植物学雑誌
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82 巻, 969 号
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  • 入江 啓之
    1969 年 82 巻 969 号 p. 97-101
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    X線照射で誘起された染色体切断には, 短時間で再結合するものと, 比較的長時間結合しないで残ってい る二種類のあることが明らかにされている. 一方, Mg や Ca などの二価のイオンが染色体の構造保持に重 要な役割をはたしていると報告されてから, 染色体切断のあるものは, このようなイオン結合の部位で起る のではないかと云われている. 短時間で再結合する切断が, イオン的な性質のものであるかどうかを一層明 らかにするために, ソラマメの根端細胞をX線照射前, または後, あるいは照射前後を通して, 二価のイオン と特異的に結合する EDTA で処理して染色体異常の出現頻度がどのように変化するかを調べた. X線照 射の15分前から EDTA で処理をすると, X線照射だけのものにくらべて, 交換型異常の出現頻度は非常 に高くなり, また単純型切断の出現頻度も比較的高い価を示した. ところが, X線照射以後よ りの EDTA 処理では, X線照射だけのものと比較すると, 交換型異常および単純型切断ともにその出現頻度には差がな く, EDTA の効果は認められなかった. このことは EDTA が主に急速に再結合する型の切断端に働いて, その再結合に影響をおよぼし, 従って急速に再結合する切断は, イオン結合の部位で起ることが示唆される.
  • Shu-Ting CHANG
    1969 年 82 巻 969 号 p. 102-109
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    Volvariella volvacea は Amanitaceae に属する熱帯•亜熱帯産の四分胞子菌である. この菌は有性の 担子胞子と無性の厚膜胞子の2種の胞子をもっている. これらの胞子を半固体の培地の上に張ったセロ ファン膜の上に播き, 担子胞子は 40°, 24-48hrs. で, 厚膜胞子は35°, 24hrs. 発芽させ, これら単核の 担子胞子と多核の厚膜胞子について顕微鏡による観察を行なった. 隔壁のない単核•二核•多核の発芽管や, 隔壁のある多核•分枝した発芽管が観察された. 発芽管内に通常の有糸分裂とともに長孔隔壁と認められる 構造が認められた. 隔壁を通しての核の移動が特に注目された. これらの結果から, この菌は同株性の菌で あるといえる.
  • ハッシヨウマメの上胚軸のカルス形成部位およびソラマメ上胚軸の 肥厚部位における IAA 含量と IAA 破壊活性の変化
    諸橋 征雄, 駒嶺 穆, 下郡山 正巳
    1969 年 82 巻 969 号 p. 110-120
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    暗所で発芽させたハッショウマメの上胚軸を切断すると切断部にカルスを生ずるが, 切断後明所にもって くるとカルスは形成されない. 一方, ソラマメでは, 上胚軸を切断しただけではカルスを生じないが, 切断 面に IAA を与えると切断部の肥厚がおこってくる. カルス形成部位あるいは肥厚部における IAA 含量と IAA 破壊活性の消長をしらべ, 次の結果を得た.
    1) ハッショウマメについては, カルス形成の条件下では切断部における IAA 含量は, 上胚軸の切断後 顕著に増加するが, 一方, カルス形成のみられない条件下では, そのような増加はない. IAA 破壊活性は, いずれの条件下でも, 切断部で顕著な増加を示す. 2) ソラマメの場合には, 切断部を IAA で処理したも のでは, その結果としてその部分での IAA 含量は一時的に急激に増加するが, その後かなりの減少を示す. しかし, IAA 処理をしないものにくらべれば, 比較的高いレベルに保たれている. IAA破壊活性は, IAA処理の方が, 未処理のものより, 低い. 3) これらの結果から, カルス形成あるいは肥厚のおこる条件下で は, それらがおこる部分の IAA 含量は比較的高くなっている. そして, ソラマメの場合に, 肥厚がおこる 条件下で IAA 含量が高いのは, 少くとも, それがおこっている部分での IAA 破壊活性が低いことによっ ているのであろうと考えられる.
  • 日本産コウヤコケシノブ属, ホソバコケシノブ属の染色体
    辰野 誠次, 武井 雅宏
    1969 年 82 巻 969 号 p. 121-129
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
    1) 本研究では, 日本産コケシノブ科 Hymenophyllaceae の2属4種の核学的研究を行なった. それらの体細胞染色体数は次のごとくである.
    Hymenophyllum barbatum コウヤコケシノブ
    2n=42
    Mecodium oligosorum キヨスミコケシノブ
    2n=42
    M. wrightii コケシノブ 2n=84
    M. polyanthos ホソバコケシノブ 2n=56
    このうち, キヨスミコケシノブの染色体数は初め て明らかにされたものであり, コウヤコケシノブ, ホソバコケシノブの2種では, 従来の減数分裂による算定結果を体細胞で確認し, コケシノブでは, 従 来と異なった染色体数を観察した.
    2) 観察された2属4種の核型は, いずれも形態的 特性からA~Fの6型に, さらにA~Eの5型は, 2組ずつに再分され, 計11組からなる.
    3) 核型分析から, 両属の基本数は, x=11 と考 えられ, 観察された Hymenophyllum 属の種はB 型, Mecodium 属は, 主としてC型の一部の染色体を失なった低倍数性と考えられる.
  • 手塚 修文, 山本 幸男
    1969 年 82 巻 969 号 p. 130-133
    発行日: 1969年
    公開日: 2006/10/31
    ジャーナル フリー
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