わが国の暖帯林植生の中核をなすスダシイ群団を構成する一員であるカシ型森林について, 現在までに発表された原著者の群集組成表の原表, ならびに野帳の資料をもとにして全国統一組成表を作成し, 特にウラジロガシ-サカキ群集について群集の体系を考察した. その結果, 本群集は3つの標徴種群をもつことが明らかとなり, 3群集に分けた. なお, 近縁のアカガシ-ミヤマシキミ群集はコケ林としての性格をもつことが知られているが, 独自の標徴種群をもたず, 新3群集の1つであるウラジロガシ-イス群集にふくめられることが明らかになった. 新たに分類された3群集は, 隣接するカシ型の森林の組成と異なる要素をもつので, これらをウラジロガシ-サカキ亜群団に総括した.
ウラジロガシ-サカキ亜群団 (異名: タブ-シイ群叢-ウラジロガシ下群叢; ウラジロガシ-サカキ群集) は次のように構成される.
1. ウラジロガシ-ヒイラギ群集 (異名: ヒイラギ亜群集; ツクバネガシ亜群集)
標準変群集
ツガ変群集 (異名: ツガ亜群集)
2. ウラジロガシ-イス群集 (異名: イス亜群集)
a. 標準亜群集
標準変群集
ツガ変群集 (異名: ツガ亜群集)
b. バリバリノキ亜群集 (異名: アカガシ-ミヤマシキミ群集)
3. ウラジロガシ-コカンスゲ群集 (異名: ウラジロガシ-サカキ群集, 一部)
群集および亜群集の領域は第1図に示す通りである.
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