植物学雑誌
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73 巻 , 860 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 滝本 敦, 池田 勝彦
    1960 年 73 巻 860 号 p. 37-43
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1) 長い暗期 (16時間以上) の最初の2~4時間目に5分間3000erg/cm.2/sec. の赤色光を与えても 花芽形成は抑制されない. しかし8時間目に与えるといちじるしく抑制される.
    2) 暗期前8時間10ルックスの昼光色螢光燈光 (FL) を与えると, 暗期が16時間以上の場合には, わずかに花芽形成が抑制され, 暗期が12時間以下の場合には花芽形成が促進される. 8時間FL照射 後, 5分間赤色光を与えると暗期の長さに関係なく花芽形成は抑制される. 暗期反応の初期段階はFL下で進行し得るものと考えられるので, この赤色光の効果は恐らく光中断効 果によるものであろう.
    3) FLに120erg/cm.2/sec. の近赤外光を混ぜた光 (FL+FR) を暗期前8時間与えると,暗期が14 時間以上の場合には花芽形成が抑制され, 暗期が10時間以下の場合には促進される. FL+FRと暗期の間に与えた5分間の赤色光は暗期が16時間以上の時には花芽形成を促進し, 暗期 が14時間以下の場合には花芽形成を抑制する.
    4) FL+FR照射後に与えた赤色光は二重の効果を有するものと考えられる.
    i) 暗期前に与えたFL+FRの花芽形成抑制効果を消却する.
    ii) 暗期反応の初期段階はFL+FR下で進行し得ると考えられるので, この赤色光は光中断効果 (花芽形成抑制効果) を有する.
    FL+FR後に与えた赤色光の効果としては, 上記二重効果の差が現われてくる.
    5) 12時間の暗期前に2~6時間, FL, FL+FR または暗期を与え, 両者の間に5分間の赤色光を与 えると, 開花反応はいずれの場合もほとんど同じである. すなわち, 暗期反応の最初の2~6時間は, FL, FL+FR下で暗黒中におけると同様に進行しているものと考えられる.
  • 渡辺 成美
    1960 年 73 巻 860 号 p. 44-50
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    液休培地上に培養した好塩性螺旋菌の一種Spirillum japonicumの生活環を観察した.この目的には レフラー氏メチレン青液の2~3倍稀釈液を使用し, 生休染色に良好な結果を得た. 観察の結果栄養細胞 には, 形態的に二型が存在することが明らかになった. すなわち, 第一型は多数螺旋形で一種の接合と見 倣される繁殖法を行なうものであり, 第二型はやや長桿状の単螺旋形で無性的繁殖を行なうものである.
    前者の繁殖法は, いわゆる放射接着であり, 二分法の減退した螺旋菌多数が集合し, 菌の一端をもつて 放射状に配列して強固に接着する. この際各菌端に生じた接着膜嚢が重大な役割をなすものとみられ, 菌 端にある鞭毛は何等の関与を示さない. 接着により菌端間に原形質の移動が生ずるか否か形態的には不明 であるが,ンれ以後の菌の行動から, 一種の接合現象であると推察される. 放射配列から解放された菌体 には, 内部原形質の中央部移動に伴ない菌側に隆起が生ずる. この隆起は母体の原形質を吸収し外生包嚢 に生長する. 外生包嚢は完成後, 培養基中に沈澱物となり, 静止期に入り, 耐久性を獲得する.
    後者, すなわち無性繁殖型は栄養細胞の原形質の濃縮によつて内生包嚢の形成のみを行なう. 運動性を 失なった母体内から内生包嚢は完成後脱出する. 内生包嚢は良好な染色性や形態から, 明らかに他の細菌 群にみられる内生芽胞とは区別することができる.
    内生, 外生包嚢とも均質染色性の原形質を有するが, その再編制により, 原形質は包嚢内において螺旋 形構造を示すようになる. 新培地に接種された包嚢は発芽を行ない新個体に生育する.以上の観察事実よ り, Spirillum japonicum の生活環に有性, 無性の繁殖法が並行する可能性を主張した.
  • 中沢 信午
    1960 年 73 巻 860 号 p. 51-54
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    スギモク (Coccophora Langsdorfii) の卵について原形質分離の実験をおこなった結果, つぎのことが 知られた.(1) 食塩およびしよ糖に対する卵原形質の透過性は受精後に低下する. (2) 造形運動によつて卵 形に変化すると, 原形質分離は卵のとがった部分つまり仮根形成部でおこりやすくなる. (3) 第一次核分 裂の直後には, 卵の形態は分裂前と変りないにもかかわらず, 原形質分離は仮根極のみならず赤道帯のと ころにもおこる. これは赤道帯のところで部分的に細胞質の物理的性質に変化がおきていることを示す.
    (4) 第一次卵割の直後には卵割膜は母細胞の膜とつよくは結合していない. したがつて原形質分離のとき に原形質の収縮とともに母細胞の膜からはなれる. (山形大学生物学教室)
  • 佐伯 敏郎
    1960 年 73 巻 860 号 p. 55-63
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    植物群落における物質生産を葉量, 光分布, 葉の光合成能力等の基本的要因から導く方法を理論的に明らかにするのが本論文の目的であるが, これは同時に植物群落の物質生産の種々の実測値に対して正しい説明を与える. 本論文ではまず植物群落内で測定される照度分布は必ずしも葉が実際に受ける照度の分布とは一致しないことを強調し, 後者は前者の値とそれを規定する葉量との関係から導きうることを示した.[式(1)]. 壮葉での光合成能力と全葉の平均呼吸率が与えられれば, 日射の日変化をこれに結びつけることによつて, 全光合成を, 地上単位面積当りの乾量増加の形で与える式 (5) が理論的にえられる.この式によれば植物群落の全光合成は上記日射の強さと葉の光合成能力の他に葉量と吸光係数[式(2)のK]により大きく影響されることが分る. また光補償点まで葉が存在するとき, 全光合成は最大になり, このときの光補償点, 葉量 (Fopt), 全光合成 (Pmax) が同様に容易に導かれる[式(6),(7),(8)]. 以上の式に草本の代表としてケイトウの, 木本の代表としてケヤキの光合成能力および呼吸率を適用して数値計算をしたところ (図5,6,7,8). 100%の光条件のもとで,光補償点は1~2%,最適葉面積指数は4~11(K=o.3~1.0として)またこの時の純生産として23~359./sq.m./day(K=o.4~o.8,単葉の見かけの光合成を8.6~10mg.CO2/50sq.cm./hr.として)がえられ,各地で測定された好条件下の植物群落での実測値にかなりよくあてはまることが見出だされた.
  • 橋本 徹, 八巻 敏雄
    1960 年 73 巻 860 号 p. 64-68
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. 明所で育てたイネ幼植物の第二葉の葉鞘の伸長生長.
    2. 明所で育てたダイコンの第一葉の切片および暗所で育てたウズラ豆第一葉の切片の生長.
    3. 発芽に光を必要とするタバコ種子の暗黒における発芽.
    イネ葉鞘の伸長促進においては,GA1とGA3の強さがほとんど等しく, GA2•GA4よりはるかにつよ い. GA4はGA2よりやや強い.すなわち,GA1_??_GA3》GA4>GA2で表わされるような強さの順序を 示した.しかるに,ダイコンやウズラ豆の葉切片の生長を促進する作用は, GA4がもつとも強く, そのつぎにGA3, つぎにGA1が続き (比較的低濃度ではGA3よりGA1の方がわずかに強い作用を示す), GA2は最も弱い.すなわちGA4〓GA3>GA1>GA2.タバコ種子の発芽でもGA4がもつとも強い作 用を示し,そのつぎにGA1,GA3が続きGA2はもつとも弱い.すなわちその効果の順序はGA4〓GA1 >GA3>GA2で表わされる.
    イネの葉鞘の伸長促進における4種のジベレリンの強さの順序は,これまで報告されたチシャやヒメ ウィキョウの茎の伸長や花芽形成におよぼす促進作用の強さの順序と大体一致するが,葉の生長やタバコ 種子の発芽では全く異なつている. 最も注目すべき差異は,イネ葉鞘の生長の場合には, 非常に弱い促進 作用しか示さなかったGA4が,葉の生長やタバコ種子の発芽においては,他の3種のジベレリンにくら べてはるかに強い作用を示すことである.
    このように4種のジベレリンの生理作用の強さの順位,特にGA4の順位は,ジベレリンによつて影響 される生理現象の相違によつて異なることが示された.(東京大学教養学部生物学教室)
  • 堀田 康雄
    1960 年 73 巻 860 号 p. 69-74
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. Effect of nitrogenous compounds on the morphological differentiation of gametophyte of a fern, Dryopteris erythrosora, was investigated. Studies were carried out for the most part about the effects of nitrogenous compounds on “the two-dimensional differentiation” (conversion of the filamentous organization to the plate-like one).
    (i) In the nitrogen deficient culture the two-dimensional differentiation does not occur.
    (ii) NH4-salts are more effective than NO3-salts for the induction of the two-dimensional differentiation. NaNO3 reveals many deleterious effects.
    (iii) Several amino acids, which were used in this experiment, are classified in the following three groups according to their effects on the two-dimensional differentiation: a) those which induce the differentiation earlier than in the standard culture, b) later than in the standard, and c) the same as in the standard.
    2. Analyses of amino acids both in the alcohol soluble fraction and in residual fraction were carried out at various stages of the gametophyte differentiation. Ten amino acids and two amides were detected in the alcohol soluble fraction; some of them showed characteristic changes in their amounts corresponded to the development of the morphological differentiation. Twenty amino acids including 4 substances of unidentified nature were detected in the residual fraction; significance of the change in their amount is discussed in connection with the two-dimensional differentiation.
    3. The author's view (1958) that the qualitative change of protein may be responsible for the induction of the two-dimensional differentiation, is also supported by the results of the present experiments.
  • 西林 長朗, 猪野 俊平
    1960 年 73 巻 860 号 p. 75-80
    発行日: 1960年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    The development of sorus of Undaria undarioides (Yendo) Okamura, Eckloniopsis radicosa
    (Kjellman) Okamura and Ecklonia cava Kjellman has been observed. In all of three
    species both the zoosporangia and paraphyses originate from the meristoderm of the blade.
    In Undaria undarioides and Ecklonia cava, the mode of the development of sorus is Laminaria-
    type. In Eckloniopsis radicosa, the cuticle of the superficial cells is stripped on the
    way of sorus development. This fact seems to suggest that Eckloniopsis radicosa is identical
    in the mode of sorus development with Chorda filum
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