが特徴的である. Cupressionoxylon vectenseは, 南カラフトにおいても報告がある (島倉9)) C. cfr. Hortiss は東亜では最初の記録であろう. C.Hortiiは, はじめStopes10)Podocarpoxylonとして記載したが, 直交分野に1個の大型の卵形の膜孔がある点は正に Podocarpoid である. しかしその他の材構造の特徴は Cupressoid である.
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